鬱屈精神科医、占いにすがる

著者 :
  • 太田出版
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778314958

感想・レビュー・書評

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  • 914.6

  • 精神科医と占いという組み合わせが面白そうで借りてみたが、ほとんど自分語りだったような・・。

  • 私小説であるならば、なんたる重度な鬱屈ぶりだろう。自らの容姿に底知れぬ劣等感を抱き、生じる自己嫌悪は両親への責任転嫁で逃れんとする。もっとも、ご本人は自分を医師としても作家としても二流以下と申されるが、文才、筆力は相当なレベルに違いない。占い師の世界観とそこへの誘導なんぞ、実に端的かつ明瞭に説かれている。されど、占い師巡りったってさほど冴えない占い師がチョロっと登場する程度で、すがったというのは過剰表現でしょう。物書きネタで体験したってのが穿った見方ではあるまいか。今後、精神科医を振りかざすことなく作家業に精進されるなら、化ける資質を感じるんだけどなあ。

  • 面白かった。鬱々と暮らしている人、またかつて鬱々と暮らしていた人なら楽しめると思う。

  • 春日先生、何だか最近お姿見かけないと思ったらこんな所にいらしゃったんですね‥それが占い師の所だったという感想です。
    まさか精神科の医者が占いによすがを求めるなんて!という意外性はありますが、よくよく考えると物語りが患者の精神世界を彩る精神科の領域にあっては、それもありなのかとも思えます。逆に占いは統計的な要素が下地にあるので型に当てはめてスッパリ切って貰える小気味よさが、筆者の求める救いに繋がるのかともおもいます。
    初老の年齢に差し掛かり、今までに経験したことのない不安感や不全感や迷いに戸惑う筆者ですが、うつ病でもないしと自身を診断してしまう哀しさもあり、様々な理由をあげてああでもない、こうでもないと専門的な見地も交えた自己分析が延々と続きます。(私の見解では老いの入り口ということが多分に原因を占めていると思うのでその辺りを論じて欲しかったのですが‥)
    占い師のところで、あなたの患者さんがこういうことを語ったら担当医としての答えは?の問いにスラスラ筆者が答える場面は笑えるところですが、このようにひとのことはよく見えるのに、自分のこととなると見えなくなるのが世の常なんでしょうか。
    生い立ちを言えば一人っ子、妻はいてもお子様も作らなかったという系譜の事情、最近亡くなってしまった母の愛を救済として切望する筆者の心理状況は、マザコンだった男性であるが故に今になって浮上してくるのかなあとも思いました。全て男性はマザコンなんでしょうが、世のお母様たちには、早い段階で母の愛を充分に息子に注いで欲しい、卒業させて欲しいと読みながら思うのでした。

  • まあ、よく書くよという自己分析。衒いなく書いているところがよい。

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著者プロフィール

1951年生まれ。産婦人科医を経て精神科医に。現在も臨床に携わりながら執筆活動を続ける。

「2021年 『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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