- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758443975
作品紹介・あらすじ
夏の暑い盛り、往来を歩いていた只次郎は、いきなり倒れた少女を介抱した。
少女の名は、お花。瘦せた体と歳に似あわぬ拙い言葉に、只次郎は虐待を疑うが……。
少女を救うため、奔走する只次郎。一方、結ばれたはずのお妙との仲は、どこかぎこちなくて⁉
やがて、ついにお妙の両親と良人を殺した黒幕と対峙することに……!
只次郎とお妙は過去と今の苦難を乗り越え、幸せを摑むことはできるのか。
温かい林檎煮、納豆、赤鱏の刺身に、心温まる鰹茶漬け。
彩り豊かな料理が心を救う、傑作人情時代小説、最終巻!
感想・レビュー・書評
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居酒屋ぜんや 最終巻
只次郎は、道でいきなり倒れた少女「お花」を介抱した。
痩せた身体と、所々にある痣を見て、虐待を疑う。
前巻で、ようやく結ばれたお妙との仲は、何故かぎこちなく、思い切って、夫婦になって欲しいとの申し出も、あっさり断られてしまう。
お妙の両親と夫、それに、鶯の糞買いの又三を殺した黒幕を、ようやく見つけたが、あまりの大物に、手出しが出来ず、旦那衆もお妙も皆「忘れよう」と決めたところが、当の黒幕・徳川民部卿治済から、只次郎は、呼び出される。
お妙の両親の仇と解りつつ、一矢も報えなかったと、悔しがる只次郎。
だが、商人となり、江戸の町に、国中に金を回して、世の中を変えてみせる。金の力は、いずれ武に勝つ。商が世の中心となる。時間はかかるかもしれないが、そうなれば、民部卿に勝てる。
と、決心する。
全10巻シリーズ、めでたしめでたし、大団円で終わった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前巻でめでたい事になって、それを面倒な人に見られて・・・
あっという間に噂が広まるだろうけど、とにかくめでたい!
・・・というところから更に序破急!素晴らしいところに落としてくれた。
色々と美味しいお料理が出てきたが、事件の行く末に気持ちが持って行かれがち。
しかし、やはり大切な朝の「鰹茶漬け」が印象深かった。
鰹は、「勝つ」魚。
いざ、出陣!の朝餉でした。
お志乃が大店の女将として成長し、熊吉もまだ弱輩ながら男子の心意気を見せ、その中、お妙だけがいつまでもウジウジしているなあ〜と思っていましたが、ここにきて大きな覚悟。
なんと言っても、一番の成長は只次郎。
モヤモヤしていたものが一気に晴れて、大団円でした。
黒幕も、チンケな小物と違って流石のやりようである。
ヤクザも大親分ともなれば、下っ端の様な悪さはせず、懐の大きなところがあるからなあ〜
おっと。
ヤクザなんかと比べてはいけない。
なんか・・・悔しいけど、黒幕もいい仕事したなぁ・・・
暑気あたり/草市の夜/棘の尾/甘い算段/戻る場所 -
最後に二人がようやく結ばれる前作でシリーズ第一部を終わりにして第二部(花暦)につなげてもよいところだったが、黒幕を追求する只次郎の危うさをお妙の覚悟が支える結末によって将来に向けた安定感を予感させて、五年後に新章が始まるという展開に納得感が得られる。
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居酒屋ぜんやシリーズ第10弾。
どこまで続くのか…と思っていたこのシリーズもついに完結!
始まりは美味しいご飯にまつわるお話と思っていたのに、ドンドン不穏な空気になっていき、一時は物語の方向性が本当に心配になったけど、見事二人に幸せが訪れて良かった。 -
「居酒屋ぜんや」シリーズの最終巻。あらかた9巻までで片が付いたと思っていたら、最後もまだまだいろいろあって大団円。只次郎が頑張って頑張って、いい感じですね。登場人物もいろいろ出てくるが、ほとんどが只次郎とお妙の二人だけで十分という展開。第1巻を読んだ時はこんな風になっていくとは思いもしなかったです。もっと長く続けてほしいシリーズではあるが、10巻くらいで閉めるのがころあいなのだろう。このシリーズは本当に好きでした。
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シリーズ最終巻。
お妙の両親を殺した黒幕ですが、この時代を舞台にした時代小説の“黒幕といえばこの人!”というくらいお馴染みの“あの方”でした。となると、まぁ手も足もでませんよね。
一方、前巻で両想いになった只次郎とお妙の仲ですが、お妙がグズグズして足踏み状態。ただ、只次郎のお妙に対する気持ちは全然ブレず、武士の身分を捨てて町人になる覚悟まで決めます。それにしても第一巻の頃と比べると只次郎はすごく成長していますね。今や“普通にいい男”です。
ということで、ちょっとハラハラしましたが、ラストはめでたく大団円。お花ちゃんと3人で仲良く暮らして頂きたいです。
毎回美味しそうな料理描写で楽しませてくれたこのシリーズも、本書でいったん終了ですが、帯の裏面に朗報が!“新たな「ぜんや」の物語がこの秋、始まります!”ですって・・。これは楽しみですね! -
夏の暑い盛り、往来を歩いていた只次郎は、いきなり倒れた少女を介抱した。
少女の名は、お花。瘦せた体と歳に似あわぬ拙い言葉に、只次郎は虐待を疑うが……。
少女を救うため、奔走する只次郎。一方、結ばれたはずのお妙との仲は、どこかぎこちなくて⁉
やがて、ついにお妙の両親と良人を殺した黒幕と対峙することに……!
只次郎とお妙は過去と今の苦難を乗り越え、幸せを摑むことはできるのか。
温かい林檎煮、納豆、赤鱏の刺身に、心温まる鰹茶漬け。
彩り豊かな料理が心を救う、傑作人情時代小説、最終巻! -
話が動いて面白くなってきました。
この巻では新しい人物がでてきました。
そしてそこから黒幕?に繋がります。
事件が決着しそうで、まだしない。
なんとも、歯がゆい感じです。 -
シリーズ最終巻の大団円!
只次郎の誰にも知られないように続いていた画策。
ついに、又三を始め、お妙の両親や夫を殺した黒幕がはっきりした。
とてつもなく力を持っているものだった。
仇ではあるが、針ほどの一糸も報いを与えられそうもない。
気取られれば、かえって命が危なかった。
どんな結末を迎えるのか?
シリーズ全編を通して、江戸文化の鶯をいう分野の詳細もわかり、江戸の料理の広さ奥深さも味わえる、面白いポイントが多いシリーズだった。