銀の眠り、金の目醒め (ショコラ文庫)

著者 :
  • 心交社
3.22
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本棚登録 : 85
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778111649

感想・レビュー・書評

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  • 1999年に発行されたノベルスを、加筆修正して文庫化した新装版です。
    思ったほど古臭さは感じられなかったけど、時代を反映した華やかさがあるHQ級ロマンス。好き嫌いは出てきそうですね。
    ニューヨークを舞台にした新しくオープンするフレンチレストランをめぐるラブストーリーです。金髪碧眼の貴族×新進の日本人ソムリエという現実離れな設定に一瞬ひるんだのですが、意外にエロティックで楽しめました。
    恋する者の露骨で正直な心情がリアルに描かれていて、夢物語を夢物語で終わらせず生々しく迫ってくるところが好感。

    レストラン界の「ミダス王」と称されるラウールは、ニューヨークに進出する自身のレストランを成功させるため、優秀なソムリエの玲一を引き抜きます。玲一もまたソムリエとしての矜持と自身の威信にかけて、意欲を見せるのですが、オープン前のある日、不慮の事故に巻き込まれてソムリエの命である嗅覚を失ってしまうのです。
    ソムリエとして仕事ができなくなってしまった玲一の絶望、そしてそんな彼とベッドを共にする間柄になっていたラウールの心情…二人がどう困難を乗り切っていくのかというところに引き込まれます。プライドが高く本音をなかなか言えない玲一と、過去の辛い出来事から人を愛することに臆病になっているラウールとの心身の距離感がちぐはぐなところが切なくも甘かったりします。
    ラウールが王道の攻で、読んでいて気持ちよかったですね。失意のどん底で投げやりになって、Hをねだる玲一が色気がダダ漏れになっていくのもよかったし、そんな彼にベッドでも熱く応えてソムリエ復帰のためには金も暇も惜しまず回復させるために助けようとするラウールの姿に読んでいてうっとり。
    エレガントな比喩表現にも溜息が出ました。品性を感じるけど気取ってない、サジ加減の上手さがあります。

    ソムリエっていうのは、ワインの味を様々な形容を駆使して言葉で伝えなくちゃいけないし、お料理にぴたりと合う銘柄を選ばなくちゃいけないし、深いものがあります。憧れのワインとおいしそうな料理も数々登場して、ワイン好きにはたまらないストーリーなのは間違いなし。
    イラストがまた素敵で、物語を格上げしています。

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