僕らの事情。

  • 求龍堂
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763005250

感想・レビュー・書評

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  • 中学生時代に読みたかったなあと実感。還暦を過ぎてしまった自分には、あまりに「死」と言うものが身近になり過ぎて。昔なら違う感じ方をして、青年期・中年期の生き方に影響を与えてくれる作品かもしれません。補足ですが、ストーリーに出てくるジョークには私の感覚では笑えませんでした。

  • ネイサンに最高の親友がいる。
    サイモンは筋ジストロフィーで車椅子で過ごしている。毒舌家でユーモアがあって、いたずらが大好きで誰よりも勇気がある。

    〇サイモンもネイサンも友人たちも筋ジストロフィーという病気のことをよく知っている。
    別れが遠くないことも。
    気をおけない友人だからこそ、お互いに相手が今欲しい言葉や行動が何か無意識に考えていた。
    表紙の写真のように、軽やかに駆け上っていったのだとよいな。

  • 筋ジストロフィーという、筋肉が衰えて自由に体を動かせなくなっていく病気を抱えたサイモンは、それでも明るく皮肉屋で、あわれな目で見られるのが大嫌い。
    サイモンの友だち、ネイサンはずっとサイモンと一緒だった。恋や友情の他に、生と死についても考えなければならない2人。サイモンの病状は悪くなるばかりだけれど、最期のときまでサイモンは屈託なかった。

    ネイサンの母親が彼に「喜びと悲しみは同時に感じるものなのよ。それが自然なことなの。」と慰めた言葉が印象的だった。友に近づく死を悲しむ一方で、かすかに自分には生きる希望があるという喜び。

  • 15歳の少年ネイサンが、親友サイモンと過ごす日々。毒舌家でユーモアあふれるサイモンはクラスの人気者。そんなサイモンは筋ジストロフィーという病気で、車椅子生活を送っていたのだった。

    何とも素晴らしい友情の物語。ネイサンがサイモンと共に過ごす理由は至って簡単、楽しいから。サイモンとバカ話に興じて、ロールプレイングゲームをして、女の子のことを語るのが楽しいから。
    サイモンの病気は死に至る病。病院で共に過ごした友人も亡くしている。でもだからと言って同情されたり避けられたりすることには、真っ向から反対する。お得意の毒舌で真っ直ぐ相手に切り掛かる。だからネイサンもサイモンが病気に関して話した時は、キツいジョークで返すようにしている。
    そんなふたりと周りの人々の生活は、決してキラキラと輝いてはいないけれど、本音と本音だからこその思いやりで包まれている。

    この物語を「泣ける」なんて言い表わしたくない。それはサイモンにもネイサンにも失礼だ。それでもふたりが自分のこと、そして相手のことを受け容れている姿に目頭が熱くなる。
    次第に衰えていく親友を見守るネイサン。彼はいずれふたりの先に死が待っていることを知っている。知っているからこそ、つらく感じ不公平だと思う。そして罪悪感を覚えるとともに、自分は大丈夫でよかったとも思ってしまう。それを告白した時ネイサンの母は、それでいいと、人は喜びと悲しみを同時に感じることができると伝える。
    精一杯生きたサイモン。そんなサイモンに対しネイサンは「またな」と言葉を贈るの。ふたりの友情は、ここからまた新たなものへとなるのでしょう。

  • 訳者 田中亜紀子さんの後書きがとても素敵でした。

    15歳のサイモンとネイソンの少年丸出しな青春物語。
    筋ジストロフィーのネイソンがどんな気持ちで日々過ごしてたのかな、と考えると切なくもなりますが、文字通り、毎日をこの上なく楽しんでいた、楽しもうとしていた、のもほんとなのかな。

    サイモンは親友ネイソンの本当の心が見えた、彼の詩を聞いて、何かが変わり、そして、彼にしかできない方法でネイソンと一緒に時を過ごし、ずっと変わらない何かが2人の間に生まれた感じ。

    彼らを取り巻く友達や大人たちも素敵で、綺麗事ではないリアルな日常が垣間見え、みんなを応援したくなりました。

    サイモンは、ネイソンとの時間でたくさんのことを学んだね。

    同年代にも大人にも読んでもらいたい作品。

  • うぅ、今じゃなかった…。
    読んで欲しいなぁ。

  • 筋ジストロフィー、重い病気を扱いながら、ユーモアたっぷりの文章で読みやすい。1992年の作なので、病気の理解が変わってくることが残念と言えば残念だけれど、心情など素晴らしい。

  • 10年生のネイサンの親友サイモンは、筋ジストロフィーという病気のため車椅子生活を送っている。
    サイモンはユーモア・センス抜群な毒舌家でクラスの人気者。
    しかし、筋ジストロフィーは死に至る病。
    次第に衰えていく親友を見るネイサンの胸の内をさまざまな思いが交錯する。
    「めちゃくちゃいいやつ」なサイモンが病に侵される理不尽さと怒り。
    同時に病気なのが自分でなくて良かったと思っている自分がいる。

    ネイサン自身も、考えなければならない問題や悩みを抱えていた。
    家庭のこと、恋のこと、未来について。
    思春期真っ只中の少年たちは、生と死を意識しながらも、大好きなRPGで遊び、女の子の話をし、軽口を叩いて楽しい学校生活を送っていた。

    ──そして訪れるその日。

    けれどネイサンは知っている。何があろうと人生はつづいていく。
    どんなに悲しいことがあっても、生きることはすばらしい。


    目の前で実際に起きていることから目を背けることなく、真摯に向き合うサイモンとネイサン、周囲の人々の姿をユーモアたっぷりに描くニュージーランド発の青春小説。

  • 十五歳の少年ネイサンが語る、親友サイモンとの日々。
    筋ジストロフィーという病気で車椅子生活を送るサイモンは、強い個性とユーモアを持つクラスの人気者。

    ちょっと毒舌なサイモンと、彼を取り巻く友達、両親、大人たちが優しく描かれていました。

    「人は喜びと悲しみを同時に感じることができる」

    表面的な優しさではなく、悲しみも感じながら接することができる人になりたいです。

  • 死に向かってる友人に何ができるか…
    親でも子でもなく同年代の死という視点での想いというのが書かれています。

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