- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784760138739
感想・レビュー・書評
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装丁がかわいいし挿絵もかわいい。
最近ずっと原田マハさんばっかり読んでたけど読んでよかったな〜〜
『デトロイト美術館の奇跡』に近いお話があってうれしくなった(作品の貸し出しや作品との対話など)
p68
薄暗い展示室野中で作品が梱包を解かれる瞬間は誰もが作品の美しさに感動して一瞬息を呑む 〜略〜
まるで作品が、静かに長い眠りから覚め、息を吹き返して再び呼吸を始めるような瞬間
p126
この作品をみるといつもわたしは「これから日本に帰って仕事をしよう!」という勇気がわくの!他の作品ではなく、この作品だけなの、それをわたしに感じさせるのは
→この絵じゃないとダメ、というのはすごくわかるなあ。。癒されたり元気だでたり。絵の力はすごい
p151
確かに東京はわたしにとって生まれ故郷に違いなかったが、〜略〜自分が周囲とのずれを感じるように、周囲も私との距離を感じているに違いなかった
何を言おうと「またあなたのことだから」と姉妹のような理解をしめしてくれるわたしの友人たちは皆パリにいた
三十年以上パリに住んだという事実は現実のものだった
→22年住んだ関西を離れたとき、自分のアイデンティティがわからなくて不安になったことを思い出す。
p170
長い時間仕事を共にする相手とうまが合うということは実に幸せなことだ〜略〜あらゆる意味での喜びを感じながら仕事ができることは仕事の質や内容にも影響する
→今の仕事は関わる人がコロコロと変わる。長いお付き合いがある仕事もいいなあと思えた
p123
美術館で母が何に興味を示しているのか、どんな作品に感動するのか、ということに関心を持つようになり、次第に母が作品を見学している姿を遠くからみているのが楽しみになった。好きな作品の前でぴたりと動かずに「対話」している母を純粋無垢な少女のように感じた
p174
彼女がこれほど他愛のないおしゃべりをすることもめずらしい〜略〜わたしは、アニエスがわたしのために「気持ちのマッサージ」をしてくれていることがよくわかった
p176
展覧会とはまず本物を発見し、これと対話する場所だったのだ。本物の作品に対する自分の興味が進んでゆくと、その作品を描いた作者や時代が知りたくなる。そのとき、それらを展覧会で立体的に見せてくれれば興味はさらに増す。だからこそ展覧会のコンセプトは絶対的に重要なのだ
→気に入った絵はかならずポストカードを買うようにしてるけど、たしかに本物を何度でもみたいかも
美術館行きたくなってくる
p164
常に美しくありたい、美しいものをみたい、美しいものを作り出したい、という母が生涯持ち続けた意志だった
〜略〜 言葉を選ぶ時や花を飾る時、服を選ぶ時や、食べるものの材料を選ぶ時、全てにこの意志が現れていた詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読書している間が、美しい旅のような時間だった。
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読む前は、展覧会が開かれるまでに関わる人たちの苦労を書いた本だと思っていましたが少し違いました。
もちろんその話も少しはありますが、それよりも著者や周りの人々の仕事に対する姿勢や人生観が描かれているところがとても素晴らしかったです。
展覧会と一言に言っても、こんなにも熱い想いが込められたものだったのかと感動してしまいました。
盛り上げたいとか、集客力のあるものとかいう単純な薄っぺらいものではなかったんだなと。
読んでよかったです。
展覧会へまた行く時には、今までと違う気持ちで行けるから、より一層楽しめるだろうと思うとワクワクします。 -
美術展の裏側ではどんなやりとりがあるのだろう、開催までの過程にはどれだけの人が関わっているのだろうと、興味があったので読んでみました。
筆者はフリーのコーディネーター。裏側をドキュメンタリータッチに描いているのかな、と思っていたのでいい意味で裏切られあっという間に読了。
この機会を逃したら、あの作品は海をわたれない。そんなおおきな鍵を握る交渉にはマニュアルも当然存在せず、丁寧な準備と臨機応変な対応がすべて。そんなシーンが多く描かれているのに、何故か穏やかな気持ちで読み進めて行けるのは、「出会い」を大切にする足澤さんのお人柄でしょうか。シビアな状況にあっても、相手の人格そのものにふれ、心を通わせることに時間を惜しまない。私も働いていく上で大事にしていきたいものです。
家庭の問題を抱えた筆者を色々な距離感で暖かく励ますパリの友人たち、美術品を梱包するテープひとつにも「美」を追求する技術者たち、それがフランスの国民性とくくるのはいささか乱暴すぎるけれど、その素敵な価値観に触れられたこともこの本を読んでの収穫です。 -
前半やや退屈に感じて、読むのをやめようと思っていました。しばらく中断して、第2章の美しきポリーヌとともにから、急に面白くなって一気読みしました。特に晩年のお母さんとの関わりが胸に迫るものがありました。
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タイトルから展覧会を創り上げるまでの裏側の話かと思ったら、エッセイでした。
そういう意味では裏切られましたが、「本物」を見ることの大切さ「対話」することの素晴らしさを感じられる内容でした。
展覧会に行きたくなりました。 -
美術館の仕事を手がけることになり、「今だ!」と読んだ本。
読む前は、手引書的な側面もあるのかと思ったが、実際はドキュメント。すぐ読めるが、1人の女性の生き方として、とても読みごたえがある。
本文が終わった後のエピローグで、彼女の思う、展覧会の仕事の本質が書かれていて、思わずメモを取った。
※フレーズメモ -
2010年11月10日、初、並、帯付
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びっくり。
当初は、カフェでお茶しながら読む本、
アートとおフランスの香り・・・なんて思っていたのに
だんだんすごくなって・・・
特に最終章なんて、もはや私小説の体。
私たちの先輩世代の女性で、海外で暮らす女の人の迫力みたいなものが、ビシバシ!
お母さんがまたねぇ・・・
余談、このお母様は児童文学者、お父様は講談社の副社長だったそうで
なるほどね~って、ちょっと納得の一冊。