にほんの詩集 石垣りん詩集

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758414067

作品紹介・あらすじ

十四歳で事務見習として銀行に就職し、定年まで、ひとりで家族の生活を支えた詩人・石垣りん。
定年家族に、会社に、そして社会に、ひるむことなく向き合い、自らを律して生きた詩人が、
小さき者、弱き者らへの慈しみや孤独な心情を鮮やかに解き放つ名詩を厳選。
「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」「シジミ」「表札」など。

感想・レビュー・書評

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  • 『新年の食卓』
     人間が“食べる”という歩調は
     昔から変らない。
     わずかに平らなテーブルの上に
     ことしの花を咲かせるために
     喜びの羽音を聞くために
     杯(さかずき)を上げよう。
     では向き合って
     もう一度おめでとう!
     …

    『三十の抄』
     齢三十とあれば
     くるしみも三十
     悲しみも三十
     …

    『水』
     思い出します
     はじめて水の冷たさを知ったときを。
     どんなに教えられても
     じょうずに泳ぐことのできなかった子は
     苦い水をどっさり飲んで年をとりました。
     くぐりぬけたさまざまなこと
     試験、戦争、飢え、病気
     どれひとつ足の立つ深さではなかったのを。
     …

  • 石垣りんさんの戦争の詩の中には“顔”がある

    「戦争の記憶が遠ざかるとき、
     戦争がまた
     私たちに近づく。
     そうでなければ良い。」

    暮らしや来し方を強く見つめた詩
    女性の手が担ってきたもの

  •  石垣りんさん、1920年(大9年)2月21日生まれ、14歳で銀行に就職、40年勤め1975年定年退職。2004年心不全で没。4つの詩集をまとめたもの。「石垣りん詩集」、2022.6発行。「家」半身不随の父が4度目の妻に甘えてくらすこのやりきれない家。「表札」自分の住むところには自分で表札を出すにかぎる。他人がかけてくれる表札はいつもろくなことはない。

  • 軽く読めて少し元気が出る詩。

  • 祖母と同い年の人が書いたという意識で読んだこともあり、当時の社会情勢も感じつつ、著者の強い意志も感じつつで、思い入れが強い本となった。

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著者プロフィール

石垣りん一九二〇年東京生まれ。詩人。高等小学校時代から詩作を始め、少女雑誌に投稿する。小学校卒業後、十四歳で日本興業銀行に就職。二十五歳の時に敗戦を迎え、戦後は職場の組合活動にも参加しながら詩作に集中。三八年同人誌「断層」を創刊し福田正夫に師事。五九年第一詩集『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』刊行。六九年第二詩集『表札など』でH氏賞、七一年『石垣りん詩集』で田村俊子賞、七九年『略歴』で地球賞を受賞。二〇〇四年没。

「2023年 『朝のあかり 石垣りんエッセイ集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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