裏閻魔

著者 :
制作 : エイ出版社編集部 
  • エイ出版社
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感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784777918706

感想・レビュー・書評

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  • くるたんさんのレビューを読んで手にした本です。

    意図せず永遠の命を得てしまった一ノ瀬周と、亡くなった親友から託された親友の娘奈津との関係を中心にめぐる話。

    永遠に二十歳のままの周と、年を取っていく奈津。最初の関係は娘、年を減るにしたがって妹、姉、母、祖母と世間から見た関係は変わっていく。
    でも一番なりたい関係にはなれない奈津の心中を思うと辛い。

    永遠の命が欲しいと思ったことはないけれど、こうやってリアルに想像できてしまうと改めて、永遠の命はいらないと思った。

    • くるたんさん
      raindoropsさん♪
      こんにちは♪読んでいただきありがとうございます♪

      せつなかったですね〜、これは。
      永遠の裏側にある現実なるもの...
      raindoropsさん♪
      こんにちは♪読んでいただきありがとうございます♪

      せつなかったですね〜、これは。
      永遠の裏側にある現実なるものをまざまざと感じました。
      三部作なので機会がありましたらこの二人の行く末をぜひ✩⡱
      2023/02/06
    • raindropsさん
      くるたんさん、こんにちわ。
      コメントありがとうございます。

      この本、せつないですよね。残り二冊もくるたんさんのレビューを読ませていただいた...
      くるたんさん、こんにちわ。
      コメントありがとうございます。

      この本、せつないですよね。残り二冊もくるたんさんのレビューを読ませていただいたので楽しみにしています。

      たまたまなのですが、昨日読み終わった「気がつけば地獄」もくるたんさんのレビューを読んで手にした本です。
      いつも「●●の一冊」、楽しみにしています。
      2023/02/06
  • 壮大な時間、想いの一冊。

    時は明治から昭和の終戦まで。
    壮大な時間を生きる不老不死の刺青師のせつない物語。

    鬼込めという呪いの刺青に囚われた刺青師 閻魔の人生を追うほど、時の流れ、大切な人に置き去りにされていく閻魔の孤独感が苦しみを増して伝わってくる。

    その度に心の臓が強く収縮を繰り返し、せつなさが身体中を駆け巡る感覚に襲われた。

    生き違う、すれ違う二人想い、時間。

    手のひらならぬ心に彼は想いを彫り込めたんだろうな。その想いが逐一痛く疼くんだろうな。

    この想いはどこに向かうのか…終わりがくるのか…これはせつな過ぎる。

  • 『鬼人幻燈抄』を思わせる設定だが、こちらはまだ100年足らずで、主人公も時が止まったときのまま、いまいち成長していない。
    こういう怪しい人間が生き延びるにはどうしても庇護者が必要で、ちゃんと見つかるし、そうでないと話が進まないのだが。そしてそれは人間関係の魅力にもつながるのだが。

    それでいいのかな…と思うこのごろ。

    それはそれとして、物語としての読み心地はよい。

  • 働いてるお店でお客様からお問い合わせを受けた本。
    昔読んで面白かったから、また読みたいと探しているが他でなかなか無く、知人がこちらで見かけたと言っていたので買いに来たとおっしゃってました。
    お客様から教えていただいて、あらすじ見たら確かに面白そうだったので、1巻買ってみました。

  • 不死の呪いをこめた彫り物のせいで、死なず老いずの運命を背負った彫り師・閻魔が、幕末から明治、昭和までを駆け抜ける。

    亡くなったかつての同僚から託された娘 奈津。そして、長年よき理解者、庇護者となってきた信正。
    20歳で時を止めた閻魔に追いつき、追いこし、先に死んでいく2人。
    この手の不老不死を扱った作品の常として、時の流れから取り残された者の哀しみと、置いて逝かなければならない者の苦悩がある。
    口が悪く素直になれない閻魔が最後に見せた弱さ。分かってはいるけれど、やっぱり切ない。
    閻魔自身、望んで不老不死の身体になった訳ではないから、それはなおさらかも知れない。

