つながるカフェ:コミュニティの〈場〉をつくる方法

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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761513610

感想・レビュー・書評

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  • ”カフェに限らず、コミュニティづくり、場づくりに関わる人に、響く言葉がたくさんあった。

    特に、第4章は実践の結果、山納さんがたどり着いた(現時点の)答えが書かれており、納得感が高い。

    【場づくりの「シクミ」と「ナカミ」】
    「第4章 創発が起こる場としてのカフェ」では、山納さんが場づくりの実験と思索を続けてきて、たどり着いた答えが紹介されています。

    ■場づくりに関する問いかけ
    本章にはいくつかの気になる問いがあります。本グループにいる方は誰もが共感できるんじゃないでしょうか。

    ・開かれつつも魅力を失わない場は、どうしたらつくれるのだろうか?(p.153)
    ・創発の実力がある場は、どうすればつくれるのだろう?(p.154)
    ・出入りする人たちが、そこに「意味」を見出し続けることのできる場は、どうすればつくれるのだろうか?(p.157)

    ■解決の糸口はナカミの充実!?
    山納さんは「シクミ」から「ナカミ」へ関心を移したこと”

  • 場作りに興味があるため読了。
    作者様の経験がかかれた本であり、いくつか問いかけがあるのが良い。
    個人的には人間性が大事なんだと再確認。
    コミュニケーション力があっても場はできないんだと
    整えるだったり、自己成長を捨てない等の先人の実践知が学べて良かったです。
    別の作家様の作品"サードプレイス"も高いけど買おうか検討したくなっちゃいました。

  • 3.人が出会うときの機微
     そもそも日本では、立場や背景が違う人と臆することなく話ができる人は少数派です。
     (略)そんなシャイな人間どうしをつなげるために、場づくりに取り組んでいる人たちは、以下のような配慮をしているはずです。

    1紹介する
     両者を知っている人がうまく紹介してくれれば、話しやすい

    2共通の話題を提示する
     同じ趣味や興味関心が見えていれば、話しやすい

    3環境を用意する
     ワークショップや少人数のディスカッションなど、話をするのが自然な環境が用意されていれば、話しやすい

     (略)人を紹介するときには、それは相手にとって迷惑かもしれないという感受性を持つこと、そして”場づくり”においては、出会うこともできるし、出会わないという選択肢も残されているということが大事です。

     そういう場(サロンやカフェなど)には、当たり前ですが「つながりたい人」が集まります。ただ、そこに集まる人たちは「出会いたい人」であるとは限りません。
     そのため、つながることを前提にした場はやがて、「行きたい場」ではなくなる、というパラドックスが起こります。イギリスのコーヒーハウスやフランスのカフェなど、かつて盛っていた場所が魅力を失っていった背景には、こういう原理が働いています。

    <店主について>
     関わった人たちとのやりとりを通じて、店主も次にやりたいこと、やるべきことが見えてくることがあります。その結果、場を作っている人自身が、そこから卒業していくということも起こり得ます。

     場所を立ち上げ、運営していく間に訪れる「モチベーション・クライシス」にいかに対処するか。それが「成長する場としてのカフェ」を長く続け得ていく上でのポイントだと、僕は思っています。

    <「芝の家」>
     終わりの話し合いでやっているのは、反省会というより、感情のシェアです。

    <「バザールカフェ」>
     カフェは、多くの人が出入りできる、閉じていない場所、リラックスする場所、自分の立場をハッキリさせなくても、しゃべれる場所、という共通認識が、多くの人たちの中にすでにあります。それをうまく使えば、「特殊性を帯びない特殊なカフェ」というものが可能なのではと考え、呼びかけを始めました。

     (略)カフェがあると、労働が提供でき、努力すれば経済を生み、自立できる可能性もあります。ただ、効率を上げることが自立とは考えていません。(略)資本主義的な「労働とその対価」ではなく、「労働に対する満足」を評価すること。即応型のシステムではない、未来に利く何かです。

    <カウンター>
     通常のお店では、カウンターの中は聖域であり、立ち入るべからざる場所です。しかし入ってみると、カウンターの中は、なかなか居心地のいい場所です。
     客席側だと、知り合い同士が盛り上がっていて、自分だけがそこにいる場合には、所在なさから本を読んでいるフリ、スマホをいじっているフリをしたりすることがあります。
     それが、役割を持ってカウンターの中に入ると、状況は全く変わります。「つねに全体に気を配っている人」というポジションが得られるのです。

    <カフェ>
     盛る場に集う人の中には、そこに「楽しさ」を求める人と、「意味」を求める人とがいて、前者は楽しければそこにとどまり続けるけども、後者はそこにいく意味を失えば、場から遠ざかっていく。そういうことではないかと。

  • 仕事で「場づくり」を試行錯誤している身にグサグサと刺さってくる、非常に刺激の強い本です。
    この本に答えが書いてあるわけではなくて、著者の経験や読んだこと/聞いたこなとが書いてあり、考察とヒントが展開されています。
    場づくりをされている方には、とりあえずおすすめしておきます。

著者プロフィール

西宮市生まれ。大阪ガス、神戸アートビレッジセンター、扇町ミュージアムスクエア、扇町インキュベーションプラザでの勤務を経て、現在は大阪21世紀協会で文化プロデュースの仕事につく。
一方でトークサロン企画「扇町Talkin'About」、日替わりマスターによるバー空間維持活動「Common Bar SINGLES」、表現空間としてのカフェの共同維持活動「common cafe」等をプロデュースしている。

「2007年 『コモンカフェ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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