トヨタ流マネジメント力: 最強企業「人づくり」の真髄

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  • 経済界
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766783599

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  • <慢心せずに、知恵を絞って改善し続ける組織風土の形成>

    組織で培われた優れた能力や精神を、○〇の遺伝子なんて言い方をする。しかし、遺伝子ならば本来変わりようがない。それらを継承してゆくためには、仕事を通じて日常的に引き継がれなければならない。トヨタでは、「モノづくりは人づくり」というらしいが、本書は、トヨタの人づくりの基盤である、上司と部下の関係を中心に書いている。

    決まったことをするのは作業であり、仕事ではない。仕事とは、自らの知恵を絞りだし、問題を解決していくこと。知恵はあらゆる人間に平等だが、知恵を引き出すにはテクニックが必要で、上司は部下がどうすれば知恵を出すことができるかを常に考えるように仕向ける。要は、困らせることで知恵の出る土壌を与えてやる。相談されても安易に答えを与えない。応急案には合格を出さず、なぜ?を5回繰り返させる。そのことによって、単なる原因ではなく真因を付きとめ、根本的な解決に導く。機械ひとつ使うのでも、そのままではただの自動化だが、トヨタでは、それに人間の知恵を加えて改善をすすめる自働化(にんべんのつく自動化)ができるように指導する。

    上司は現場を知り尽くし、現地現物を大切にする。部下があやふやな報告をすると、たちどころに見抜き、現場を確認する。部下への聞き取りも、漫然と「聞く」のではなく、主体的に「聴く」ことに努め、さらに相手から積極的に「訊く」ことを教える。

    知恵をつけるには一つひとつステップを踏むことが重要。改善には順番があり、「作業改善」「設備改善」「工程改善」の順で行う。この過程を踏むことで、機械や工程にたくさんの現場の知恵がついていき、現場が強くなる。

    トヨタはカイゼンで有名だが、ただ単に改善するだけではなく、「改善したところを、また改善し、さらに改善する」というふうに繰り返す。上司は、最初の改善を成果として認めつつ、部下が慢心しないように「それからどうするか考え」させる。

    なぜ、トヨタほどの大企業が、いわゆる大企業病にかからずに、みんなが改善に励むのか?
    トヨタ生産方式の生みの親、大野耐一氏とともに働いていた筆者の答えは、「トヨタは中小企業の集まりのようなものだから、みんなが一生懸命知恵を絞って改善を進めるのです。」だった。

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著者プロフィール

カルマン社長

「2015年 『「トヨタ式」大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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