あんの青春 春を待つころ お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-4 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758443432

作品紹介・あらすじ

安政二年。江戸の大地震からふた月が過ぎ、品川宿の宿屋「紅屋」もようやく落ち着きを取り戻しつつある。
台所付きの女中見習い・おやすは、正式に女中となれる日を夢見つつ、充実した毎日を送っていた。
そんなある日、おやすはおつかいに行った団子屋で、武家の生まれらしきお嬢様・おあつと出会う。
おやすは、おあつが自分には想像もできない世界の人だ、という気がしていて──。
人として、女性として、女料理人として成長していく、時代小説版「赤毛のアン」、シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「お勝手のあん」シリーズ第二弾。品川宿の老舗宿屋・紅屋の台所付き女中見習い・おやすの成長物語。
    時は安政二年。黒船来航以来、品川にはお台場が置かれ、怖ろしげな大砲が海を向いている時代。そして若い侍(特に薩摩藩)の姿が増え、おやすは少し怖く感じている。
    おやすは15歳に。任される仕事も増えてきた。年が明けたら女中となり、毎月お給金をいただけることになる。
    薩摩から来たお姫様のおあつ(篤姫!?)の登場あり。
    当時の女性の生き方について問う描写あり。おやすちゃんの今後が楽しみだ。

    美味しそうだと思った食べ物ψ(´ڡ`♡)
    ・湯豆腐(最後に葱と鰹節入りのつけ醤油をご飯にかけ混ぜて食べる豆腐飯が美味しいのよね…)
    ・さつま揚げ(魚の磯の香りと潮の音、そこに蓮根の大地の香りが混じる描写に美味しさを感じた。今日は代わりにかまぼこを食べました)

    • なおなおさん
      土瓶さん、でしょでしょ?
      食べたくなりますよね〜(*´﹃`*)
      最近のお気に入りは、ご飯に鰹節+醤油+チーズでーーーす!
      土瓶さん、でしょでしょ?
      食べたくなりますよね〜(*´﹃`*)
      最近のお気に入りは、ご飯に鰹節+醤油+チーズでーーーす!
      2023/01/18
    • 土瓶さん
      ええっ!
      チ、チ、チーズ???
      想像つかない。
      なおなおさん、大人だなぁ(笑)
      覚えておこうっと( ..)φメモメモ
      ええっ!
      チ、チ、チーズ???
      想像つかない。
      なおなおさん、大人だなぁ(笑)
      覚えておこうっと( ..)φメモメモ
      2023/01/18
    • なおなおさん
      チーズはスライスチーズとかプロセスチーズを小さくちぎって混ぜるのがなおなお流です( ˘꒳˘*)
      私、小さい時からチーズを小さくしてちまちまと...
      チーズはスライスチーズとかプロセスチーズを小さくちぎって混ぜるのがなおなお流です( ˘꒳˘*)
      私、小さい時からチーズを小さくしてちまちまと食べる変な癖があるのですわ^^;
      2023/01/18
  • 「購入」
    幕末、薩摩の策謀が蠢く。
    江戸は品川宿の旅籠「紅屋(くれないや)」のお勝手で働くおやすの物語です。

    おやすは、父親に八歳の時に女郎として売られたが、紅屋の大旦那がおやすの味覚に驚き、買い取って紅屋に連れてきた。おやすは、十六になり今年から見習いが解けて毎月お給金がでます。そして、紅屋のお勝手で女料理人としてなくてはならない存在になってきています。これもおやすの素直で、料理に対する勘が図抜けており、しかも鼻が恐ろしく利き、食べ物に対する気配りができることです。

    紅屋は、何よりも、料理が絶品です。台所を預かるのは江戸の老舗料亭、月花亭で包丁を握っていた、江戸の料理人の中でも十指に入る政一であり。そして、女郎をおくことが当たり前の品川宿の旅籠で、女郎を置かず、女ひとりででも泊まれることを誇りにしている。おやすは、政一の一番弟子として、政一から紅屋の台所で他の者を差配して頭として台所を仕切ることを認められる。

    今作には、色々な人が、登場します。おやすと歳も近いお友達で、品川宿随一の大旅籠で脇本陣百足屋のお嬢様、お小夜さま。そして、幕末に薩摩から将軍家へ嫁いだ篤姫とそれぞれ嫁に行きます。が、その境遇が違っています。また、近代日本の警察制度確立に貢献した川路利良も登場します。

