ふたりの花見弁当 食堂のおばちゃん(4) (ハルキ文庫 や 11-5)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.66
  • (34)
  • (119)
  • (103)
  • (9)
  • (1)
本棚登録 : 898
感想 : 83
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441964

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • お節料理、節分、ひな祭り、お花見、GWが今回のテーマです。それに絡めて、美味しそうなお料理が登場し、お腹がすきます…。

  • 「おせちのローストビーフ」
    年の終わりと始まり。
    出来れば関わりたくない案件だったとしても、見てしまったからには仕方ないことだろう。
    食べる側の趣向により変化していっているのだろうが、元の意味がある食べ物が控えめになるのは寂しいだろうな。

    「福豆の行方」
    幸せ絶頂期であるが。
    ちょっとしたイベントだったとしても、一人では中々やらない季節のものだと楽しいだろ。
    少し不自然だと感じることがあったとしても、好きな人に限ってそんなことはないと信じたくなってしまうのだろ。

    「不倫の白酒」
    突然の告白は最悪で。
    酔った勢いというのもあったのだろうが、こればかりは二人きりの時に縋るべきだったろ。
    重要なところが勝手に消されて話が広がってしまったら、出会ってみても無意識に偏見の眼差しで見てしまうだろ。

    「ふたりの花見弁当」
    満開の桜の下で踊る。
    全く同じものを作れたとしても、大切な人が作ってくれた想い出の品には勝てないだろう。
    一人きりで窓から眺めるのも嫌ではないだろうが、せっかくならば知り合いを呼んで楽しい時間を過ごしたいだろ。

    「サスペンスなあんみつ」
    不自然な客たちとは。
    追われる立場の身であれば、もっと警戒心をもって店の様子を伺うなどするのではないか。
    何十年も前のままでは生き残れないとはいえ、久しぶりに訪れた時に当時の品が何も残っていなければ寂しいだろ。

  • 過去の自分の思い出は音楽や書籍とともにあるように、食事や飲み物もともにその時代を彩る。

    ローストビーフってお弁当に入れるものではない。我が家では一度だけ入っていたことがある。姉妹は弁当を開けてすぐに蓋をしたが、私は完食した。そして夕方救急車で運ばれた。夏の日の出来事だった。一子や二三と違って、我が家の母は大雑把でその血をみんな引き継いでいる。

    複雑なメイの気持ちとそれを弄ぶヤツ、メイにとっては大きな良い経験だと割り切ってほしいと思った。
    不倫はそれぞれが幸せになることができるのだろうか?一子の「老いるのではなく大人になりなさい」という説得の仕方が、きっと相手に響く言葉なんだろう。

    花見は三原さんのマンションで、桜の花の天幕のあるマンションってステキだなぁ。そしてその美しさに負けないほどの三原さんの思い出に、儚く寂しさを感じた。

    今回は1月から5月の季節の物語5話だった。はじめ食堂に集う人たちの温かく、思いやりのある言動がなんとも心地よく目の中に飛び込んできた。
    要や万里の成長も美しい文章で描かれている。人もお店も時間とともに変化していくものだ。季節の移り変わりだけでなく、時代の流れも上手く表現された作品だった。
    今回もほわほわさせられた。私の時の思い出とともに。山口恵以子さんに感謝だ。

  • メイが結婚詐欺師に騙されかけるという話が読んでいてつらかった。性同一性障害を抱えている彼女にとっては、普通に恋愛すること、女性として愛されることがどれだけ嬉しかったことだろう。たくましく立ち直ってくれたのなら、次の恋を見つけてほしい。三原のタワーマンションでのお花見、社交ダンスのパーティー見学など楽しそうなエピソードも良かった。二三と一子の食べ歩きでは、懐かしい味がテーマだったが、時と共にお店に訪れた店の変化が切なく、私も二三と同じような経験があるので気持ちがわかった。
    本作も料理描写は本当に素晴らしく、特にクリームコロッケ(資生堂パーラー風)がおいしそうだった。

  • 万里君の成長を嬉しく思ったり、新しいメニュー気になるとか思いながらニヤニヤして読めた。
    今回も色々な料理に癒された。特に白菜のクリーム煮と季節野菜のゼリー寄せが気になって自分でも作りたいと思った。
    美味しいものはやっぱり人を笑顔にしたり幸せにするなーっと思えた。

  • おいしそうな、料理メニューがたくさん。お腹が空いてきました‼️

  • いつもながらお料理が美味しそう。こういう馴染みのお店に憧れるが自分にはそういうのがなくて残念。
    昔の美味しかったお店が寂れ気味だったり変わってしまったりというところが心に残った。

  • ぼーっと読むのに良い本。
    牡蠣と白菜のクリーム煮作ってみたい。これからの寒い時期に食べたくなります。

  • 山口恵以子さんのトーク&サイン会に行きました。あっという間に時間が流れてます。ほんと毎回同じ言の葉ですね、もう5月だよって 3冊なのにもう優れた&気に入った章があります。万里のやる気と諌める絶妙なタイミングとか、シェフの登場ですかとここぞの使い方、要の登場する所が好きで物語に厚みが出てくるしなによりも安定した登場人物だと思う=屋台骨。あーあのトークは忘れられないよ、川端康成のチョイ話もあったね。文庫本読み始めて途中で止めることが後ろめたいと思い込んでたけど、相性だから止めるのは必然だと言ってくれたのが1番

  • 今回も人情味溢れる佳作。
    作中に出てくる料理はどれも美味しそうだけど、おばちゃんと万里が作った料理ならまた一味違うんだろうと思わせる、物語全体の雰囲気にやられてしまう。

全83件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山口恵以子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×