家族は他人、じゃあどうする?: 子育ては親の育ち直し

著者 :
  • 現代書館
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768435939

作品紹介・あらすじ

43歳で父になった福祉社会学者、
ままならない育児に大苦戦!
娘(めっちゃかわいい、けどめっちゃややこしい)と
妻との対話から「ケアとは何か」を考えるエッセイ。

「ぼくはいまだに、とっさに子どもをグイッと引っ張る癖がある」「でも、ふと考えるのだ。なぜ、ぼくはそそっかしいままで、妻は注意深くあるのだろう?」

感想・レビュー・書評

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  • エッセイ、とあるが著者が研究者なので
    少々難しい内容も所々あった

    だが、時間をかけてゆっくり読むと
    引用している文献などの質も良く為になった

    社会に蔓延している成果主義や自己責任論、そして馬車馬の論理が、実は私たちの家庭生活に非常に関係していることが理解できた

    仕事は仕事、家は家と分けて自分のスイッチを変えるもんだと考えてきたけれど、ままならない子どもと向き合う育児の中に、社会の問題が非常に関係している

    他にもメモしておきたいような言葉がたくさん詰まっていて、おすすめしたい一冊

    でも一点、著者の妻がちょっと出来すぎた方なので、他の女性やパートナーもそうだと思われては困るなぁ

  • ものすごく共感の嵐、身に覚えのある後悔、、自分の親としての言動を振り返り、まさに「親の育ち直し」をするのにとても良い本だった。
    一度感銘を受けても、ついつい日常の慌ただしさの中では忘れてしまう。すぐに手に振り返りができるところにおいておきたい一冊。

  • 人として生きたい
    その為に参考になる1冊
    誤解を恐れず言うなら
    女だから子供産んで一人前
    昔は当然ように言われたことが
    違う意味で参考になる

    色々あった私だけど、産んで良かった

    そしてだからこそ
    今後、私に関わる人間関係に
    何らかの形で活かしたい

    そう思わせ一冊

  • 本書は社会福祉の研究者である筆者が、自身の子育ての過程でぶつかった家族の問題を省みる形で進行するエッセイである。

    研究者らしく論理的な説明に終始しているが、その中で筆者の人間臭さが垣間見えることから、分かりやすく共感できる内容であった。

    本書の内容をすべて実践できる親はもはや聖人君子だけだろうとは思うが、つい子供を怒りそうになったときに一旦冷静に分析するように試みるだけでもしてみようと思う。

    イヤイヤ期の子供をもつ親として読んで良かった一冊であった。子育てへのイライラを我慢(アンガーマネジメント的な)で片付けるのではなく、その源泉を理解しようとする考え方は目からウロコであった。

    子育てを辛く感じるパパやママにぜひ読んで欲しい。

  • タイトルの「家族は他人」というフレーズに興味を惹かれて読んだが、すんなりと共感出来たかというと「うーん…。」まず、著者が福祉の専門家で、例えば「ケア」などの言葉を専門の定義を当てはめて論じたり、一般的な広い意味合いでも使ったりしていたり、専門性と汎用性が行ったり来たりしてる感じがちょっと読みづらい。エッセイだからなんでもありで良いと思うけど。共感出来たのは冒頭の「夫婦生活とは、価値観の違う「赤の他人」との共同生活でもある」という文。そのように思える人ならば、著者のように子育てを通してじぶんも育てられてるという風に捉えられるのだろう。違和感を感じたのは「共働き家庭やシングル家庭が増えてくると、ケアの論理を他者(多くは女性)に押し付けて男性である自分は馬車馬のように働くという論理が日本社会にいまだに幅をきかせている」というところ。そもそも女性の権利や機会をないがしろにしてきたことに問題があるという視点は感じられない。仕事が福祉やケアや子育てなら、自分の子育てを仕事として捉えて関連付けて言語化するまで時間を割いて考えられるしな、とも思う。ちょっと羨ましく感じてるのかな。エッセイといってもユーモアがあるわけではなく、子育てにおいて考えたことを論理的に言語化してみたという感じ。ちょっと理屈っぽいかな。「関係性の中での心配ごと」の論理もちょっと引っかかる。娘に「靴下が汚れるから降りないで」ということの背景に親の「その癖がついたら困る」という決めつけがあっても問題ないと思う。こんなに細かく娘に気を配る子育ては私には出来ないな。子育てにおいて「気持ちの余裕」は大切だと実感する。待ったり、観察したり、相手に合わせたり。経済的に体力的に、そして精神的にそれが難しい時も多々あるし、環境的に難しい人も多いと思う。「じゃあどうする?」のヒントはあまり得られなかった。どんな子育てでも夫婦でも、いろんなことに直面して悩んだり試行錯誤していくことに自分育ちがあると言えると思う。正解なんてない。著者の妻の出来の良さをのろけてるのかな。子育てや福祉に限らず、あらゆる面で今の日本は余裕がないと思う。一部の余裕を作り出せる人とそれ以外の格差が大きい。少なくとも私にはあまり響かなかった。期待して手に取っただけに残念。

  • 福祉を研究している男性の著者が、自身の娘やパートナーとの生活からの気付きをエッセイにした本。他者、そして自分とどう向き合うのか、子育てしながら学ぶことってほんとに多いなあ。

  • どなたかがお勧めされていた本で購入。
    作者と歳も近く、家族構成も似ていて、何か自分の家族のことのように思いながら読んだ。社会福祉の専門家である作者と同様、私も曲がりなりにも子どもの専門家であり、自分の子育てを自分の専門に照らし合わせて「語る」ことはできるのだが、知識があっても実践できるわけではないというのは筆者も述べる通り。これだから頭でっかちは困る。難しいこと言わんでもきちんと子供と向き合い、子育てを実践している人は世の中にゴマンといる。羨ましい限り。ペアレンティングの話をするときに推薦図書としておすすめしたい本ですね。しかし、全編通して反省に満ちていて、奥様に頭が上がってないように見えるのもまた共感しました。

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著者プロフィール

竹端寛(たけばた・ひろし):1975年京都市生まれ。兵庫県立大学環境人間学部准教授。専門は福祉社会学、社会福祉学。主著は『「当たり前」をひっくり返す―バザーリア・ニィリエ・フレイレが奏でた「革命」』、『権利擁護が支援を変えるーセルフアドボカシーから虐待防止まで』(共に現代書館)、『枠組み外しの旅ー「個性化」が変える福祉社会』(青灯社)、『家族は他人、じゃあどうする?』(現代書館)など。


「2023年 『ケアしケアされ、生きていく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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