一の富: 並木拍子郎種取帳 (ハルキ文庫 ま 9-1 時代小説文庫)
- 角川春樹事務所 (2004年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758431118
感想・レビュー・書評
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松井今朝子さんのシリーズものを三作目『三世相』から先に読んでしまい、仕切り直しの1作目『一の富』を手に取る。
読後表題の『一の富』が読み終わってじわじわ効いてくる。いい心地。一の富とは江戸時代の富くじのなかで最高位、つまり一番の大当たりを指す。
持って生まれた才能、門地家柄、器量等々は人それぞれ。身分階級制度が明確化されていた江戸時代はなおさらのこと。
さらに運と縁も相まって、その人にとって一体何が一番よい選択「一の富」なのか、今ならばネットで答え一発、或いは優しい指南をしてくれる啓発知識も玉石混淆ながら盛りだくさん。
でもなあ、そうやって「世間一般的」或いは「他人軸」で選んだ事柄やモノについて、結局選ばなかったものをぐちぐちと思い出して比較し続けたり、本当によかったのかと躊躇い続けたりというのはよくある話ではないか。
短編5作。どれも謎の事件を狂言作者見習いである筧兵四郎(並木拍子郎こと)が解決していく。
師匠の狂言作者 五瓶とその妻小でんのやり取りが物語に彩とテンポを加える。
男勝りの料理人おあさのと拍子郎との距離が狭まるじれったさからも目が離せない。
当時の世情やしきたりが物語の進展のなかでもさりげなく説明され、とても興味深い。
人びとがそれぞれの業を背負い、出逢いや別れを経てもがきながらも生きる様が小気味よく描かれる。温かな情感に私もこの時代にタイムスリップしたくなる。
畠山健二さんの『おけら長屋』にも似た雰囲気を感じる。いい作品。シリーズを最後まで是非読みます!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
武家の次男の身分ながら、狂言作者の弟子になった青年が師匠に言われ、町場の面白い話を集めてくる。その中の謎めいた話の謎を解いていく、時代物ミステリー。拍子郎が主人公なのか、師匠の五瓶が主人公なのかわかり辛いのがイマイチ話に乗り切れない原因か。もう少し登場人物が生き生きしているといいのに。
読みやすいけど、深みはない感じ。 -
大店の不義密通事件、出合茶屋の幽霊騒動、金貸し老婆の首縊り事件…。人気狂言作者に弟子入りした拍子郎(ひょうしろう)が遭遇する事件と、江戸の四季・人情が織りなす、粋でいなせな捕物帳の傑作。
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勧善懲悪痛快捕物帳。
軸のストーリーとは別に、江戸の風情が、細かく、情緒豊かに描かれているのが良かったです。
秋の夜長に、江戸情緒に浸ってみてください。 -
うーむこれもそのうちNHKあたりでドラマ化されそうですぞ。
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平均的な娯楽作。
ただ今一つキャラクターに乗っていくことができなかった。
機微を描いているとは思うのだが、揺さぶられるものがない。
娯楽作にそこまで求めるのは酷なのかも。 -
推理小説としては弱いかもしれないけれど、江戸時代、芝居小屋周りの話が楽しい。
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L 並木拍子郎種取帖1
初、松井今朝子作品。
装丁、珍しいほど安易な感じ。種取だから軽薄なものも合わせてこんな感じに?女流作家モノだから北川亞以子や藤原緋沙子、宇佐江真理の様にしっとりとした憂い溢れるものかと思いきやどちらかというとメンズ系な描き方。
阿吽…後妻と義弟の謀。
出合茶屋…出合茶屋の幽霊騒動のお粗末な結果。
烏金…金貸しの老婆の首縊り
急用札の男…急用札を使い呼び出された店の主人が消えた。
一の富…
結局、兄にも答えられず町人への覚悟もなく?中途半端過ぎの様な気が。ネタ探しのだけとはいえ、大抵兄を引っ張り出すものの大した話でもない。妙な色恋混ざってくるしイマイチ消化不良。 -
初松井今朝子。
いつも読んでる作者と違い、
あまりのめりこむこともなく淡々と読了。
人物描写がいまひとつだったかと。 -
ひとまず表紙がいただけない。
内容は、おあさちゃんの気持の揺れ具合とかよかった。