それからはス-プのことばかり考えて暮らした

著者 :
  • 暮しの手帖社
4.01
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本棚登録 : 1962
感想 : 387
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766001303

作品紹介・あらすじ

どんなときでも同じようにおいしかった。だから、何よりレシピに忠実につくることが大切なんです。

感想・レビュー・書評

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  •  主人公のオーリィは仕事を辞めたあと、ひょんなことから近所のサンドイッチ屋で働きはじめる。
    そこでスープを作り出す事を任され、オーリィは常にスープのことについて考えるようになってゆく。

    良いか悪いかは別として、内容がふわふわした本という印象。大きな出来事が起こるわけでもなく淡々と進むので物足りなさをかなり感じた。
    逆を言えばその平凡な毎日こそ価値あるという事とも捉えられると感じた(?)

  • 心穏やかになる温かいスープを飲むような感覚。登場人物がみんな良い。心が通った人間同士が、気づけば繋がっていく。「知らんぷり」と「嘘」は何が違うんだろうなぁ。

  • 私もそんな生活がしたいと思って手に取った本。大切な人を無くしたり苦労した人の束の間の休息。スープみたいに温かい穏やかな生活。続きが読みたくなる本でした。

  • ずっとずっと気になっていた吉田篤弘さんの本をやっと読めました。
    勝手に硬めの話かな?と想像していましたが、内容はその真逆で、とても柔らかくて暖かくて、それでいてほのかに美味しそうなスープの香りがするようでした。

    主人公の『昔の「時間」は今よりのんびりと太っていて、それを「時間の節約」の名のもとに、ずいぶん細らせてしまったのが、今の「時間」のように思える。さまざまな利器が文字どおり時間を削り、いちおう何かを短縮したことになっているものの、あらためて考えてみると、削られたものは、のんびりした「時間」そのものに違いない。』という考え方が、時間に太さを与えるという観点が珍しくて良いなと感じました。のんびりした時間を“太っている”と表現するとなんだかゆとりある温かい時間を想像させらます。素敵ですね。充実度を表すには“ハリがある”で時間を修飾するのも良いな、なんて考えたりしました。

    素敵な表現で言うとラーメン屋の『最初のお客さんは「一番星」、最後のお客さんは「流れ星」』も良いですね。ラーメン屋と星はイメージが離れていて馴染まなく感じますが、そんなところが洒落てます。

    この本を読んで私もスープを作ってみたくなりました。今はまだ夏真っ只中で猛暑ですが、だんだん気温も下がってきて肌寒く感じるようになったらレシピ本に従ってさまざまなスープを作ってみたいです。
    ここまで真剣にスープのことを考えたことはなかったので、本が私の世界を広げてくれた感覚がしてわくわくします。

  • この小説に出てくるサンドイッチやスープがとてもおいしそうで、やはり温かさがおいしさの成分なのかなと思った。
    熱々のスープ、それをつくった人の思いやり、優しい気持ち…
    料理をつくるときの秘訣は「とにかくおいしい!」と心の中で想うこと。

  • カナコさんのブックリスト
    『穏やかな日常』
    というタイトルに惹かれた
    リスト内の3冊のうち読んだことのなかった1冊

    路面電車のある街にゆっくり流れる時間を感じさせる話で、読みやすく読後感も爽やか

    私は自分が生まれた時からこの土地を出たことはないけどもし他の土地で暮らすなら路面電車のある街に暮らすのもいいなと思った

    挿し絵もかわいくて話に合っていて、中に出てくる食べ物も美味しさが伝わってきた
    暮しの手帖に連載されていた話のようだけれど納得

  • 『月舟町シリーズ』2冊目。
    『つむじ風食堂の夜』より少し読みやすかったかな?

    サンドイッチ、スープ、教会、映画館、路面電車…
    日本でありながらどこか異国情緒がある不思議な雰囲気の月舟町。童話のような世界感が良い。

    月並みな感想だけど、スープとサンドイッチが食べたくなる。

  • やっぱり最高におもしろかった。オーリィ君と安藤さん、オーヤさん、律くん、あおいさん。みんな平凡ですごくいい。
    何度も笑いながらほとんど止まらず読んだ。わくわくがとまらないし、読み進める手も目も止まらなくて早く早くという気持ちになる。

    吉田さんの本は心を落ち着けたくて読む本としての立ち位置だったが、逆に面白くて興奮することに気づいた。

    ケータイのくだりとか本当に笑った。短編のように短く区切られていて読みやすい。
    つむじ風食堂の夜の続きというか、同じ街でおきてる話?

    近々、美味しいスープを作ろうと思う。

  • 『月船町』シリーズ。
    大好きな世界観。1作目より好き。
    『何も起こらず、何も変わらないのに、それでもやはりうつろいゆくものはあって動かないものとうつろいゆくもののあいだで無力ね町の人たちは、しばしば迷って言葉を失う。』
    文章の一文だけど、このシリーズの世界観を表している感じのする一文だなぁ…と、思う。

  • タイトルに惹かれて偶然手にした本だけど、最初から最後まで登場人物全員に好感持てるし、読み心地の良い一冊。
    サンドイッチ屋さんの手作りサンドイッチにおいしいスープ、近くに小さな映画館があったらもう、最強だな。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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