- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784763018083
作品紹介・あらすじ
真に「こどものこころ」を持ち続けたブルーノ・ムナーリは、画家、彫刻家、グラフィック・デザイナー、インダストリアル・デザイナー、発明家、著述家、そして子どもといっしょに遊ぶ人-という、あらゆる肩書を持つ希代の表現者として、世界中のクリエイターから尊敬と憧れをもって愛されてきた。
本書は、没後20年を記念し、2018年4月7日から神奈川県立近代美術館を皮切りに、北九州市立美術館、岩手県立美術館、世田谷美術館へと4館巡回する日本最大の回顧展の公式カタログ兼書籍として刊行。
展覧会ではその全生涯にわたる作品約320点が展示され、そのうちの約150点が日本初公開となる。
全てのクリエイターへのバイブルとなる永久保存版!
感想・レビュー・書評
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ブルーノ・ムナーリ展の図録。中身充実。絵本作品の図版もいくつか。「みどりずきんちゃん」という本がいちばん気になる。
彼のデザインの出自が "未来派”にあったとは知らなかった。マリネッティにも認められ、未来派の展覧会にも出品したりしてけっこう本流にいたみたい。
ムナーリといえば独特のモビールの制作だが、なるほど、可動式の抽象画というわけだったのか。吊り下げられた線や面や立体が回転することで見え方が変わる。しかも、影もまた形を変えるから2倍楽しめそうだ。
ひとつ気が付いたのは、彼は役に立たない機械をいくつも構想しているが、彼の作品に共通しているのは、何かを構成しておいてそこから機能性を剥ぎ取るということを好む。あるいはまったく意味のない、あるいはまったく美的な目的で、日常の具体物を用いたりする。
印象に残ったのは「直接の映写」。
これはスライド・プロジェクターを用いた作品で、フィルムを用いる代わりにセロファンや糸などをマウントに挟んで映写する。これがまるで、この世に存在しない鉱物の拡大図のようで見とれる。
あと木の枝をヒモで縛ってつないだだけの「ハイテンション」も好き。これ、自分でもやってみたい。
これも知らなかったがブルーノ・ムナーリを日本に初めて紹介したのはなんと詩人の瀧口修造だという。「実験工房」つながりで、作曲家の武満徹がムナーリの「読めない本」を目にし、これをもとに図形楽譜を書き、「ムナーリ・バイ・ムナーリ 打楽器奏者のための」という曲を作ったのだそう。これは聴かなきゃ。
彼の作品はどれも魅力的でかっこいいんだけど、こちらをいったん惹きつけておいていくらか突き放してくるところがある。そして思考を迫ってくる。そこがいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ムナーリさん、大好きです。ここまで広く一冊にまとまっている作品集がなかなかないので、トキメキます。
最初の稿を読んで、涙が出てしまった。
2018年の葉山での作品展も、本当にワクワクしました。
ムナーリさんありがとう。
僕ももっと、遊び続けることに、そして「つくる」ことそのものに歓びをもって、たくさんのものを遊び、つくろうと改めて噛みしめました。 -
カテゴリの設定に迷う本。美術7日目罪なのか教育なのか私なのか絵本なのかそれともその全てなのか。それはブルーノムナーリがまさにそういう人であったからに他ならないのだろう。
日本におけるムナーリの需要など、資料性の高いエッセイも多く出ている。反面、作品集としては必ずしも網羅的なわけではない。