あい

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 119
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412087

感想・レビュー・書評

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  • こころがほんわかと……
    厳しい中にも、夫を愛し支え続けた妻の物語です。

    関寛斎は、幕末から明治時代を〈1830(文政13)年3月12日ー1912(大正元)年10月15日〉力強く生き抜き、次々と目的を追い求め、富を求めず、気高く、一本気で生き続けた蘭方医である。その関寛斎の妻あいの物語です。

    寛斎は、あいの父・左衛門の兄・関俊輔の妻・年子の妹・幸子の子・豊太郎(寛斎の幼名)。その幸子の死後、子に恵まれなかったあいの叔父である関俊輔年子夫妻が甥である豊太郎を養子に迎える。あいと寛斎は、いとこ…?

    上総国山辺郡前之内村(現在の千葉県東金市)の農家の子として生まれた君塚あいは、十八歳の時に同村の五歳上の関寛斎と祝言を挙げ八男四女の子をもうけたが。六人の子に先立たれ、残ったのは五男一女です。子に先立たれる母の悲しみが随所に出てきます。が、持ち前の明るさと物事を良い方向に考えるあいは、夫寛斎が岐路にさしかかると話しかけ、話を聞き前向きに助言します。

    寛斎があいについて「あいの取柄は、苦労が骨の髄まで浸みてないことだね。闇の中に居てもそれと気づかない。いつも物事の明るい面だけを見ているのは、時折り羨ましくなる。ふた親から充分に情を受けて育った強みだよ」と言っています。

    寛斎は、戊辰戦争で極めて人道的な活躍した経緯があり、また非常に几帳面で筆まめな性格であったため徳富蘆花や司馬遼太郎などが題材にされた実在の人物ですが。あいに関する資料が残っていません。このため妻あいについては、著者高田郁が初めて書いたものです。

    【読後】
    読みながら、こころがやわらかく蕩けていくような感じがしました。が、時代の激しい動きのなか、貧しい農家の出であるあいと、貧しい者から銭を貰わないで診療を行う寛斎は、まずしいですが。心は明るく、凛としています。読後感がよく、心が温かくなっています。

    「購入」
    あい《単行本》
    2013.01発行。字の大きさは…中。
    2023.10.25~27読了。★★★★★
    ブックオフ、220円で購入2023.08.31

  • 実在した偉人とその妻の物語。
    「ひとの一生とは、生まれ落ちて死ぬまで、ただひたすらに一本の道を歩くようなものなのだ。どれほど帰りたい場所があろあとも決して後戻りはできぬ。別れた人と再び出会うこともない。ただ、前を向いて歩くしかないのだ」
    寛斎の言葉が重く残る。
    読めてよかった。
    ピリカフチ、あいさん。多くのピリカフチのアイヌの女性を想う。

  • 幕末から明治にかけて、千葉東金の貧農の出ながら長崎で蘭医学を学びその後銚子で町医者を開業、徳島藩の医者として赴任、戊辰戦争では官軍の医長として随行、敵味方なく救護に当たって信望を得て出世の道が開けるも、質実で律儀な性格から富を築く事を良しとせず、最後は72歳にして私財を投げ打って北海道陸別の開拓へ赴いた関寛斎。そんな寛斎に関する小説は司馬遼太郎や城山三郎など多数ある中で、作者高田郁さんは、その妻あいにスポットを当てた物語を創作されたと後書きに書かれていた。
    高潔な生き方しか出来ない夫を深く理解して支え続けた妻と、そんな妻を信頼し慈しむ夫との関係が麗しく感動的。
    タイトルの「永遠に在り」の意味は、ラスト近く、もう長くない事を自覚するあいが、寛斎に遺言で自分の死後、骨や灰を寛斎の開拓する陸別の大地に埋める様託す場面で告げる「あなたが切り倒した木株の痕にも、あなたの鍬が入るその土の中にも、私は居ます。魂は常にあなたとともにあって、あなたの永遠の本分の中で、私は生き続けます」から来るのだと分かる場面は、もう涙。

  • 初めて関ご夫婦のことを知った。なんて素敵な関係なのだろう!年をとっても仲睦まじく過ごした2人のようになっていきたい。

  • 高田郁さんのファンになって六作目。実在の人物を描いた作品であることを、あとがきで知った。
    他の作品と共通する主人公像だったが、加えて、根底にある夫婦の深い信頼と愛情が暖かく、穏やかな心持ちで読み進めることができた。

  • 2019/07/25
    あいはできた人だ、
    やわらかに微笑んでって場面がとっても多い。
    多産なことにもびっくり。
    崇高な先生を本当に信頼してた。
    あいにしか支えられない
    幸せな言葉をもらったね

    2022年9月12日
    またまたまさかの再読。
    でも面白い。
    山桃を見てみたい、食べてみたい。
    蕪かじり百姓が一代でこうも立派になり、子どもらに教育させて、
    すごい。

  • 実在の人物だったとはびっくりでした。
    読んでいる間に少し調べて、どんな人だったのか勉強しました。関寛斎と言う人が亡くなるまでの話だったら、ちょっと辛いかもと思っていましたが、とても素晴らしい幕切れでした。
    まっすぐに、一生懸命、前を向いて生きていく大切さを教えてくれました。

  • 2017.8.2

  • 実話。だからいまいち暗い。けどしょーがない。
    暗いままで終わる。子どもに恵まれるも先立たれるし、最期もわりとあっけないところで逝ってしまうし。医師として生きた夫を支えた妻の物語。

  • この人の作品を読むと、いつも明るい気持ちになれる。この作品も主人公の明るい面を見るという性格のおかげであまり暗くならずに読むことができた。しかし子供たちに先立たれる場面では思わず号泣してしまった。素敵な夫婦の在り方に憧れます。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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