ゲイであることを会社の先輩に知られ、
それを言いふらされたために居づらくなり
田舎の支店に転勤してきた節。
社宅にあてがわれた離れの母屋に住む津守に
ゲイであることを見抜かれ、半ば強引に抱かれてしまう。
ぶっきらぼうだけど親切な部分もある津守と
同棲のようなセフレのような状態になり、
いつしか情も湧いてしまい…。
自分のセクシュアリティを完全に受け入れていなかった
主人公が最初のセックスに大変ショックを受けるなど、
描写が細やかでリアリティがあります。
言いふらした先輩は通常のBLでは悪役でしかないけど、
物語の後半で、先輩は先輩で性的な対象に
見られていたことに裏切られた気持ちを持ったのだ、
と言うことを主人公が知るというくだりなどは新鮮でした。
後半の突然の妻子登場と即退場は
若干、え~…と思ってしまったな…。
何であんな女と結婚してしまったのだ。
作者は元々TL作家さんだということで
文章も読みやすく、エロも結構多めで
津守は強引だけど痛いことはしないので
サラサラと読めました。
だけど萌えるまでに至らなかったのは、
二人は情に流されたという感じが否めないこと。
そこの場所にいたなら他の人でもよかったのでは。
そういう恋愛、実際にいくらでもあって
本当にその辺リアルだと思うけど、
物語でぐらい運命の愛を信じたい気持ち。
あと、職人攻めにワクワクしてたけど、
輪島塗の沈金師という設定はそんなに生かされていなかった気がします。
もうちょっと蘊蓄あっても良かったかな。
帯の「彼の筋肉質な半裸から目を離せず…」に
正直何故依田さんをイラストにしたの?と思ったけど、カラー口絵の広い背中が色っぽかった。
そして普段の依田作品では見られないエロ挿絵も見られたので良かったですw
★1つ分はイラストの分です。