つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?

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制作 : David J. Linden  夏目 大 
  • インターシフト (2009年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772695169

つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?の感想・レビュー・書評

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  • 脳はアイスクリームを積み重ねていただけ。

  • 人間の脳が良くできたものだといつから錯覚していた?著者に言わせば、それはその場しのぎで継ぎ足された進化の結果による、冗長でいい加減な代物に過ぎない。とはいえ、これだけ増設されてきたからこそ他の種族と違い環境による成長を必要とし、その非効率的な隙間にこそ記憶や夢、愛情といった人間らしさが生まれる余地があったのだというのだから面白い。また、そうした出鱈目な状態に対して一貫性を持たせる機能としての「物語を作る能力」が存在するという話は刺激的だ。人は人であろうとする限り、意識的にも無意識にも物語を必要としている。

  • 世に題名に偽りのある書籍は多いが、この本はきちんとその答えを出していて著者の人柄が偲ばれる。誠実だしユーモアがある。そして、スケベなところもある。
    お父さんが精神分析医でご本人は脳神経生物学者。今のわたしのテーマにピッタリの人。でも、わたしは読んだことすぐ忘れちゃうんだよな...

    行き当たりばったりに進化してきた脳がこんなにもまともに働いている。わたしも行き当たりばったりに生きてきてこうなったんだと思って、まぁ、いいっかぁ〜となった。

    この本は、フロイトさんやラカンさんを読んで、脳における記憶の仕組みが知りたくて読んでみようと思った。

    っていうか、実は初めてこの本を知ったのは、いつもの様にブックオフの棚だった。ふと手にとって面白そうだなとは思ったが、1,150円だったので買うのがためらわれた。でもどうしても気になって何日かしてもう一度ブックオフに行ってみると既に売れてしまっていた。逃した魚は大きい!それから気になっていたのだが、次に見かけたのが池谷裕二さんのツィート。「同業者として“神様"のような存在」と絶賛されてこの本が紹介されていた。それでまたまたテンションが上がる。それでも読まなかった。初めてみた時の1,150円が頭から離れない。俺には買えない…Amazonでも中古がいま現在1,514円している。無理である。ところが、世の中捨てたもんじゃないんで、九大学研都市駅にある西武図書館の書棚で見つけるのである。こちらは無料。それですぐさま読むかといえばこれがなかなか読むことができない。なぜかはわからない...

    で、今回なんとか読めたわけだが、しかし、まぁ〜、これだけ期待させておいて期待を裏切らない内容なのだから凄いですね。ありがたいことです。


    Mahalo

  • おもしろい本だった。
    著者はジョンズ・ホプキンス大学医学部・神経科学科教授。脳の可塑性の研究分野では、国際的リーダーの一人。

    著者が一番いいたいのは、本書の中で何度も繰り返される、”脳は3重ねのアイスクリームコーンのようなもの”というところだろう。とても視覚的なわかりやすい例えだと思う。1段目はカエルが持っているような脳幹、小脳、中脳、2段目はネズミが持っているような視床、視床下部、辺縁系、3段目はねずみでも持っているが人間で巨大化した大脳皮質。つまり、脳は綺麗にデザインされたようなものではなく、進化の中で新しい機能を積み重ねて言ったようなつぎはぎだらけのものだ、ということだ。

    そしてこうした脳の特性から、なぜ人間はどんな文化でも宗教を持つのか、といった人間の特性が説明される。確かにどこの文化でも宗教に類したものはありそうである。脳は物語作り、の性癖を持っているらしい。脳はわずかな知覚、記憶の断片を繋ぎ合わせて物語を作ろうとする特性があるらしい。

    確かに人は思春期くらいになると、人は何故生きるのか、人生の目的は何か、とか考え始める。これは、我々の人生のストーリーは何か、といったことだろう。日常の出来事は断片的に見える。それに何か一環したストーリーがあるはずだと。また、人の人生が死んだら無になる有限のものだとすると、生きる意味なんてないような気がする。こうなると、死後の人生、輪廻転生といった概念を発明しストーリーを作り出す。こうしたことが人が宗教を求める理由なのだろう。そしてそれは、左脳の特性である。

    それにしても、こうした脳科学の本やアドヴァイタ系精神世界の本を読んでいると、”ストーリー”というキーワードが頻出する。この世界は類似点が多く、興味深い。

  •  2007年と若干前に書かれている(のを最近読んだ)のだけれど、それでもやっぱりおもしろいなぁと。これからおもしろいんでしょうね。

  • 翻訳本にありがちな読みにくさ

  • 脳の専門家が「脳とはどういうものか」を分かりやすく、論理的に教えてくれる。脳について今分かってることと、まだまだ分からないことも教えてくれて、まだまだ脳は謎が多いということがよく分かる。



    脳について超絶専門的な本はあるし、適当な言葉で書かれた本もあるし、エセ科学本や脳と書いた心理学の本もある。しかし、「脳って何やってるの?」「大体どんな感じなの?」という問いに上手に答えた本は未だ見たことがなかった。本書が初めてそれを見せてくれた。

    正直本の表紙に惹かれて買ったので、そんなに期待してなかったが、えらくいいほうに裏切られてよかった。


    脳についてはほぼ毎日のように新しいニュースが流れているが、どちらかというと心理学的なネタや研究報告がほとんどで、本当にすごいニュースは目に入りにくい。脳のニュースを見てると、今まで常識的に感じていたことがきれいにひっくり返されるものが多い。物理を学んだ俺としては、物理の訳分からんニュースやネタに振り回されることはないが、脳については全くイメージがないので振り回されまくりだった。


