コダワリ人のおもちゃ箱

著者 :
  • エクスナレッジ
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784767803296

感想・レビュー・書評

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  • 著者は、趣味に生きる意義について以下のように述べている。

    「今は受験勉強が優先だ。受験勉強はくだらないけど、大学に入ったらパアッっと遊ぶぞ」というのは、若い人の考えることだから実害は小さい。しかし、中年に入って、「今は会社の仕事が忙しいから、好きなことは定年になってからやろう」と考えるのは危険だ。

    人生の時間は十代の若者よりもずいぶん使ってしまっているし、いつまでも健康でいられるとも限らない。

    なので、やりたいことは今すぐやるべきだ、と著者は言う。

    ーーーー

    趣味にこだわる人を趣味人というけども、
    本書は、その趣味人を超えた領域にいるすごすぎる「コダワリ人」の話。

    機関車が好きすぎて、自分で線路ひいて機関車を乗るというもはや趣味の領域を超えた鉄オタの人の話や、息子に自転車で負けたのがくやしくて独自機構の高効率自転車SDVを作り出してしまう父親の話、超高性能なプラネタリウムを自分で作り上げてしまう人の話など、もはやプロ顔負けなレベルの人たちが数多く登場する。

    本書の面白いところは、一度取材をした数年後に再びそのコダワリ人たちを再度取材していることだ。

    これらはたいてい、数年で趣味のステージを上げている。
    このレベルアップが大抵桁違いなのが面白い。

    以下に面白かった点を紹介します。
    ーーーーー

    ◆新しいものは始め受け入れられない。

    明治時代に日本で蒸気機関車が初めて走り出した時の反応は、
    「火を吐いて走るから危ない」だったというし、電話は「実際に出向いて要件を伝えるのが礼儀なのに声だけで済ますというのは無礼」だったという。

    ーーーーーー

    ◆リカンベント型自転車の性能は約25%高い

    寝そべって乗るタイプの自転車をリカンベント型といい、一般の自転車よりも速いことが知られているが、この性能は一般の自転車で時速20㎞のスピードを出すのと同じ労力でリカンベント型は時速25㎞くらいの感じだという。

    ーーーーーーー

    ◆リカンベント型自転車は事故に強い

    リカンベント型自転車は寝転んで乗車しているので事故発生時には、お尻から落ちる可能性が高く頭を強打する可能性が低いため安全性が高いという。

    ただ車からは見えにくいので注意!

    ーーーーーーー

    ◆クラウザー・ドマーニ

    理想のサイドカーを目指して作られたというが、
    このフォルムゴツくてかっこよいと思った。


    カッコいいだけでなくて、サイドカー特有の運転しにくさも解消されているらしい。

    ーーーーー

    ◆記憶する住宅という発想

    住宅を記憶媒体化するという発想に驚いた。
    120TB (テラバイト)の容量があれば、生まれてから死ぬまでにみたすべての製造をMPEGファイルにして保存できるといい、これはすでに利用可能な容量だ。

    ・・・もうそこまで来てるのかというのに驚きました。

    ーーーーーー

    ◆メガスターというプラネタリウム機械

    170万の星空を投影した原版を一人で作った大平さんの話に驚いた。プラネタリウムってただ単に映すだけかと思ってたけど、奥が深かった。

    大平さんの著作『プラネタリウムを作りました』を読んでみようと思った。


    ーーーーーー

    一つの趣味に打ち込むことのかっこよさを本書を読んで感じました。

  • 188

  •  趣味・好きなことを極めた人々の活動を追う。中須賀先生も登場。テーマは乗物と宇宙がほとんど。さすが松浦さん。蒸気機関車,自転車,バイク,エコマラソン,人工衛星,天体写真,プラネタリウム…。ちょっと古い本で,2002年頃の雑誌連載記事と,2006年ころの再訪を収録。この間にさらなる高みに昇った人や,ガラッと状況の変わった人もいて面白い。さらに7年ほど経った今は皆さんどうしてるんでしょうね。それにしても,男ばっかりw

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著者プロフィール

ノンフィクション作家/科学技術ジャーナリスト宇宙作家クラブ会員。1962年東京都出身。慶應義塾大学理工学部機械工学科卒、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。日経BP社記者として、1988年~1992年に宇宙開発の取材に従事。その他メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などの取材経験を経た後、独立。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

「2022年 『母さん、ごめん。2 ― 50代独身男の介護奮闘記 グループホーム編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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