    そして、もうひとり同じ運命をもつ兄弟子 夜叉との関係。
    お互いに殺したくもあり、殺してほしいとも願う相手。
    今のところ分かり合えないままだけど、いつ終わるかも分からない孤独な生のなかで唯一共感できるかも知れない2人の今後が気になる。

    作者によると和風ファンタジーとのことだけど、ロンドンの切り裂きジャックを思わせる連続殺人とか、閻魔の姉が殺された事件とか、ミステリーの要素もあり、ファンタジーという枠には収まらない面白さがある。

  • 切ない。切なすぎる。
    鬼込めにより不死の身体を持つ閻魔と、彼のかつての同志岡崎の娘で、岡崎の忌の際に閻魔に託された奈津。
    互いに深く思い合いながらも、心を伝えられないままに時は無情にも二人の間を引き離していく。
    娘から妹、姉、母、そして祖母へ…愛する人にとって、一番なりたいと心から望んだ者になれないまま、歳を重ね、死を目前にして閻魔の前から姿を消す奈津が切なすぎる。
    閻魔の仇敵夜叉も閻魔を守る信正もみな魅力的で愛しくて、まだ2巻、3巻があって良かったと心から思う。

  • 生老病死こそ人間の最大の課題。その克服のために釈迦は仏教を説いたとされる。ならば、それが解決したならば、不老不死を手に入れることができたのならば、人はどうなるのか。老いず、病に倒れず死なない、死ねない、生き長らえてしまう運命を背負った主人公・閻魔。江戸に生まれ、明治、昭和を青年の姿のまま過ごしていく苦悩。 いかに生き、いかに老いることが人間にとって重要なのかを痛感させられた。 第一回ゴールデンエレファント賞大賞作。

  • 賞の概要を読んで思ったけれど、この作品本当この賞にぴったりだよなぁ。エンターテイメント性強いし、登場人物の個性も強くてインパクトもあるし、大きな関係性が2つあるのも面白い。国際的なメディアミックスを前提としていたなら、時代ごとの日本の描写も効果的だろうな。ただ面白いだけじゃなくて、社会性も多分にある上、書き方によっては重すぎて陰鬱な印象になってしまう題材も扱っているのだけれど、あくまでそれらを内包したエンターテイメント作品という様な書き方が凄い。幕末から昭和初期迄を一冊を通して一気に駆け抜ける印象だから、500頁弱でもあっという間に読めてしまう筈。加えてあのエンターテイメント性とスピード感と読み易さなので、読書が苦手な人も読める気がする。あの続きが気になる終わり方は、3部作だったからか。続き、検討しよう。

  • 幕末、刺青により不老不死になった刺青師が、もう一人の不老不死になった兄弟子を追い、昭和の時代まで駆け抜ける。ゴールデン・エレファント賞とかいう賞をもらってるらしい。面白いが、どこかで見たような設定が多かった。

  • 表紙の不気味さにえっ?と思いながら読み始めたこの作品。作者曰く「和風ファンタジー」とのこと。これがとっても面白くて大当たりでした。世にも奇なる男の物語。ストーリーにのめり込みました。妖艶な場面、酷な場面、さらりとした文章で書かれ、かえって頭の中の想像がふくらみました。登場人物がとても魅力的で、特に主人公の周(閻魔)がすごく良い。もうそれだけで星5つものです。かなわぬ悲恋にもぐぐっと心掴まれてしまいました。時代は幕末から明治、昭和まで。時空間も広がってとても興味深かったし、生き長らえている閻魔のこのお話大変楽しませてもらいました。

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著者プロフィール

秋田県生まれ。『裏閻魔』で第1回ゴールデン・エレファント賞を受賞し、デビュー。他の著作に『陰陽師と無慈悲なあやかし』『なぞとき紙芝居』「夜見師」シリーズなど。秋田県在住。

「2022年 『異邦の使者 南天の神々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村ふみの作品

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