野性の知能:裸の脳から、身体・環境とのつながりへ

  • インターシフト
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772695367

作品紹介・あらすじ

 ・脳・身体・環境は、どうつながっているのか?
 ・なぜ大きな脳がない動物でも、「賢い」行動をとれるのか?
 ・なぜ人工知能の開発は、上手くいかなかったのか?
 ・大きな脳はなんのためにある?
 ・記憶は脳に貯蔵されない。
 ・掃除ロボット「ルンバ」の昆虫のような知能とは?
 ・赤ちゃんは世界を身体でどう感じている?
 ・動物の心をほんとうに理解するには?
 ・・・・

 脳至上主義を脱し、<あるがままの世界>に開かれるためのガイド!

 【書評】知能を脳から解き放て! 村上浩『HONZ』
  http://honz.jp/29181

感想・レビュー・書評

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  • サブタイトルの「裸の脳」とは、脳という機関が、外部環境から切り離されて自律的に駆動するものではないことを指す。身体というインターフェースを通じて環境と繋がっていることが重要で、意思決定のように見える行動さえ、時には環境起因の自動運動に過ぎないものもある。

    本書は全般を通じて、動物学から心理学、哲学まで広範にカバーしつつ、その全てに学術的な知見を紐づけて論が進められる、知的興奮を味わえる一冊になっている。

  • 認知科学では、脳至上主義から、身体と環境のかかわりを重視する研究が盛んになっているらしい。
    ☆「野性の~」というタイトルのつけ方がいやらしいな。

  • 骨のある内容だったが、面白かった。

  • 著者は、主に霊長類の行動と環境・認知のかかわりについての研究者。この研究の応用として、ロボット開発のフェーズシフトを訴えている。

    「脳は行動の司令官」、「脳は記憶の貯蔵庫である」という考え方を捨てて、 「身体と環境の相互作用によって行動は生まれる」「記憶は行動の再記述である」という立場から、発達心理学、生態学的心理学の知見を応用している。

    第10章の発達心理学(ヴィゴツキー、ピアジェなどの研究)が、今後のロボット開発の重要なヒントを与えているような気がする。

    気になる箇所
    プリンターの中央制御司令の輻輳の解決策(p.248)
    赤ちゃんの把持行動(p.259)
    「身体図式」こそ知覚領域の中枢(p.254)
    五感のマルチモダリティ(p.268)

  • 第1章 人間そっくりは間違いのもと
    第2章 擬人化って何?
    第3章 小さな脳でもお利口さん
    第4章 奇想天外! ケアシハエトリ
    第5章 大きな脳が必要なのはどんな時?
    第6章 生態学的心理学
    第7章 メタファーが生む心の場
    第8章 裸の脳なんてない
    第9章 世界は生きている
    第10章 赤ちゃんと身体
    第11章 空よりも広く
    エピローグ あるがままの世界を見るために

  • 人間及び動物の認知は、脳だけで行われるものではなく身体を通じた知覚に寄るものであるとして、ここしばらくの脳偏重をただそうとする著作である。
    確かに脳は環境の変化によりよく対応するものではある。たとえば、象は年を取ったボス(メス)が率いる群れの方が他の群れとのコミュニケーションがうまく、争いが少ない。が、脳は発達に時間がかかるし、エネルギーを食う。特に生涯での環境の変化の可能性が低い短い寿命の生物は脳の機能を少なくして自然淘汰による変化で対応した方が効率的である。
    動物の体の機能は様々であるが、それと環境の組み合わせにより何が出来るかという認識が積み重なり、それに脳の働きが加わって高度な技能とその応用が発揮できる。
    また、一見知性的に見える動物の行動、鳥の貯蓄などは少しでも手順を変えるとワークしない。あるいは、非常に単純な行動の組み合わせであったりする、人間のような知性は異なるものである。むしろ人間がそこに無理矢理擬人化/人間の尺度の適用(この動物はかしこい!)を行ってしまっており、自然や動物を理解する妨げとなってしまっている。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784772695367

  • この本の中心は「動物をありのままの姿で理解すること」である。人間に当てはめて考えがちであることへの反省である。

    昆虫や発達の初期段階にある赤ん坊を例に知性、知能に見えるものの本質を述べている。

    アフォーダンス、動物と環境の相補性、として捉える事が必要だと説いている。「進化は節約好きな過程」とあるように動物自体、環境およびそこで起こる物理現象、これらの相互作用から生じるものに、知能や知性を重ねてしまっているのである。

    ノイマン型コンピューターを脳になぞらえて考えることについても警鐘を鳴らしている。コンピュータのそれを人に当てはめて考えるのも強引なことである。

    野性の知能 http://booklog.jp/item/1/4772695362 #booklog

  • 出版社サイト(目次ほか)
    http://www.intershift.jp/w_yasei.html

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著者プロフィール

レスブリッジ大学の心理学教授。主な研究テーマは、動物の認知と行動。とくに霊長類の行動と環境・認知のかかわりについて調査研究を進めている。また、「身体化された認知」をテーマとする講座も開催。

「2013年 『野性の知能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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