自衛隊員が泣いている: 壊れゆく“兵士”の命と心

著者 :
  • 花伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763406705

作品紹介・あらすじ

隊員たちの叫びと涙──渾身のルポ

災害復旧や周辺諸国との緊張で存在感を増す巨大組織
頻発する自殺、いじめ、パワハラ、腐敗
自衛隊員が直面する巨大組織の現実
終わりなき隠蔽体質が引き起こした理不尽な事件の数々

感想・レビュー・書評

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  • 4冊目。1章「濡れ衣」調査で警務隊から異常な取り調べおよびパワハラで追い込む手口、読んでいてあまりに凄まじく不快で何度も本を閉じた。開いた口が塞がらないひどさ。
    2章「暴力」隊員が死ぬに至った訓練の裁判命の雫事件、護衛艦内の暴力事件の裁判。人を人と思わない、理由もなく殴る蹴るという暴力をしている人の人格を疑うが、それが艦全体の雰囲気だと思うと戦々恐々とする。
    3章「隠蔽」贈賄の疑いのある司令官だが防衛省の回答もはっきりしない。一社に独占された発注は実際問題も起きている。またクウェートで米軍にひき逃げされた負傷兵は、ほとんど黙殺されかけた。
    4章「破滅」脱柵し殺人事件を起こした自衛官についてだが、これは何が言いたかったかわからんかった。殺人という罪の意識が希薄な未成年で自衛隊内でいじめがあったのかも謎、なぜとりあげたのか?
    エピローグで組織的横領を元陸尉のインタビュー、ひどすぎて目を覆いたくなるが、現実だからこそ声を上げる人が必要。自衛隊は守ってくれない、と結論する彼の主張にすべてが集約されている。現場の「人」をいかに大事にしない組織であるかを何度もつきつけられてきつい。

  • 自衛隊員が泣いている―壊れゆく“兵士”の命と心 単行本 – 2013/7/1

    毎年100名近くの自衛隊員が自殺に追い込まれている
    2018年9月26日記述

    三宅勝久氏による著作。
    2013年7月15日初版第1刷発行

    ネットニュースサイトMyNewsJapanに連載されたものに加筆・修正したものになる。
    概要はMyNewsJapanでも読んでいたけれども
    改めて詳細を本書で読むと自衛隊という組織の腐敗ぶりに驚く。
    プロローグの護衛艦たちかぜのアンケート隠蔽の事件は自衛隊の闇というNNNドキュメントで放送されたものをまとめた書籍も読んでいたのでより興味深く読めた。
    ページ数に制限があるため簡潔になっているのは止む得ないが。
    しかし他のどの事件も深掘りしていけばもっと多くの事がまだ語り尽くされていないのではないかという思いがする。
    それにしても全国津々浦々でこれだけイジメ、パワハラ、警務隊による人権侵害が起きていることを考えると組織として構造的な問題を自衛隊は抱えていると判断せざるを得ない。
    冒頭に自衛隊員の自殺死亡者数が年度ごとに掲載されている。
    毎年100名近くの自衛隊員が自殺に追い込まれている。
    はっきり言って異常事態ではないか。
    記者クラブの問題などもあるのかもしれないが大手メディアはもっと自衛隊の腐敗ぶりを報道するべきであろう。
    たちかぜ事件のNNNドキュメントや三宅勝久氏などの
    限られたメンバーが孤軍奮闘しているようにしか見えない。

    特に警務隊の捜査、取り調べがまさに警察で冤罪事件を数多く生み出したようなもので驚く。
    金庫番をしていた若い隊員。
    USBメモリをわざと盗んだと疑われた隊員。
    徒手格闘という訓練で裁判で提出する資料に平然と事実を違うことを主張する国家
    護衛艦たちかぜ、しらゆき共に酷い古参隊員による暴力
    取引業者から不当に安い金額で高級車を自称レンタルした幹部
    クウェート米軍基地でひき逃げにあった隊員
    裏金つくり、カラ出張をしていた昔の実態。

    繰り返すが、特定の地域だけの問題ではない。
    だからこれは自衛隊の構造的な問題だ。
    自衛隊に入ろうという方はぜひ三宅勝久氏の著作に
    目を通しておくことを勧めたい。
    また現役隊員の方も組織に対してある種の健全な警戒感を常に抱いておくべきであろう。
    本書で登場した隊員達は誰も自己責任などでは無い。
    これは組織に殺された人々だ。
    不当な扱いをつけているなら三宅勝久氏をはじめとするジャーナリストに告発するべきである。
    そのような暴力やハラスメントは犯罪以外の何物でもないのだから。

  • たちかぜ事件から始まって、いじめや暴力や汚職についての取材結果。
    しらゆきの話とか行間からやられてもしょうがない隊員だったのかなって思えるんだが、でも暴力はいかんぞな。警務隊も警察も一緒なんかな、むちゃくちゃ取り調べて自白させる手法とか。

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著者プロフィール

ジャーナリスト、ブログ「スギナミジャーナル」主宰。
1965年岡山県生まれ。フリーカメラマンとして中南米、アフリカの紛争地を取材。『山陽新聞』記者を経て現在フリージャーナリスト。「債権回収屋G 野放しの闇金融」で第12回『週刊金曜日』ルポルタージュ大賞優秀賞受賞。2003年、『週刊金曜日』連載の消費者金融武富士の批判記事をめぐり同社から損害賠償請求訴訟を起こされるが、最高裁で勝訴確定。著書に『サラ金・ヤミ金大爆発 亡国の高利貸』『悩める自衛官 自殺者急増の内幕』『自衛隊員が死んでいく 自殺事故〝多発地帯〟からの報告』(いずれも花伝社)『武富士追及 言論弾圧裁判1000日の闘い』(リム出版新社)』『自衛隊という密室 いじめと暴力、腐敗の現場から』(高文研)『自衛隊員が泣いている 壊れゆく〝兵士〟の命と心』(花伝社)『日本を滅ぼす電力腐敗』(新人物文庫)『債鬼は眠らず サラ金崩壊時代の収奪産業レポート』『司法が凶器に変わるとき 「東金女児殺害事件」の謎を追う』(いずれも同時代社)『税金万引きGメン』(若葉文庫)『日本の奨学金はこれでいいのか』(共著、あけび書房)など。

「2018年 『大東建託の内幕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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