    最後には、おやすの前に、品川宿で料理屋「むら咲」を営み女郎から抜け出して幸せを掴もうとする、女料理人のおみねが登場し、おやすに瓢箪に入った臭いの謎解き託します。

    【読後】
    いろんな美味しい料理が出てきて、読んでいるだけでお腹が減って来ます。字が小さいので大変でしたが。展開が早く、テンポがよく、心が温かくなりホッコリします。おやすの成長の早さにビックリし、頑張りが、素晴らしく、人を思いやり、労を惜しまず。よく働き、そばでいるだけで気持ちが休まります。これからの展開が楽しみです。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    あんの青春 春を待つころ お勝手のあんシリーズ2作目
    2020.06発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    2023.01.14~15読了。★★★★☆
    ブックオフで1作目~3作目まで各110円で購入。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    《お勝手のあんシリーズ一覧》
    07.あんの明日
    06.あんの信じるもの
    05.あんの夢
    04.あんのまごころ
    03.あんの青春 若葉の季
    02.あんの青春 春を待つころ 2023.01.15読了
    01.お勝手のあん       2022.12.20読了

  • 時代小説版『赤毛のアン』こと<お勝手のあん>シリーズ第二作。

    品川宿の宿屋<紅屋>で台所付き女中見習いとして働いているおやすは、料理人の政一に鍛えられどんどん料理の腕を上げ、作業の殆どを任されるようになっている。
    それだけでなく、客が少ない日には夕食の膳の仕切りを任されるという大役まで。

    まだまだ失敗もあるものの料理人としてどんどん成長しているおやすと、そんなおやすに自分の出来ることをすべて教え込もうとするかのように鍛えている政一。
    嬉しいけれど、こんなに急激に様々なことを教えている政一が何を考えているのか、ちょっと不安。まさか台所をおやすに任せてどこかへいなくなったりしないよね…。

    前作で友達になった大旅籠<百足屋>のお嬢様・小夜は相変わらず蘭方医の勉強に邁進中。しかし親はそれなりの大店へ嫁がせたいと考えているようで、小夜と父親とは常にギスギスしている。

    そして<紅屋>には大旦那の親戚筋のちよが奥女中としてやってくる。彼女は田舎の旅籠の一人娘で、いずれ婿養子を取って旅籠を継ぐことが決まっている。その修業として<紅屋>で働くことになったのだった。

    さらには随分高貴な身分らしいおあつ様というお姫様と知り合う。彼女は薩摩からやんごとなき家へ嫁ぐためにやって来たらしい。…?もしかしてあの○姫?

    おやすは小夜に自分の道を自由に生きられることを羨ましがられ、自分の代わりに立派な女料理人になることを期待される。
    ちよもまた自分が生まれながらにして旅籠を継ぐことが決まっていることに苦しい思いをしているようだ。
    しかしおやすから見れば、道が決められているということは不自由でもある代わりに生活が保証されていることでもあり安心感もある。おやすの道は自由ではあるが、自分の腕一つで生きていかねばならないという不安がつきまとう。
    どちらが幸せなのか、充実しているのかは誰にも分からない。

    一方でおあつ様はちよや小夜とは比べようもないほど過酷な運命にあることを知る。逃げることなど到底敵わない人生、それでもそこと向き合って生きていくおあつ様。

    <紅屋>でおやすと同じく料理人修業をしながらも、料理の才より算盤の才がある勘平がある大変な決断をする。その後押しをしたのはちよ?

    そして全く新しいスタイルで客を呼び込む料理屋<むら咲>の女料理人・おみね。
    色物扱いされながらも料理の腕は確かで、料理番付にも載るほど。その清々しいほど堂々とした姿におやすは衝撃をうけるのだが、おみねから何故か奇妙な宿題を出される。香りの謎解きを嗅覚が人一倍良いおやすは解けるのか?

    別れと出会いの季節といった感の第二作。
    新たな道へと踏み出す者、新たな道のために頑張っている者、そしておやすの刺激になりそうな女料理人のおみね。
    年季明け後の物語になりそうな次の作品ではどんな展開が待っているのか。

  • お勝手女中見習いから女料理人を目指す、やすの物語第二弾。タイトルに春を待つこころとあるが、それよりも別れがテーマのよう。お小夜、勘平、おあつとの別れあり。最後も『さようなら』で終わる、少し物悲しいお話だった。おあつは薩摩のお姫様・篤姫のことなのか。

  • 料理人としての腕をどんどんあげてゆくあんちゃん。
    見習いとしてではなく、どんどんお店の中心で働いていく中で、親に女衒に売り払われて、紅屋を追い出されたらどうしようと思う切実な思いが哀しい。

    その中で思うように生きてゆくことができないことを嘆くお小夜さまや紅屋の親戚から見習いに出てきているちよの言葉に、心に小さな傷をつけるあんちゃん(´;ω;`)

    でも、そうはいってもみな同じ部分もあって、好きなように生きられる人はほとんどいない。それは現代でも同じ。

    その中であんちゃんがであったおあつさん。優しくて、猫が好きで、婚儀のために薩摩から出てきた彼女のとの交流や女郎から女料理人となったおみねさんの生き方に大きな影響を受けるあんちゃん。

    春は別れの季節だけど、花が咲くのも春なんだよと声をかけたくなります。

    続きが楽しみ♪

  • ランティエ2019年10月号〜2020年3月号掲載のものに加筆修正を加えて2020年6月ハルキ文庫から刊行。シリーズ2作目。おやすを取り巻く人々との交流が楽しい。おあつさんという武家の娘さんと知り合うが、この方はもしやあのあつ姫さまか?

