十二世紀宗教改革:修道制の刷新と西洋中世社会

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (712ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766421347

作品紹介・あらすじ

中世宗教学の金字塔
『ベネディクトゥス戒律』 への回帰、
その西欧修道理念に基づく生活への回帰に、
十二世紀宗教改革の真の姿を見る。

「宗教改革」 とはかつて、十六世紀初頭におけるローマ・カトリックの 「腐敗」 に対して異論や批判を唱えるプロテスタント思想家とそれに同調する人々によるキリスト教内の新宗派確立の動きを指していた。しかし、こうしたプロテスタント諸勢力の登場により、キリスト教は救われ、ヨーロッパもまた初期近代世界へと移行したとする旧説は撤回されねばならない。プロテスタント諸派やそれを受け入れた諸国家が改革を進めていたのと同様に、同時期にカトリック側も改革を進め、ギリシャ正教会でも本山のコンスタンティノープルがオスマン帝国の手に陥落するという大事件を受けて大きな変化を経験することになった。宗教改革にとってルターの登場が一つの契機となったことは確かだが、改革運動は、それぞれのセクトのなかで進展していたのである。

本書 『十二世紀宗教改革』 も、本質的にこうした近年の十六世紀宗教改革の捉え方と同じ方向性を持つ。つまり、一般に流布しているシトー会による刷新のみに焦点を当てるのではなく、いずれもその淵源をたどれば、修道生活の成立以来流布していたさまざまな規定をもとに六世紀にモンテ・カッシーノ修道院で成立した 『ベネディクトゥス戒律』 の読み直しへと辿り着く、「黒い修道士」 たちの 「内部からの」 制度的また精神的改革をさして 『十二世紀宗教改革』 のメインテーマへと帰着するのである。

『ベネディクトゥス戒律』 への回帰、その西欧修道理念に基づく生活への回帰に、十二世紀宗教改革の真の姿を見る中世宗教学の金字塔。

著者プロフィール

プリンストン高等研究所名誉教授
1929年ロンドン生。PhD(ハーヴァード大学)。アイオワ大学教授、ハーヴァード大学教授、同付属ダンバートン・オークス研究所所長、プリンストン高等研究所教授を歴任。アメリカ中世学会やアメリカ哲学協会のフェローに加え、フランスの碑文文芸学士院、イタリアのリンチェイ国立学士院、ドイツのバイエルン学士院、イギリス学士院外国人会員などもつとめる、名実ともに中世宗教史の泰斗である。著作に Monastic Tithes from their Origins to the Twelfth Century (Cambridge, 1964), The Letters of Peter the Venerable, 2 vols.(Cambridge, Mass, 1967), Renaissance and Renewal in the Twelfth Century, ed. with Robert Benson (Cambridge, Mass, 1982), Three Studies in Medieval Religious and Social Thought (Cambridge, 1995), The Reformation of the Twelfth Century (Cambridge, 1996), Crusaders and Crusading in the Twelfth Century (Farnham, 2008) 他。

「2014年 『十二世紀宗教改革』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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