「聖なるあきらめ」が人を成熟させる

著者 :
  • アスコム
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本棚登録 : 82
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776208624

作品紹介・あらすじ

「聖なるあきらめ」とは、前向きにあきらめること。物事に執着しない「諦め」、物事を明らかにする「明らめ」、この二つから成る、人生を賢く生きぬく知恵なのです。

感想・レビュー・書評

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  • 個人的には微妙。

  • あきらめる:
    ・「諦める」。「投げ出す」「執着しない」
    ・「明らめる」。あまりなじみのない書き方ですが、仏教の世界で誕生した言葉で、「物事を明らかにする」「心理に達する」「つまびらかにする」という意味です。

    上梓(じょうし)

    「現実を受け入れて返ってこないものは諦めないとしょうがないでしょう。私は夫とも別れ、息子も失いました。苦しいのはあたりまえです。けれどもどんなに苦しくても、私自身はずっと、生き続けていかなければならないのです。」

    執着を手放す第一歩は感謝の心を持つことから

    ::::::::::::::

    ある兵士の祈り

    大きなことを成し遂げるために力が欲しいと神に求めたのに
    謙遜を学ぶようにと弱さを授かった

    より偉大なことが出来るように健康を求めたのに
    より良きことができるようにと病弱を与えられた

    幸せになろうとして富を求めたのに
    賢明であるようにと貧困を授かった

    世の人々の賞賛を得ようと成功を求めたのに
    あらゆることを喜べるようにと生命を授かった

    人生を享楽しようとあらゆるものを求めたのに
    あらゆることを喜べるようにと生命を授かった

    求めたものは一つとして与えられなかったが
    願いは全て聞き届けられた

    神の意に沿わぬものであるにもかかわらず
    心の中の言い表せないものは全て叶えられた

    私はあらゆる人の中でもっとも豊かに祝福された野田

    (訳:G.グリフィン神父)

    ::::::::::::::::::::::::::

    失ったものを嘆くのではなく、キッパリと諦める。
    そして、明らめることで残されたものを見つけ、その大切さに気づき徹底的に感謝をして、「あるもの」を活かしていく。つまり、できることに全力投球をしていく。

    (癌になった親友に対しのアドバイス)
    「私が会話の主導権を取らなくては」と思うこと。
    「相手を励さなければ」と思うこと。

    (火傷の事故後)
    「私はこの事故以来、自分の中に一つの信念を根づかせました。それは、「誰も信用してはならない」という信念です。火傷の直後、自分が死にかけて苦しんでいるときに、唯一の味方だと信じていた母親はすぐに助けにきてくれなかった。母親が助けてくれないのに、世界中の誰が自分の味方をしてくれるだろう。
     『誰にも期待をしてはいけない』『何でも自分の力で解決しよう』、そのような信念です。そのおかげで大人になって会社を起こしてからも、そのような姿勢が幸いして、誰からもつけ込まれたり乗っ取られたりせずに経営を続けてこられたに違いありません」

    女性にとって一番生きるのがつらい時期というのがあります。それは更年期障害になる前の38歳からの10年間です。あまり知られていませんが、実はそのひとの価値観などが大きく変わる時期なのです。その「真っ暗なトンネルのような苦しい10年間」を超えると、皆さんは今までのことがまるで嘘のように悩みから卒業をしていかれます。

    あきらめる(精一杯やったことを明らかに認め、余計な心配をし続けるのを諦める)ことができてこそ、なんとかやっていけているのです。

    三つのいいこと
    1:イメージトレーニングをすること
    2:感謝をすること
    3:祈ること(自分のことではなくひたすら相手のことを)

    ◉矛盾がつきものの経済活動を通じてしか人は生きられず、自分一人の命さえ守ることはできないのです。

    「あの人は怠け者だ」と誰かを批判していたら、そこに隠された意味は「私だって怠けたい」ということ。

    厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、「退屈している人」というのは「怠け者である」と言えます。なぜなら、自分から周囲の「いいことを見つけ出す」努力をしていないことになるからです。

  • あきらめは、諦めではなく、明らかにすること。
    人生で大切なことは、知ること、愛すること。
    自分をよく知り、感謝して生きる。

  • 明らかにさせること、が如何に重要かを示した一冊。狭いところ人間関係、広いところ人生について考えるきっかけになる作品。

  • つい一昨日、日本橋に新しくできた誠品書店で偶然手に取り、お店で少しパラパラ読んでたら、涙が止まらなくなり、これはもう買って読むしかないとそのままレジで購入した本です。

    あきらめる、この言葉は決してマイナスの言葉ではないのだと知りました。

    まさに今の私に必要な言葉がたくさんあり、買ってよかったと心から思えた本です。

  • すごく大切なことがたくさん書いてある。
    製薬会社で営業をしているが薬の害を考えてしまってつらいという事例に対して…
    「人とはこのような矛盾を抱えて生きざるをえないこともあるからです。矛盾がつきものの経済活動を通じてしか人は生きられず、自分一人の命さえ守ることはできないのです。」
    「もし、自分に矛盾を感じたら……。「自分は分裂している」という現状をよく自覚しましょう。すぐに解決できないときは、矛盾している状態を無理やり解消することは諦めて、あるがままに受け入れることです。すると、自分で努力できる範囲が明らめられます。あとはそれに向かって努力するのみです。」

    そうか、わたしが会社を辞めるときにこの言葉を聞いていたら辞めずにいたかもしれないな。
    「大きな矛盾の中にあっても、できる限り「最善の道」を洗濯しながら歩んでいく。白黒(善悪)をはっきりさせにくいことを、モヤモヤしながらも受け入れていく。それは、ある意味とても人間らしい生きる姿勢ではないかとさえ感じます。」

    吉田茂元首相が英語を克服しようとしなかった話も興味深い。
    「吉田さんは、自分の適性を明らめることで「語学が並はずれて得意でない」のを自覚して受け入れ、「母国語のように語学ができない自分を責めること」や「外交官としてのキャリアアップ」を諦めたのでしょう。そこで吉田さんはさまざまな人の力を借りることを覚えて「外交官を極める道」ではなく、「政治家への道」を選んだのです。」

    なるほどねえ~…
    がんばるばかりが能ではないんだよな。
    「解体新書」のことを思い出しちゃった。実際に訳したのは前野良沢なのに、杉田玄白の本ということになっていることに憤りを覚えてしまうんだけど、杉田玄白にも、コーディネーターとか、また違った才能があったということなんだろうな。
    語学はだめだから、諦めて、明らめたのかもしれない。それはそれで素晴らしい。まあ、それでもわたしには、どうしても前野良沢さんが不憫に思えるんだけど。話が全然違う方向に行ってしまった^^;

  • 構成を担当させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

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著者プロフィール

聖心会シスター・文学博士
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。フランスとイタリアに留学。
米国スタンフォード大学客員教授、聖心女子大学教授を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。聖心会会員。
修道院で8 年間にわたる沈黙の行を経験し、長年、日々の瞑想を実践。
教育活動のほか、ゲシュタルト・セラピーに従事、文学療法を開発する。
日本に初めてエニアグラムを紹介し、以後、日本におけるエニアグラムの第一人者として高い評価を得ている。
著書に、『死にゆく者からの言葉』(文春文庫)『愛と癒しのコミュニオン』『心の対話者』(文春新書)『9 つの性格』(PHP 文庫)『人はいつか死ぬのだから』(PHP)など多数。

「2023年 『悲しまないで、そして生きて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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