  • 「お勝手のあん」第2弾。
    安政二年、大地震の後の秋から、年明けて梅の咲き始める頃まで。
    “やす”は十六歳から、年明けて十七に。
    年季が明けて給金がもらえる様になった。
    やすは、一人で生きていかなくてはならない自分は、無駄遣いをせずに老後の為の蓄えをしようと、苦労して育っただけあり、若いのに渋いというか、しっかりした考え。

    やすほどのどん底を経験していない周りの若者たちは、若いだけにそれぞれ夢を見る。
    自分の境遇が思い通りでない、不安と悩み。
    後になって考えれば、あれは無謀だった、あの時の選択は正しかった、または間違っていたと振り返る事もできるのだろうが、見えないだけに、自分にも無限の選択肢がある様に思えるのが若さである。
    その選択肢を、一つ一つ自分で潰し、行く道を絞っていくのが人生だ。

    商家の四男の勘平。親が手に職をつけさせるために親戚の政一の元で料理の修行をさせようと、紅屋に奉公させた。
    勘平はある日、金平糖職人の技に魅入られる。

    本陣の百足屋(むかでや)のお嬢さん、妾腹から本家に入った小夜は、地震の時の怪我人の手当てを手伝った事がきっかけで、蘭方医になりたいと夢を描くが、嫁入りの事ばかりいう親に反発。

    紅屋主人の遠縁で、西伊豆の温泉旅館の一人娘ちよが女将修行のために女中見習いに来ている。
    決められた将来に腹が立つ、恋もできない、お武家の妾になって遊んで暮らすか、早く好きな人のところに嫁に行きたかったと文句。

    将来の保証がなく、ややもすれば不安なやすにとっては、安定した将来のある彼らの悩みは贅沢なものに映る。
    そんなやすは、料理で身を立てるという夢に向かって着実に歩んでいる。
    いつもそばにいてくれる政さんの存在がいい。

    今回は、篤姫だろうと思われる女性と、女料理人のおみねが登場。
    翻弄される運命に一切愚痴を言わず、その中で強く生きるおあつさん。
    やすの様に町娘として生きる自分の姿は、頭の中で空想するだけ。
    ばあやの菊野が「人はそれぞれ生まれ落ちたところで生きるしかありません」と言う。

    おみねは、親によって口入れ屋に売られたやすと一番近い存在かもしれない。
    自分の置かれた逆境を受け入れ、逃避するよりもはるかに大きなエネルギーを使って、工夫し、努力し、切り抜けようとしている、尊敬できる人だ。
    料理人としても、ライバル宣言もらう。
    今後、大きく関わる人かもしれない。

    将来への不安はあっても、今のところやすは順調だと思う。
    それでも、過ぎた季節、過ぎていった人々に、少し胸が苦しく涙もこぼれるのだった。

    誰も彼も〜通り過ぎて 二度とここへ来な〜い 青春は…
    うん、「思秋期」とか「春なのに」の世界ね(古っ!)

  • 幕末の品川宿にある旅籠屋で、抜群の鼻と料理への好奇心を胸に、日々働いている女中見習いおやすの物語だ。

    薩摩の藩士が出入りし、いよいよ時代はきな臭さを感じさせる中、おやすは、自由とは何か、幸福とは何か、を考える。

    誰もが羨むような贅沢な暮らしはできても嫁ぎ先もなりたい職業も自由に選ぶことはできないお嬢様や、嫁ぐために故郷を遠く離れて家格の高い家に養女になることを繰り返すお姫様。
    食うことには困らなくても、選択の自由はない彼女らと、働かねば生きていけないが、彼女よりも多少は自分の未来を選び取れるやす。何が幸福で、何が不幸なのか。

    現代よりもずっと、選択肢が少なく、女も男も生まれた環境によって一生のあらかたが定まってしまう時代。
    新しい時代の片鱗を前に、おやすがどのように生きていくのか、楽しみ。

  • やすの成長の中に出会いもあれば別れもある。
    おあつさんとはきっと篤姫のこと。
    やすとおあつさんでは立場も違うが、生き方のこの先に切なくなる。

  • おやすが成長していく様子や、おやすを取り巻く環境、登場人物達とのやりとりなど本当に面白い!
    この第2弾では、新しい出会いが凄く面白くて、その新しく出会った登場人物が、何らかの形で繋がっているのがまた面白かった。

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著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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