父・宮脇俊三への旅

著者 :
  • ルックナウ(グラフGP)
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本棚登録 : 37
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766210224

感想・レビュー・書評

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  • 月日の流れは速いもので、紀行文学の大家、宮脇俊三氏も七回忌を迎えました。本書は長女・灯子氏が3年前に記した、追憶の書です。

    我々読者は俊三氏の文章からその人となりを何となく掴んだ気になっていたわけですが、娘の眼から見たその実像は、当然ながら比較にならないほど生々しいものでした。亭主としての君臨っぷりや、気難しさ、そして晩年の有様…家族でなければここまで克明に、かつ優しさをこめて記す事は出来なかっただろうと思います。

    もちろん作品にまつわる挿話もいくつか。「殺意の風景」の裏話はファン必読です。

  • 政治家の世襲は是か非か、議論が盛んになつてをります。制限するのはをかしい、といふ人たちや同じ選挙区で出てはいけない、と地盤を継ぐのを否定する意見などさまざま。
    芸能人も二世が多いですね。七光りと言はれるのを嫌ひ、あへて出自を隠してデビュウするアーチストなどもゐるやうです。
    さういへばフックンのお母さんも女優だつたとかで、結果的に二世といふことになるんだらうな、と自身のブログでつぶやいてゐたさうです。ヤフーの見出しに出てゐました。それよりもこれがニュースになることかな? とも思ふが。

    さて、宮脇俊三さんの長女、灯子さんです。とりあへずデビュウのきつかけは七光りと言はれても仕方ないでせう。しかし、文章に関しては「名編集者」と呼ばれた父から厳しく指導されたやうで、ストイックな姿勢に好感を持ちました。
    今後は、本職?の料理やお菓子の分野で、新しい世界を創りあげていくことを期待ですね。

    ところで本書を読むと、我々愛読者が知らない宮脇俊三氏が存在することに戸惑ひを隠せません。
    晩年の家族に対する蛮行、暴言などは読んでゐて辛いものがありました。
    しかしさういふところに本書の意義があるのだらうから、複雑な思ひもあります。結局、没後6年が経過した今でも、愛読者はまだその死を認めたくないのでせうねえ。うん。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-207.html

  • 作品を通してしか知らなかった宮脇俊三氏の私生活の一部を知る事が出来たと思う。ただ熱狂的なファンは知らない方が良いかも。

  • 332

  • 前述の「最長片道切符の旅・取材ノート」のまえがきに実娘の灯子さんが文章を寄せていた。其処で物書きをされているという事なので、図書館の蔵書を調べてみたら、在庫があったので読んでみる事にした。晩年の宮脇さんはアルコール依存症に罹っていて、休筆宣言をされていたのは知っていたが事実上の、絶筆状態だった様だ。それでも灯子さんが、出版しようとした本の原稿に赤入れされるなど、結果的には世には出なかった本だが、名編集者の力は読んでとれた。

  • 何か舞台裏を見てしまったような感じが・・・
    宮脇俊三の解説書とでもいう位置付けかなぁ

  • 紀行作家で知られる宮脇さんの一人娘の父回想記。娘の灯子さんは父と違い料理作家志願だが、まだ芽が出ないようだ。この本も最初は引きつけるものが弱いと感じた。しかし、全体としては宮脇さんの私生活をよく描いている。やはり、娘の方が父を描きやすいのだろうか。宮脇さんも灯子さんに対しては甘甘。しかし、文章に関しては厳しい。灯子さんはこの父にもう少し生きて文章の添削をしてほしかっただろう。宮脇さんはもと中央公論の名編集長と言われた人だけあって、人脈が広いが、あの北杜夫の隣に住んでいたというのは驚き。また、私生活ではあの世代の特徴でもあるが、まったく家事をしなかったようで、北杜夫の別荘で暮らした時も、奥さんが新聞を片づけてといった言葉に激怒して、ガラスに腕をつっこんで大けがをするしまつ。そして、最後はアル中状態だったそうだ。文章を書くのはそれだけストレスがたまったということだろうか。

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著者プロフィール

1968年、東京生まれ。故・宮脇俊三の長女。成城大学英文学科卒業後、出版社で料理記者をする。退社後、フランス菓子を学び、97年からたびたびアルザス地方を訪れ、郷土料理や菓子について学ぶ。現在、フリーライター。

「2010年 『父・宮脇俊三への旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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