- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784767815534
感想・レビュー・書評
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ああ、これは良い本だ。
近代から現代にいたる文豪の家の紹介。全36人。
ほぼ全てが文学館として保存・公開されているもので、家の外観から書斎や書棚、執筆風景や手書きの原稿、家族との写真、愛用品はもちろん「文士の逸品」としてカメラに収まり、家の間取りまで載っている。どの家もまさに「本を愛する住まい」だ。
庭と庭木がほど良く手入れされており、管理する人たちの手間暇を思わせるのもいい。
文豪って何?という方には中ほどに「日本の文豪」として変遷史が図示されているのでそちらもどうぞ。見開きのコラムがたいそう興味深い。
この風景からあの作品が生まれたのか。
この庭を眺めながらあの句が生まれたのか。
どんな思いでこの終の棲家の日々を過ごしたのだろう。
・・眺めていると涙が滲んでくる。
「暮らした」のではなく「生きた」のだと、語りかけてくるからだ。
驚くほど豪壮な太宰治の生家。
この「家」への思いが、愛憎あわせて作品の基礎になっていたのかも。
終生借家住まいだった漱石は、有名な明治村の「猫の家」が載っている。
夭折の作家・啄木が、新婚時代のわずか3か月だけ住んだという家もある。
聞いた話より見る方が数段驚くのが、江戸川乱歩の家。妖人が愛した幻影の城は、「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」という本人の色紙の言葉そのままだ。土蔵の書斎を見てみたい。
屋敷を上部から俯瞰した写真は、松本清張のもの。
数多くの植栽と庭石と池。ここが思考と想像の場だったのね。
「菜穂子」「風立ちぬ」を読んだ青春の日々を彷彿とさせる堀辰雄の書斎が切ない。
民俗学者・柳田国男の巨大な書斎と引き出しがたくさんついた特注の机に大注目。
蔵元のような北原白秋の家。
お気に入りだったというロシアの民族衣装をまとったワンカットもある。
小泉八雲がこよなく愛した家と庭。
小さな生き物たちは今も棲みついているだろうか。
佐藤春夫の家の高いクオリティに瞠目し、因縁のあった谷崎の家にはもっと驚かされる。風雅の極みのようなたたずまいだ。一日一名の予約客しかとらない高級料亭さながら。
どれも皆心惹かれるが、一番は鴎外の家かな。
開かれたいくつもの部屋が、文学の近代化を模索するサロンとして使われたことを思うと、こみあげるものがある。
ほら、ここにも一生懸命生きた人間がいるじゃないか。
苦境を見事に作品に昇華させた先人たちがいるじゃないか。
辛いことばかりに心がとらわれる時は、牧野富太郎さんの本と本書を眺めてみようと思う。
心が鎮まったら、岡崎武志さんといつもの如く会話しよう。
面白かったね、ああ、面白かったねって。
すべての家に住所・電話番号の情報付き。
文学館・記念館としてHPもあると思われるから、検索してみてね。
お近くだったら足を運ばれたし。ワタクシ、どこも全部行きたい。 -
nejidonさんのレビューから、面白そうなので
図書館から借りてまいりました。
意外だったのは、文豪たちのイメージや作風と、家の雰囲気が必ずしも一致するものではなかったこと。でもそれがまた面白かった。
まずは推理小説を書くおふたり。最近わたしのお気に入りの作家さんたちなので、特にじっくりとお宅拝見。
江戸川乱歩の「乱歩の蔵」は、堂々とじゃなくて、こっそり忍び込んでみたい。そんな怪しい雰囲気が漂ってる。
松本清張の応接間にある「真田家の甲冑」にはびっくり!そして、敷地が大きい!
特に作風や本人のイメージとギャップがあった作家さんは、こちらのおふたり。
とてもお洒落な洋風の家。
細かいところまでこだわってそうなのは佐藤春夫だなぁ。玄関ドアの形、応接間の白い壁のニッチ、八角形の2階書斎が素敵すぎる。
柳田國男のシャンデリアや廻り階段も憧れる。
邸内から眺める庭園が素晴らしいのは、谷崎潤一郎のお宅が一番。
物語に出てきそうな可愛らしい佇まいは、堀辰雄の軽井沢の山荘。
室生犀星の軽井沢の別荘は、しっとりとした美しい庭が印象的。
書斎での、縁側での、お庭での……
家とともにある文豪たちの写真が印象的で、じっと眺めていると何だか胸に熱いものが込み上げてくる。
みなさんの作品は、今も生きつづけてますよ。
そう心のうちで呟きながら、また飽きもせず眺めている。-
うん、うん、やっぱり素敵!