    あんまり振り回されたくないので、脳ってどんなもんなのかを知りたいと思って、この手の本を探してた。脳の専門家になるつもりはないが、脳の仕組みや機能の大枠を知らないと、振り回され続けるからなw


    脳というものは神秘的な語られ方はするが、そんなすごいもんでもないよ。というのが語られてた。ツギハギというのはうまく表現してるよな。


    最後の方に宗教の話も書いてあったが、なんかあったんか作者w

  • 性格は遺伝するのか?
    知性は遺伝するのか?
    同性愛など性的嗜好の場合は?
    記憶はどんな仕組みで実現するのか?
    何かを感じている時、脳内ではどのような動きがあるのか?

    等、脳に関する様々な疑問をお持ちの方も多いかと思います。

    本書はこの脳に関する解説本であり、著者が脳の可塑性の研究の世界的第一人者と言う事もあり、中々充実した内容が載っています。

    全9章からなり、それぞれ以下の様な内容

    ・脳は昔の仕組みを捨てず、その上に新しい機能を追加するという非効率な仕組みを持っている
    本書の表現を借りれば、T型フォードに部品を追加して新しい機能を持たせた(しかもT型フォードの部品は一切捨てず)様なものとの事。

    ・ニューロンとそれらを結ぶシナプスの働き方などの解説

    ・脳は巨大で複雑なシステムを持っているので遺伝子情報だけで創り上げるのは不可能。
    従って、20歳くらいになるまで周囲の環境の影響を受けてシナプスが結ばれるなど、成長して行く

    ・上記の理由により、個人の知性や性格に対して氏と育ちの双方が影響を与える。

    ・感覚器官から得た情報は、既に感情とミックスされ処理されたもの。
    感情がミックスされていない「純粋な知覚」などは存在しない

    ・脳は誕生後も成長しているので、男女の脳に違いが生まれるのはホルモンの所為だけでなく成長環境も影響しているのかも知れない。

    ・性的嗜好と遺伝の関係

    ・睡眠と学習効果の関係

    ・夢に意味はあるのか?

     
    等が載っていました。

    特に、夢に関する著者の推測

    夢の70%はネガティブな感情を伴うもの。
    夢にネガティブな内容が多い理由は、脳は寝ている時に記憶の定着を行うが、ネガティブな感情を抱いた時に人間の記憶が定着しやすいから。

    は興味深い内容でした。

    また、男女の結婚に関しても

    女性は他の動物のメスとは違って妊娠可能な状態であることを示す外部シグナルを持たない
    これは、妊娠可能な状態であることを男性に示すと、そうでない状態の場合、男性を引き止めることができないから。
    男性を引き止めたい理由は、誕生後も脳が未完成な我が子の子育てに男性の協力がほしいから。

    との推測も載ってあり、若干根拠に乏しい推測かとは思いましたが、これも中々興味深い内容でした。

    尚、本書終盤にはそれまで著者が解説・主張してきた事をまとめたフロー図的な解説図も載ってあり、それにより今、人間が持っている人間性がどのように獲得されたのかに関する著者の考えを知ることが出来ます。


    最終章の9章で、脳をルーブ・ゴールドバーグマシンに例え、インテリジェントデザイン論へ反論している本書。

    良くある「氏か育ちか」議論や性格と遺伝の関係(有名な所では血液型性格診断)、知性と遺伝の関係などに関する議論において、冷静な視点を提供してくれる本と言えるでしょう。

    2章のニューロンとシナプスの解説は(その後の理解を順調にする為にも)丁寧に読む必要がありますが、基本的に門外漢にも理解しやすく書かれており、脳に関する確かな知識が欲しければ、真っ先に読むべきおすすめな書籍ではないでしょうか。

    原著が2006年に書かれたということもあり、内容に最新の研究結果は反映されてはいませんが、それでも本書を読破するだけで脳に関する知識が急増すること間違いなしです。

    脳に興味をお持ちであれば、是非一読を。

  • 「脳は美しく完成された神秘的な器官などではない」というテーマは斬新でぐっとくるものがある。しかし、通して読んでみると、そのテーマに沿った主張を展開しているというより、むしろオーソドックスな脳科学の一般向き解説本である。
    ただ、「XX分子が作用しXXX受容体の活性が変化する。すると、XXXイオンの移動量が変化し、XXXという物質が作られる結果・・」というような、難しい分子生物学の説明が延々続くところなどがあり、若干一般向きというにはどうかなというところも。

  • 進化という偶然が生んだ“出来損ないの器官”。それが脳だと著者は言う。我々の常識を破る話題を追ううちに最新知識が身につく。

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つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?の作品紹介

その場しのぎで進化してきた、つぎはぎだらけの脳。"人間らしさ"も、こうしたいい加減な作りの脳からこそ、生まれた。私たちの愛、記憶、夢、神…なども、その産物にほかならない。"脳の可塑性"研究における国際的リーダーであり、池谷裕二氏が「同業者として"神様"のような存在」と称えるリンデン教授が放つ、脳と心の常識をひっくり返す話題作。

つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?はこんな本です

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