リヴァプールの空

  • 求龍堂
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本棚登録 : 54
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763002211

感想・レビュー・書評

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  • 父親の虐待によってブリーカーの心にできていた厚い殻。
    それはあまりに堅く、卵の中のヒヨコのくちばしだけでは割れていかない。
    そう、喧嘩が強く乱暴者なのだが、ブリーカーはまだヒヨコ=少年なのだ。

    それが主人公ジェイミーとのぶつかり合いによって少しずつ割れていく。少しずつ差し込む光。

    ラストの大きな、本当に大きな出来事によってそれは痛みとともに砕かれ、ブリーカーは生まれかわる。というか生き返る。

    そしてジェイミーもまた、少年から大人になる。

    という、いかにも課題図書に選ばれそうな作品だ。

    どこか現実的ではなかった死が、突然生と隣り合わせにあると気付かされる。
    これは作者が実際に味わったものなのだろう。
    この辺はとてもリアルに感じた。

    また、ジェイミーの周りの友達、船の中で出会う人たちも、いかにもいそうな癖のあるタイプ。
    ただ物語の登場人物としてはそれほど重要には描かれていない。

    お国が違うからなのか、時代が違うからなのか、正直、人物の心情にはやはり違和感を感じた。

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