- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766001655
作品紹介・あらすじ
暮しの手帖社社長、モデル、編集者、いつだって体当たり波瀾万丈のしずこさん。昭和の名編集者花森安治とともに「暮しの手帖」を作り続けた大橋鎭子。90歳にして初の自伝。付録に創刊初期の編集後記とグラビア。
感想・レビュー・書評
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NHK朝ドラ「トト姉ちゃん」を観ていたので興味をもった。今回この本を開いたら最初に出てきたのが私が敬愛する「石井好子さん」からのメッセージだった。胸がキュンとした。時を同じくして活躍していた人がつながっていたという事実に、なんとなく心が弾むような思いがした。
花森安治さんの頭抜けたセンスや信念に応えた鎭子さん。出会うべくして出会った二人なのでしょうね。花森さんの話も読みたくなりました。トト姉ちゃんで出てきた恋のお相手星野さんに該当する方の話は今回出てきませんでした。鎭子さんのロマンスにはきっとロマンスだけじゃない何かがありそうで知ってみたいな。いやただのやじうまか(笑)
あと、今回ドキリとしたのが庶民の戦争体験を残そうと花森さんが言い、募集し、別冊などではなく通常版1冊を全て戦争体験特集にした件。このエピソードはトト姉ちゃんでも出てきたので、ふむふむ知ってるよと思っていたのだけど・・・・・・・。
その戦争体験募集をしたのが昭和44年だというのです。私が既にこの世に生をうけていた時のことだというのです。
なんだかんだ言っても戦争は過去の話であって、自分に直接関係する話だとは思っていなかったのです。でも昭和44年はまだ戦争の傷跡から血を流し続けている市井の人々が沢山いる時代だったのです。そのことを知りショックでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
花森安治さんとともに、「暮らしの手帖」を作った、
大橋鎭子さんの自伝
つねに「やってみよう!」と言うところ、
大変な事があっても拗ねたりしないところ。
情熱と一生懸命は人の心を動かす。
暮らしの手帖のお仕事をする前、
日本読書新聞におられた時、
川端康成先生から、やっと原稿をもらえて、
嬉しくて、はやく皆にみせたくて
駅で下駄の鼻緒がかたっぽ切れたのを、そのまま
走って行くのを、当時花森さんは驚いてみていたそう。
戦時中、皇族の方がどうやって暮らしているかを
雑誌に載せたくて、東久邇成子様(今の天皇陛下のお姉様)に
原稿を依頼するのも面白かった。
依頼する側、される側、言葉遣いも美しい。
他にも色々きっととっても素敵な人なんだなと端々で。
だって、銀行でお金を借りようというときに、
銀行勤務した時代の元上司の方々に、
「自分たちの退職金を抵当に…」と言ってもらえるのって、
信頼されていなければね。
「暮らしの手帖」が大好きだった母上。
「お料理の手のモデルさんがいてね、
働き者にみえる、そして綺麗な手じゃなくてはいけなくて、
大変なんだって」
と幼いころ、教えてくれた。
お!手のモデル、鎭子さんだった!
この本、母上にも見せてあげよう。 -
雑誌「暮しの手帖」の社長だった大橋鎮子の書いた本。
図書館で借りた。
「暮しの手帖」は料理や手芸、エッセイや読み物などが載っていて、隔月刊の雑誌だ。戦後、著者の大橋鎮子と花森安治によって刊行され、広告はいっさいない。
落ち着いた紙面が好きでもう10年近く愛読している。
昔は一世を風靡した雑誌らしく、主人の実家を片付けた時も義母の「暮しの手帖」がたくさん出てきた。それらは持ち帰って私の本棚に納めたが。
本書にはその「暮しの手帖」の始まった経緯や成り立ち、エピソードなどが書かれている。
ポリシーのある雑誌だとは思っていたが、なるほどと思わされた。 -
大橋さんの文章には、品がある。
母が私に「すてきなあなたに」を渡してから、どれだけたったことか。しかしその品は、今読み返しても色あせることもなくかえって輝きを増すようである。
彼女の文章は、優しくやわらかく、しかし芯が通っている。激務の中で作られる雑誌であろうはずなのに、いささかの乱れも慌ただしさもない。
キャリアウーマンの先陣を切っておられたはずの彼女なのに。
仕事の乱れを見せない。しかし精魂を傾け、甘さを排除した結果は、今も尊敬される業績になっている。荒々しさのない、端正な生き方が結果を生んでいる。
私はこの後塵を拝する女になれるだろうか。 -
丁寧に誠実に作られた「暮らしの手帖」
お父さんを早く亡くして苦労された事
バリバリとキャリアを積んで
仕事をこなしていっているはずなんだけど
優しいお人柄がにじみでるような文章です
有名作家さんや皇室の方々に原稿依頼をしたり
アメリカ取材へ行ったり
安森さんのお手紙が表紙になっていて
ほっこりする
素敵だなって思います -
新聞で、大橋鎭子さんの自伝、と紹介されていたので。
子供の頃、家にあった暮らしの手帖を読むのが大好きだったが、編集長は花森さんで、大橋さんの名前が、発行人と編集に載っていたのが不思議だった。
何十年ぶりかに、理由がわかった。
付録の、採録部分も読んで、誌上モデルも結構つとめていらしたことも知った。
内容は、花森さんが亡くなったところで、ほとんど終わっているが、その後のことも、大橋さんの文で読みたかった。
おもしろかった。 -
暮しの手帖社創設者でライターだった大橋鎮子さんによる、暮しの手帖にまつわる想い出話集。
暮しの手帖といえば初代編集長である花森安治が有名ではありますが、広告も一切取らずにここまでずーっとある一定のスタイルを持って続けてきたのは、並大抵の経営手腕ではないと思います。
実際この本を読んでみたら、
14歳で歯みがき粉を販売してみたり、
金のことを考えずに出版社立ち上げたり、
川端康成から原稿を取ったり、
いきなり皇族のひとに原稿依頼にいったり、
アメリカにいってふきんを買い集めたり、
発想と行動力がやっぱりただ者ではなかったです。
俺もこうなりたい。
読んでてかなり憧れると同時に、優しい文章のなかに溢れ出るバイタリティの強さを感じ、身の引き締まる思いがする本でありますよ。 -
「すてきなあなたに」は大好きなエッセイ。一生懸命な雑誌は、編集者が一生懸命だったのだと改めて思いました。
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暮しの手帖って、読んだことなかったけど今度絶対買ってみようと思う。なんだかじんわりと胸があったかくなるようだ。
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暮しの手帖を作り上げた大橋鎭子さんの自伝的本で、暮しの手帖を立ち上げる経緯やその後の苦労、そして暮しの手帖でこだわり続ける様々なコーナーの秘密などをいつもながらの素晴らしい文章で綴られていて、芯の強い素晴らしい女性の姿を感じさせてくれました。近々ブログでも感想書こうと思います。