あきらめよう、あきらめよう

著者 :
  • アスコム
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776210894

作品紹介・あらすじ

「あきらめる」は実はよい行為です。
「諦める(執着しない)」の他に、
「明らめる(物事をはっきりとさせる)」
という意味を持ちます。
そんなあきらめを、私は親しみを込めて
「聖なるあきらめ」と呼んでいます。

自分の夢や希望を叶えるために頑張ることは、
もちろん大切です。
でも、頑張り続ければ
人は必ず幸せになれるかと問われれば、
イエスとは答えられません。
「頑張る」ことが、じきに「執着」となり、
その「執着」が不幸を招くこともよくあるからです。
頑張りすぎて、疲れ切ってしまったり、
周りとの人間関係が悪くなってしまったりした経験は、
誰でも一度はおありでしょう。

そこで私がおすすめしたいのが、「あきらめる」こと。
もちろん、
「単に断念するという意味で、あきらめてください」
と言っているのではありません。
「あきらめる」という言葉は、
よい意味を持っているのです。
元々あきらめるには
意味が異なる二つの書き方があります。
ひとつは諦める。
投げ出すという意味もありますが、
執着しないという意味にもなります。
もうひとつは明らめると書きます。
仏教の世界で誕生した言葉で、
物事を明らかにするという意味を持ちます。

こんな素敵な意味のあきらめをすることで
皆が幸せに近づく行為を、
私は親しみを込めて聖なるあきらめと呼んでいます。
ポジティブで建設的で、心が穏やかになるという、
とてもよい意味でのあきらめであるからです。

ひとつ例を出してみましょう。
これは私が、大学で教えていた時の話です。
授業中におしゃべりをする学生に、
私はイライラしていました。
そこで、まずは明らめることで、
自分の力でできないことをはっきりさせました。
それは、その学生におしゃべりをしない態度を
すぐに身に付けさせることでした。
なので、これは諦めました。

では、自分の力でできそうなことは、何か?
そもそも静かにさせる目的は、
学生全員が授業を集中することです。
だとしたら、おしゃべりする学生だけに
注目する必要はないのです。
そこで目を付けたのが、
おしゃべりする学生の隣に座っている学生当てること。
実はこれで、解決したのです!

さあ、本書で一緒に
聖なるあきらめのレッスンをしていきましょう。

著者プロフィール

聖心会シスター・文学博士
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。フランスとイタリアに留学。
米国スタンフォード大学客員教授、聖心女子大学教授を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。聖心会会員。
修道院で8 年間にわたる沈黙の行を経験し、長年、日々の瞑想を実践。
教育活動のほか、ゲシュタルト・セラピーに従事、文学療法を開発する。
日本に初めてエニアグラムを紹介し、以後、日本におけるエニアグラムの第一人者として高い評価を得ている。
著書に、『死にゆく者からの言葉』(文春文庫)『愛と癒しのコミュニオン』『心の対話者』(文春新書)『9 つの性格』(PHP 文庫)『人はいつか死ぬのだから』(PHP)など多数。

「2023年 『悲しまないで、そして生きて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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