- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784775519523
感想・レビュー・書評
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よくある♂花嫁モノかと思って、楽しめればそれでよしと購入した作品。ところが、不覚にも感動してうるっとさせられてしまいました。
タイトルがドタバタコメディっぽいんで、躊躇する人も多いはず。ストーリーは、タイトルとはかなーりニュアンスが違っていますよ。
でも、日向が6年前にイジメで万引きさせられそうになったところを助けてくれた、友禅工房の跡取り息子である総のために、ひょんなことからずっと着物で女装するし、白無垢姿もあるので…まあ花嫁モノです。
この日向が、とてもいい子なんです!純粋でまっすぐで、あこがれ続けてきた総のためなら何でもしようという強い意思もあります。
総のために何かしたい、力になりたいという思いが、押し付けがましくないのも好ましいです。
日向を助けてくれた時の明るく頼もしかった総が、絵も描かずに無気力な日々を送っているのを知った日向は、工房の存続問題以外にも何かを抱えていることに気がつきます。
彼のために工房を守ろうと、日向は女装も厭わず健気に尽くし続けます。
どうして画が描けなくなってしまったのか、その悩みを隠したまま日向に無茶振りしたり、Hな意地悪をしたりする総ですが、ちゃんと愛情も滲み出ていて、彼の中で日向の存在がどんどん大切なものになっていくのが伝わってきます。
二人の暮らしぶりがとてもいいんですよね。日向と、トメや芳作とのやりとりも温かい気持ちにさせられます。
花がいっさいなくなってしまった庭に、日向があれこれ手を尽くし再び花一杯に蘇らせて、そこへ青い鳥がやってくる場面は印象的でした。
日向が総のために心から尽くしているのが、胸に迫ってくるんです。
献身的。しかも、そうすることがちっとも苦にならなくて、総の側にいることが幸せだといつも考えているのがいいです。
そんな日向にほだされて、いろいろ悩み苦しんでいた総が友禅工房を再始動させていきます。お母さんの日記に、胸が熱くなってしまいました。
誤解が解けて、総も再生して、本当に良かったと思わされるエンディングです。
さらに、よかったのはエロ。
絡みシーンの描写が、とても萌えます。特別濃厚ってわけじゃないんですが、二人の置かれている立場や状況で、より煽られることに。
話の作り方がとても上手い作家さんで、読み終わった後も心に残るものがあります。
ちょっぴり敬遠しているジャンルの作品が多いせいか、初読みでした。これを機に、他の作品も手に取ってみようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示