- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758432139
感想・レビュー・書評
-
東京湾臨海署シリーズの第2弾。
東京湾臨海署安積班との副題の通り、安積警部補ばかりでなく、時には須田や村雨などの班員の視点で話が進行し、彼らの人柄を知るには格好の短編8話。
ちょっとしたときにふと洩らす安積のモノローグに、彼の人間味が見られる。
安積警部補の本領が発揮されるのが、表題作の『陽炎』。
主役の一人、少女が言う。
「このオジサン見てると、死ぬ気なくなっちゃてさ」
その後に綴られる「たしかに、この刑事には妙な説得力があった。その声や語り口のせいだろうか。高ぶった気持ちを静めてくれるような気がする」
安積の特質を表している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やってもた!
安積班シリーズで最初に手に取ったのが周辺の人物にスポットを当てた短編集て!w
メンバーになんの思い入れもないよ…
でもまあ面白かったです
つくづく今野敏さんは短編の名手だなあと
大好きなSTシリーズの青山も登場したりして楽しく読めました
考えようによっては先に二人の巡査部長のことを深く知ってからシリーズを読むのも物語に奥行きを与えることになるはず!そう思おう -
帯につられて青山さん目当てで買ってしまいました(笑)
東京湾臨海署の安積さん達の短編集です。どれも読みやすくて面白い話でした。 -
基本的には安積の部下達を主人公にした短編集だがなぜかST班の青山をメインにした編もあり驚いた。何故に桜井より青山⁉️
-
面白かった!
事件の解決自体より、人間模様が楽しい。
安積さんは村雨さんについていくつかの話で見直したり反省したりしているにもかかわらず、次の話が始まると相変わらず苦手にしてるのが可笑しい。
そして、須田さんと黒木さんが部屋に戻ってくるシーンは何回でてきても微笑ましくて好きっ。
今回はSTの青山さんが登場!でお得感満載です。 -
『陽炎』は、ベイエリア分署復活後の2作目で安積と部下達や速水らを丁寧に描いた短編集。安積班シリーズを読み始めるのなら、この作品からが良いかもしれない。と思う作品だ。そして、この短編集の最後には表題作『陽炎』という心暖まる作品が据えられている。
この作品が刊行された2003年がどんな年だったかは忘れてしまったが、今野敏さんは、若者達にとって夢や希望が持てない社会になってしまっている。と感じていたのだろう。自暴自棄になってしまいそうな若者に、懸命に職務をまっとうしようとする安積警部補の姿はどのように映ったのか?
安積班シリーズを7作読んで来たが、この『陽炎』が一番好きだ!今野敏さんが、いわゆる刑事モノと言われているカテゴリーの文法に捉われず、書きたい物語を表現しているような気がする。
お互いに信頼し合っている仲間達の間で交わされる気の利いた台詞が心地よく、自分もこんな人間関係の職場で働きたいとすら思ってしまった。安積班と速水の活躍を見ていると現場で懸命に働く警察官の皆さんに感謝したくなる。 -
臨海署新シリーズ2冊目は短編集で、安積班のメンバーにスポットをあてた構成。神南署シリーズでも同様の試みがありましたね。
今回も事件そのものよりも、日頃描かれている安積目線からだけではわからない個々のメンバーの魅力を描いた一冊になっているといえるでしょう。黒木視点、村雨視点の物語もあり、特に黒木からみた須田の姿の描写は非常に新鮮です。
もちろん、各人の刑事としての実力も堪能できる一冊です。 -
被疑者も被害者も、様々な事情をもったキャラクターが出てくる。人間味があって現実的だなあと思う。自分が普段累計的にパターンに当てはめて物事を見ていたことに気づかされた。STの人が、安積警部は人の心がどうなっているかをいつも考えているから、部下たちに信頼されていると言ったのがインパクトがあった。安積さんの安定したあたたかさが、事件が起こらなくても主人公に会いたいと思う気持ちにさせてくれる。