2119 9 29 (ショコラ文庫)

著者 :
  • 心交社
4.26
  • (38)
  • (28)
  • (12)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 268
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778122355

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフ
    ショートケーキの2人の選択とはまた違う、今回の阿部とドール高嶺の選択。それぞれの選択に考えさせられるけれど、どちらもそれぞれの愛の形を貫いたのだと思う。
    ドールの高嶺が阿部に愛され一緒に生きていくことに幸せを感じ、阿部を見送り自分にもその時が訪れるのを、阿部のことを思いながら迎えるのが感動的だった。

  • ショートケーキの苺は〜の番外編。
    阿部ちんと裏ドール高嶺のお話。

    ショートケーキの阿部ちんとは別人のように思いながら読みました。ぽっちゃりドールオタと、町の洋食屋さんの痩せた阿部ちんは、なんだか結びつかなくて…。喋り方はそのままだけど。

    裏ドールの高嶺もシン同様かわいいです。
    健気で、まっすぐ。
    最初は不信感から心を閉ざしていたけれど、阿部ちんの愛に触れて次第に心が溶けていく様子に泣けました。
    阿部ちんの愛の深さに感嘆!
    愛のお話でした。

    ショートケーキからは少し未来のお話で、戦争は直ではなかったけど、それでも、いつまでも傷は癒えず、深い悲しみが消えない。
    ドールは機械で、だけど心を持つような描写は、読んでいる私のキャパオーバーでした…色々ムダに考えてしまって。
    高嶺が機械なのか、人なのか、混乱しました。
    芝にも驚いたし。芝がどういう経緯でそうなったのか、そして、どうなったのか。

    終わり方は、ショートケーキより断然好き!こういう永遠の方が好みです。

    しかし、最近は文芸作品の方を多く書かれているし、少し前のBL作品を読むと、凪良先生はBL的ハッピーエンドをめちゃくちゃ意識して書かれているんだなぁと感じます。
    またBLの新作、書いていただきたいなぁ。

  • ショートケーキの苺にはさわらないでのスピンオフ。前作と違い阿部と高嶺はマスターとドールの関係ではないので、よりロボットの心に焦点を当てていてとってもよかった!
    阿部ちんは最高にいい人だなあ…。高嶺の心が動かされるのも無理はない。甘えるシーンは最高に可愛かった。
    個人的には前作の2人よりドールと人間の純愛なのではないかなと思う。2人なりの幸せを歩んだことが嬉しい。
    ラストは思わず泣いてしまった。幸せなのに悲しいこの感情は何…。

  • 読み始めたら止めることなどできず、一気に読んだ。アンドロイドを作り出し、一方的な都合でシステムやら何やらを変えてしまう人間の身勝手さに憤り嘆きながらも、だからこそ、阿部の誠実さが胸にしみるんだろうなぁ……。高嶺が徐々に阿部に心を開いていく様子、そして阿部を守ろうとして人間を傷つけるシーンにウルウルきていたが、ラストはとうとう泣いてしまった。傑作。

  • ドールにもシステムじゃない「なにか」があると ドールたちは言うが、人間の心というものも、どこに在るか科学で解明できない「なにか」であり、、、。

    退院後の二人の生活、何気ない日常に泣かされる。そして人間の命が尽きるさま、それを看取る高嶺に胸を突かれる思いだった。
    ドールにもシステムじゃない「なにか」がある。 
     
    リアでちょうど不倫騒ぎがあった。
    不倫とは 道徳、すなわち社会生活の秩序を存続するために、個人が守るべき規範からはずれること。
    ドールと暮らしていることは、正に不倫と言われる世界だが、なんとピュアな、、なんとピュアな手繋ぎなんだ!
    それはアベの決心。

    BLと言うよりDL、もしくは命あるものラブなアベである。

  • 前作『ショートケーキの苺にはさわらないで』のスピンオフ作品。
    前作でいい味を出してたオタクの阿部ちんが主人公。
    シェフの阿部孝嗣38歳(童貞)は
    14歳の時にドール(女性型家庭用アンドロイド)の美優に惚れてしまいそこから美優一筋!!
    生粋の美優オタク。
    そんなある日、
    店のお客893の芝から非合法の男性型裏ドール高嶺を1か月預かる事に…!!

    阿部は高嶺(ドール)に心があると信じ、
    高嶺は自分を大事にしてくれる阿部に対し感情の変化を感じる。

    阿部と高嶺の出会いから終わりまでを丁寧に描いた作品。

  • 「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフ、阿部ちんと高嶺のお話。
    阿部ちんが本当に優しくて素敵なひと。そんな阿部ちんに出会って変わっていく高嶺の可愛いこと。阿部ちんを挟んだ高嶺と美優のやりとりが微笑ましい。彼らドールを取り巻く環境、システムでない'何か'ーー。今回もやっぱり心を抉られて揺さぶられて。南里とシンとは違った道を選んだふたり。ラストが本当に切なくて悲しくて、でもそれだけじゃないよかったねという思いもあふれて。なんだろう、でも読めてよかったなと心から思います。

  • 「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフ作。
    南里の友人のドールヲタで自分のこと「俺氏」っていう、元マシュマロ男子だった阿部ちんが主人公でした。

    久々にBLで大泣きしてしまいました。ストーリー思い出すと、まだ泣けます…何だろう、悲しい涙ってわけじゃなく、嬉しい涙ってわけでもなく…
    きっとひとつの素晴らしい愛を見届けたという、感動の涙なのかな。

    阿部ちんの人間性が素晴らしいです。ヲタク道とでも呼べば良いのかな?究極のドール愛です。何事にもブレが無い。お父さんお母さんにも優しい。みんなに優しい。そして話し方が最後まで一貫しているのがすごいです。
    ドールとかアンドロイドとか、もはや絵空事とは言い難い科学の進歩著しい世の中で、こんな愛のかたちがこれから本当にありそうで、考えさせられました。
    阿部ちんと高嶺は、人と人ではないヒトのcpではあるけれど、嘘偽りがない真実の愛だなと強く感じました。
    南里とシンも登場して、本編と時系列的に絡むところもあり、彼らの生き方とまた違う阿部ちんたちの生き方に、胸が熱くなるものがありました。
    どちらの生き方も切なくて泣けて、でもどちらも幸せなんだと心から思えました。
    自分の人生についても、深く考えさせられるものがありました。

    ついでに言うと、私的には阿部ちんはマシュマロ男子のままでも良かったですよ…(笑)
    芝や美優にも泣かされたけど、最後にこんなに大号泣させるとは…!凪良センセの手腕をわかってたつもりだったのに、またやられました…
    誰かを愛するって、本当にすごいことなんだと思える一冊。これは間違いなく神作品です。

著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

凪良ゆうの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×