- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778314378
感想・レビュー・書評
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浪費ではなく、消費をし続けているだけ。
この文章を読んだとき、心当たりしか無くハッとさせられた。
生きていく上で本質的に必要のないものが、実は我々の生活では大事なものだったりする。
「心の栄養剤は文化です。」という美輪明宏の言葉がある。
文学や音楽、スポーツなどに親しみ美意識を持ち心を明るく穏やかにすることが心への栄養剤となる。
人は心と体でできている。
必要無駄にこそ、我々の人生を彩るヒントがあると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2021/6/13
こりゃまたとんでもない本を読んでしまった。元々パスカルの退屈論にはかなり影響を受けていたが、人類学、経済学、社会学などなど、多面的に論じられる暇と退屈には脱帽。ハイデッガーの退屈論も興味深い。
そしてまた結論も見事。
僕は退屈を感じない人なのだが、その理由が明確になった。それは、何かを環世界の中に(ドゥルーズの言う)「不法侵入」させることを日常的に行っているからだと思う。すると、環世界が崩壊し、思考せざるを得なくなる。思考をすると、思考対象によって「とりさらわれ」、一つの環世界を生きることで決して退屈することのない「動物になる」ことができる。
これは日々新たな事柄に直面する遊動生活を行う人々が退屈しなかった理由と同じだろう。
環世界を壊すには、自分の未知なものに触れ続けるしかない。映画、絵画、本、食事、身近な日常を(文学用語的に言えば)「異化」させるのが必要。
そういう意味で、今の仕事は未知に溢れているので、退屈を感じないの、かな。 -
哲学に興味はあるけれど、読んでもよくわからない…が今までのパターンでしたが、この本は違う。人間が退屈する理由を、人類史に沿って延々と語っています。すごく面白いです。考えること、そのものの楽しさにも気づかせてくれます。ただ、やはり少し難しいので、余裕のある時にじっくり読むのがいいかもしれません。
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2023年に読んだ小説以外の本で1番面白かった。
人間にとって暇や退屈はなんなのか。どこから来るのか。どうやってそれに立ち向かえばいいのか。
哲学の本なんだけどほんとに読みやすい。
生きづらさの理由の一因が理解できて、少し心が軽くなる。
後、環世界の考え方が興味深くて、色んな学問でも応用できるんじゃないかと思った。既に応用してるものも含めて探してみたい。 -
読み終えた直後の感想は、「著者の脳を覗いてみたい」でした。暇と退屈について、これほどまでに深く思考できる著者に尊敬の念を抱きました。はっきり言って、私には内容の2割も理解できていませんが、定住生活から暇が生まれたこと、人は退屈と気晴らしを行ったり来たりしていること、人はスリルを求めてしまうこと、が印象に残りました。
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暇と退屈は多義的であり、人間はずっとこの問題と付き合ってきたのを理解した。退屈の第一〜第三形式をもとに自らの歩みを振り返るだけで、今後の指針が見えてくる。
ずっと積読していたのを後悔した。
ひとまず読了直後の感想。
詳細は後で書きます。 -
「人間」であることを楽しみ、「動物」になる瞬間を待ち構える。楽しむ訓練をする。