コミュニティデザインの源流 イギリス篇

著者 :
  • 太田出版
3.88
  • (6)
  • (5)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 129
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778315146

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白かった言葉。

    彼らの良い点は単体で引き出されるのではなく、欠点とともに引き出される。

    -いたって当然だが、これを前提に失敗をしながらも、態度が変わり、工夫が生まれるのを待てる人というのは魅力的。

    仕事のなかに喜びを見つけようとすると、分業という働き方は弊害になる。作業の断片化されると、途中で創造的な工夫をするのが難しくなる。

    -働き方改革や人不足で、分業化が進んでいるようにも思える。喜びを見つけられる仕事は自ら考え、求めないと手に入らないと思った。

    労働者が裕福な人に対して怒っているのは、もらえるお金が少ないということではない。お金をもらうための仕事に喜びがまったくないということが問題なのである。

    -目から鱗。喜びを得られる仕事ができる環境を整え、モチベーションアップが大事で、賃金を上げる事が根本の解決にはならないことを思い知った。

    • やまさん
      なりすけさん

      おはようございます。
      『NHKスペシャル 失われた文明 インカ』への、いいね!有難う御座います。
      NHKスペシャル ...
      なりすけさん

      おはようございます。
      『NHKスペシャル 失われた文明 インカ』への、いいね!有難う御座います。
      NHKスペシャル 失われた文明 インカは、皆様のレビューを見て図書館に予約したものです。
      字が小さくて読むのに時間がかかりましたが、インカの素晴らしさが本を読み終わっても、まだ残っています。
      次は、『NHKスペシャル 失われた文明 マヤ』を読みたいのですが、予約が付いている本がまだ有るため読めていません。
      読むのが楽しみです。

      やま
      2019/12/08
  • さて、「今の日本は、19世紀末のイギリスにそっくりだ」という言葉に「そうそう、その通り」と即答できる人がどれだけいるだろうか。少なくともはじめ、僕にはその意味が分からなかった。

    「コミュニティデザイナー」として活躍する著者は、氏の仕事が脚光を浴びる現代日本の状況を、産業革命の反動に揺れるイギリスに重ね、その時代を生きた社会改良家たちに自身のルーツを見出す。

    産業革命によって農村から都市へ人が大量に移動し、インフラのキャパを超えた都市環境は劣悪なものになってゆく。そして右肩上がりの成長は決して永続しない。特に産業の転換期、資本主義のひずみが人間疎外を生む現実は技術が進歩しようと変わらないようだ。

    ここで語られるキーワードは今に通ずる。大量生産から美しい手工業へ。消費から創造へ。都市から地方へ。受け身から能動的参加へ。子どもの教育を重視し、女性の能力にスポットをあてること。

    各章のタイトルのつけかたも独特だ。「師匠ジョン・ラスキン」「兄弟子ウィリアム・モリス」「使徒アーノルド・トインビー」「姉弟子オクタヴィア・ヒル」「発明家エベネザー・ハワード」「楽観主義者ロバート・オウエン」「哲人トマス・カーライル」。全員が歴史に名を残す篤志家だが、その試みがすべて成功したわけではない。あらゆる社会問題は少しづつ形を変えているものの根っこは同じ。

    ヒントは過去にあり、それら有効に活用できるかは私たち次第。すべては今を生きる人びとに生きがいをつくり、この社会を良い状態で未来へつなぐために。

  • コミュニティデザインの第一人者がその源流を求めて、激動の19世紀イギリスを生き抜いた先人たちの思想をたどる。カラー図版も多数収録。『atプラス』『BIOCITY』掲載を加筆修正し、書き下ろしを追加して単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40262067

  • ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB21161326

  • 面白かった。わかりやすかった。楽しかった。
    つまり、3拍子揃った、本だった。
    ラスキンの生誕 200周年という今年。
    改めて、ラスキン、モリスとその関連の人
    を見直す時期なのかもしれない。
    コミュニティデザインの源流の「関係図」が優れている。
    オーエンや、エンゲルス、マルクスの関係性も理解しやすくなる。
    エンゲルスやマルクスは、学生時代によく読んだので、
    その時の「科学的社会主義」という言葉が好きだった。
    オーエンの空想的社会主義の歴史的位置付けが、
    見直すことができたのは、成果といえる。

    ラスキンが活躍した時期は、産業革命が起こり
    その中で、ラスキンは、労働 および 仕事の意味を問いかけた。
    ゴチック建築の彫刻が、自由さがあることで、
    仕事が 自立した自由な働きであることの意味を問う。
    ゴチックという言葉が、荒々しいという意味とは知りませんでした。
    それは、現在のITとAIの情報革命と同じような状況が生まれ、
    AIでなくなる仕事でない仕事を選ぶという発想は、
    明らかに 本質をずらしていると言わざるを得ない。
    時代背景の共通性が、感じられるように 踏み込んでいるのがいい。

    「手と頭をつなげること」という基本が重要なんだね。
    現場、実践、思考、そして、そのバランスが必要である。
    女性が、すぐに自己紹介し、互いに褒め合い、仲良くなる技術に長けている。
    というのは、納得できるなぁ。
    カーライルは、女性を「力によるのでなく弱さによって男性を征服することができる人たち」であり
    「男性に従うことによって、男性を支配させる人たち」

    ラスキンはいう
    「男性の力は積極的、前進的、防御的なものだ。」
    「女性は、優しい指図と整理と決断に向いている。
    女性は、物事の本質、あるべき姿、求められていることを知っている」

    社会革命家ではなく、あえて社会改良家という言葉を使っているのが
    意味があるかもしれない。本来ならば、社会改良家になるべきである。
    貧困を救済する場合も、施しを伴わないことを考えると、
    違った世界が生まれてくるのであり、オクタビアヒルがそれを実践した。

    自分たちで自律的に考え、そのかだに立ち向かう。
    その責任を負わせることで、より成果をあげていくことができる。
    仕事を進める上では、任せるという姿勢が必要だ。
    自立した個人と個人が繋がって、平等と協同による仕事。
    その中で、楽しさを生み出す力をつけていく。
    美しいものを作り、楽しいことをすることが、仕事だ。

    何か、読みながら、仕事するのが楽しくなってきた。

  • 田園都市は本来は職住近接のコンセプトだったはずが日本に来て変形してしまった。それゆえ住民の地域への主体的な関わりが損なわれている。

  • ラスキン、ウィリアムモリスなど、19世紀を生きた人たちに今の流れに近いものがある。ウィリアムモリスのユートピアだよりは読んでいて興味を持っていたので、学びを深められてよかった

  • コミュニティデザインとは、コミュニティがデザインすることという考え。
    イギリスは100年前に人口減少を迎えており、その当時の考えが今の日本に使えるのではないかということで紹介している。
    そのような考えをstudio-Lでどのように活かしているかも書いている。
    3万人以下だと地縁型コミュニティとの話し合いだけでうまくいくが、それ以上の都市だとテーマ型コミュニティも入れる必要がある。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

山崎亮(やまざき・りょう)
コミュニティデザイナー。studio-L代表。関西学院大学建築学部教授。主な著書に『コミュニティデザイン』(学芸出版社)、『ソーシャルデザイン・アトラス』(鹿島出版会)、『コミュニティデザインの時代』(中公新書)、『コミュニティデザインの源流:イギリス篇』(太田出版)、『ケアするまちのデザイン』(医学書院)などがある。

「2024年 『新版 生きのびるためのデザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山崎亮の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×