量子論はなぜわかりにくいのか 「粒子と波動の二重性」の謎を解く (知の扉)

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  • 技術評論社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774188188

感想・レビュー・書評

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  • 量子論について、巷の「位置や運動量が確定しない」とか「粒子であると同時に波である」といった説明がその理解の害にすらなっているとして、よりわかりやすい説明を提示する、というのがこの本が行う試みである。著者に言わせれば、「常識的な立場から」量子論を理解しようとするものである。

    その心として、まず次の二つのことが理解される必要がある。

    ・位置や運動量が確定しないのは、粒子の量子論で粒子と見なしたものが、実は、エネルギー量子という波であることに由来する
    ・粒子の量子論が、「場のリアルな波動によって引き起こされる現象を近似したもの」だと考えられる

    つまり、粒子というものの理解を変えれば、何も不思議なことはないということが著者の主張である。
    そのためには「量子論を真に理解しようと思うならば、場の量子論を勉強する必要がある」というので、実際問題としては理解できないことに代わりはないのだが、確かに場の量子論からすると何も矛盾するものはない、という方がシンプルである。

    EPR論文に関しても粗雑な議論と切り捨てて、それほど常識外れなものではなく、「単に、人間が識別できるような終状態が互いにデコヒーレントであることを指摘すれば充分である」とする。

    要するに場の量子論をきちんと理解しないと、量子論の世界は理解できないんだなということは理解した。

  • 量子理論は、面白いけど深く知ろうとすると
    難しくて理解不能です。
    でも、量子についての粒子と波の両方の性質
    についての説明はとても面白いと思った。

  • 難しいけど、他の教養書にはあまり書かれてない視点からの話が書いてあるので吉田伸夫先生の方は分からないなりにもおもしろいです。
    場の波動をリアルにイメージすること。場の量子論を理解すること。
    デコヒーレンス、EPR相関。

  • ほとんど数式は使われず、言葉による説明。対象は場の量子論も含んだ量子力学を一通りまなんだ者向けか。
    思いの外手強い。それは量子論の手強さなのだが、原理的な問題なので、応用上はあまり関係がないだろう。理論の意味とイメージをより根源的に考えたい人向けだ。

著者プロフィール

1956年三重県生まれ。大阪大学理学部物理学科卒業、同大学院博士課程修了。理学博士。専攻は、素粒子論(量子色力学)。東海大学と明海大学での勤務を経て、現在、サイエンスライター。 著書に、『時間はどこから来て、なぜ流れるのか? 最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」』(講談社ブルーバックス、2020)、『量子論はなぜわかりにくいのか 「粒子と波動の二重性」の謎を解く』(技術評論社、2017)他。

「2020年 『談 no.117』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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