地球っこさんのファンクラブ作りたいワタクシ(*´▽`*)
どうもありがとうございます!!うん、うん、やっぱり素敵!
地球っこさんのファンクラブ作りたいワタクシ(*´▽`*)
どうもありがとうございます!!2020/11/02 -
nejidonさん、何をおっしゃるやら 笑
わたしこそ、nejidonさんの大ファンなんですからo(>∀<*)o
nejidonさん、何をおっしゃるやら 笑
わたしこそ、nejidonさんの大ファンなんですからo(>∀<*)o
2020/11/02
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作家たちの家を紹介する写真資料。
太宰治の青森の生家
修正借家住まいだった夏目漱石は当時の家を移築したもの
盛岡市で新婚時代を過ごした石川啄木の家
博物館化している江戸川乱歩は書斎に凄みがある
松本清張の家には真田家の甲冑が飾ってあるが、その他はいかにも現代書斎という感じで、庭が広大
有島武郎が心中した別荘は観光地化している。他にも自分で設計した北海道の家も残されている。
野上弥生子の家は小さな山の庵
その作家の紹介や人生、その家に住んだ当時の状況が書かれている。
家と間取り、当時の作家たちの写真、庭、書斎道具など、写真も豊富。
作家とイメージ通りかちょっと違うか…。作家にとっての家は住居であり仕事場であり、だからこだ割があったり、少しのところに個性やゆとりが感じられたりする。
間取りも出ているし、住んでいる地域の気候風土によっての特徴もあるので、建築に興味のある方にも良いかも。 -
自分が文豪になった気分で読む
縁側があってたっぷりの蔵書のある
緑の多い平屋に住みたい
ブックオフにて取り寄せ -
やはりトップバッターは太宰でしたか。
斜陽館の外観は本で見た事があったけど、土間や洋間は見た事なかったから見れて嬉しい。
宇野千代さんのお宅も見てみたかったなー -
チョーステキー
やばい家ばかり
和室のステキさといったら!こういういえにすみたい
ただ住みたいね
畳の上に机とペンと さっぱりした家が特に好き
いつかこんな家に住みたし
堀辰雄がいいかも -
明治、大正、昭和に活躍した小説家・作家・詩人の生家、暮らした家を写真を中心に紹介した本。優れた文芸作品が誕生した背景、その底流に流れる芸術性を想像することで、作品そのものも新たな彩りが追加されるように思う。1度訪れてみたいものです。
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★★★★★
文豪の歴々のお宅ハイケン。
漱石先生のおうちの縁側に猫がいる!!
柳田先生のおうちが結構ハイカラでした^^
このほかも趣のあるおうちばかり。住居さえも作品のようです。
文豪ヲタは高校生から多いと聞きますが、この一冊がある図書室はあこがれる気がします。
(まっきー) -
太宰・漱石・子規など、文豪の住んだ家をたどる。記念館や文学館として保存されている家が中心なので、旅のお供に最適かも。
大正~昭和の家が多いのだけれど、ゆとりのあるゆったりとした空気の流れる家ばかりです。
まぁぁ、こんなところに感想を載せてしまって良いものでしょうか。
もったいない・・(*'▽'...
まぁぁ、こんなところに感想を載せてしまって良いものでしょうか。
もったいない・・(*'▽')
でもこの本の良さを分かっていただけて嬉しいです!
清張も乱歩も谷崎も、びっくりの規模ですよね。
作風からは予想もつかない佐藤春夫や柳田國男の家もすごく素敵で。
文豪は質素な暮らしぶりと言う思い込みを吹き飛ばしてくれる本だと思います。
いや、それとも、こういう家だから残ったと思えば良いのかな。復元されているし。
私も、庭や縁側がとても印象に残ってますね。
ああ、ここで過ごしたんだなぁって思ってジーンとしてしまいます。
もう返却してしまった本ですが、お話しているとありありと思い出しますよ。
ああ、本当に行ってみたいです。。
地球っこさん、ありがとうございました!
感想……そうですね 笑
早くnejidonさんに、この気持ちを伝えたくて、コメントに突っ走ってしまいました。
...
感想……そうですね 笑
早くnejidonさんに、この気持ちを伝えたくて、コメントに突っ走ってしまいました。
それでは、このコメントのまま感想あげちゃいます 笑
そんな地球っこさんが大好きです!
そんな地球っこさんが大好きです!