- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784763007278
感想・レビュー・書評
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この人の飽くなき手工芸品への好奇心、探究心に目を見張る。命を持つようにも見える。まるで愛おしさの塊のようなものたちが、布に成りすましページをめくる毎に登場する。次は一体何が出てくるのかとどきまぎする。人生ではこんな感動が時々ある。なるほど、こんなおもしろいものが見られるのらば、生きている事もそう悪くない。知らない文化を知る事はひたつの体験になり、その知恵や美意識はまた新たに触れた人々の血肉となりうる。文化とはそういう風にして技術、美意識、宗教、風土などが複雑に交差しもつれ熱気を帯びエネルギーとなって伝播していくものだ。
現在、祇園祭の山車などに遠く江戸時代に豪商が入手したであろう、当時のヴィンテージ品、更紗などを発見する事が出来るが、(400年程前のヴィンテージであるから、中には現在から遡上する事700年の逸品もある)それを楽しむ傍ら、江戸の人々はそこから独自の更紗へ発展させていった。当時は航海ルートしかなく、この本の著者である岩立さんが飛行機、車、バイクを駆使して遠く離れたインドの山間部や秘境のような片田舎のまだ殆んど知られて居なかったアイテムや仕事、人々に出会い私達が知られるようになったのが20世紀以降、現在の事である。江戸の人々の知り得なかったきらめく世界がそこにはある。
私はなるべく鼻息荒くし酸素を脳に送り、本とは言え、これ程のものを前にしては礼儀として五感の感覚を出来得るだけ敏感に、鋭敏にして受け止めなければならない。たびたびうっとりする。彼女の収集や、文化の紹介は、多大な功績を残したと思う。が同時にその一方、膨大な文化の記録のその過程で大事な我が子の命を落としたという、取り返す事も出来ぬ途轍もない痛ましい事件についてページ最後に少しだけ彼女は触れている。それを目にして私はこの本を通し岩立広子さんその人にも触れているような気になっていたが、彼女と向き合う事は難しいと思った。まだ、受容できない。でも資料として、写真と文章から、わたしの毛穴ひとつびとつが奮い立ち感動した。
北部インド
embroidery of Chamba(すごくかわいい詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は、長期にわたるフィールドワークの賜物である。著者の布に対する尽きることのない興味と情熱、職人たちへの惜しみない賞賛、そして身につける人たち、文化を保存する人たちへの敬意を感じた。本自体がすばらしいひとつの作品である。
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インド人がやれないこと(システマティックにインドの布についてまとめる、ということ)を、岩立広子さんが、本という「かたち」にして下さった。貴重なインドの布の歴史や、消え行く伝統手法を地域別・種類別にバランスよく配した、布好き必携の一冊。
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高かったけど欲しかったから・・・!
写真がたくさん
民族衣装がたくさん
こういう本が欲しかった