仮面ライダー 1971-1973

  • エンターブレイン
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本棚登録 : 67
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (615ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757746220

作品紹介・あらすじ

第一部から七年…。ついに書き下ろし完結編、第三部『流星1973』を収録した完全版、ここに登場。

感想・レビュー・書評

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  • ・ある程度世界観は踏襲しつつ、登場人物も同じだが、新たなライダー世界を描いた小説。ハッキリ言って傑作!

    ・「誕生」「希望」「流星」の3編から成っているが、最初の「誕生」が最高。熱いし、カッコいいし、泣ける!そのインパクトが強過ぎて、残り2編は若干のボルテージダウン気味に感じた。「流星」では少しV3以降のライダーを視野に入れた描写があるが、基本はあくまでも本郷猛のストーリー。

    ・この一連の作品の大きな魅力は、ショッカーがある程度の奥行きをもって描かれている点。それ故、死神博士、地獄大使、そして何よりもゾル大佐が、素晴らしい魅力を放っている。ゾル大佐は何とナチスの(以下、自粛)。ショッカーにとっての「命」、本郷が守る「命」、ショッカーでありながら本郷を愛してしまった女が大切に思う「命」。本作は生命観を巡ってのストーリでもある。

    ・造形がとてつもなくカッコいいけどストーリーが少々残念だった仮面ライダー THE FIRSTは、本作をベースにしたらよかったのに。

  • 本郷猛/藤岡弘、は撮影中の事故で一時的に一文字隼人/佐々木剛に主役交代をしますが、もしその事故が起こらなかったらどうなっていたかというコンセプトで書かれた話となっています。
    そのため、交代劇以降の登場となる滝和也や、地獄大使を始めとするショッカーの幹部の面々の設定が大きく変更されてます。
    また、仮面ライダー2号へ交代したと同時に、仮面デザインやショッカー戦闘員の服装の変更、変身ポーズが取り入れられるなど、様々なコテ入れが同時にされたのですが、そのコテ入れが行われなかったということで、本作は全体的に当初のサスペンスな雰囲気のままの内容となっています。

    なお、本郷猛がバイクに興味が無かったり、立花藤兵衛、緑川ルリ子らと面識が無かったり、単純に交代劇の有無だけでは説明の付かない部分があるので、本作は本放送とは全く別の物語、別の仮面ライダー/本郷猛によるオリジナルのストーリーと考えて読んだほうが良いかと思いわれます。

    内容は、子供向けでは無いですね。
    悪のショッカー改造人間が人々を襲って、ライダーが颯爽と現れてやっつける話、というわけではなく、実態が見えない秘密結社ショッカーとあわよくばその技術や資産などを手中に収め、ショッカーに成り代わろうと企むアンチショッカー同盟、そして、何と戦うのか、なぜ戦うのかを問われながら、それでも人々を守るため改造人間と戦い続ける仮面ライダー。
    戦闘シーンもそれなりにあるのですが、基本は人間ドラマで、内容は重いです。本放送の好青年っぷりは無く、自らの意志と関係なく改造されてしまったという悲しみを背負った仮面ライダーという一個体の生き方が書かれています。

    大変厚い本なのですが、上記のような重い内容に関わらず、あっという間に読んでしまいました。面白かったです。
    ただ結果として何も解決しないまま終えてしまった感じがしてちょっと残念ですね。やっぱり正義の名の元にショッカーもGOD機関も滅ぼして欲しかったなと思いました。

  • “仮面ライダー”を「仮面ライダー」という定義にする最大の特徴は、「自らの意思に反して“狂気の科学”による途轍もない力を得てしまった主人公が、自らの意思でそれに立ち向かうことを選んで前進する」ということであると思う。本作の本郷猛は、そうした“定義”と寸分違わない!!
    本郷猛は恩師でもある緑川博士の手で改造される。自らの意思に反して“狂気の科学”による途轍もない力を得てしまった訳だ…そして彼は、「喩え僅かであっても、ショッカーが蹂躙する命を助ける」ことに力を注ぐことを自らの意思で誓うようになって行く…こういう展開を読んで「そうだ!!それが<仮面ライダー>だ!!」と熱くなってしまった…

  •  2002年~2003年までに「1971 誕生」「1972 希望」と講談社から刊行され、2009年「1973 流星」が書き下ろしで追加、まとめられて刊行されたのが本書。
     「藤岡弘が事故に遭わず、主役交代せずに物語が進んでいたら」という設定がベースとなってはいるが原作番組が持つヒーロー的な華やかさは全く無い。
     しかしながら本作で描かれる本郷猛の戦いと懊悩、成長は紛れもなく「仮面ライダー」そのものであり、「仮面ライダー」という物語の描き様の一つとして、かなり面白いと思う。
    「1973 流星」はショッカーという組織の行動理由が明かされるのだが、それは多くの石ノ森作品へのオマージュ溢れる物ではあるが、唐突感は否めない。個人的には好きなのだが、その点で違和感を覚える方も多いのでは、とは思ってしまう。
     今年7月、3年ぶりに再販がかかった(初版ミスの修正極若干あり)ので興味のある方は読んでいただけたら。

  • ちょっと、一応これってラノベというかノベライズなんだろうが、ものすごくよかった。
    本編を大事にしている人が、大事に書いてくれたことがよくわかります。
    展開も、よかったなあ。
    ただ、やはり第三部は前二作と時間が空きすぎてて雰囲気も含めてずいぶん印象が違ってしまった。それとやはり展開的に第三部の唐突さは個人的に気になりました。

    でも、1971のハヤトが理想のハヤト像すぎるのと、本郷が「本郷」のままであってくれたので満足です。こんな2人が見たかった。
    あと、弐番大好きです。

  • 2009年2月27日、初、並、帯無
    2016年11月21日、伊勢BF

  • 全3巻を一冊にまとめたもの。当時の社会情勢などを交えながら話が進んでゆき、現在進行形?!のようなかたちで終わっている。

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著者プロフィール

石ノ森章太郎

一九三八年(昭和一三)、宮城県生まれ。高校在学中に『二級天使』でデビュー後、一貫して日本漫画界の第一人者として活躍。代表作に『サイボーグ009』(講談社児童まんが賞)、『佐武と市捕物控』(小学館漫画賞)、『マンガ日本経済入門』、『マンガ日本の歴史』全五五巻(アジア漫画大会漫画アカデミー賞大賞)、『マンガ日本の古典1 古事記』など多数。一九九八年(平成一○)一月死去。

「2022年 『文庫 新装版 マンガ日本の歴史 全27巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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