裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (atプラス叢書 16)

著者 :
  • 太田出版
4.01
  • (131)
  • (159)
  • (85)
  • (10)
  • (7)
本棚登録 : 2218
感想 : 179
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778315603

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日常が暴力で支配された世界で早く大人になるしか選択がない子どもたちが、受けた傷を傷とも思わないように笑い、自傷し、強く見せながら、より弱きものを守って必死に生きている。本心を打ち明け、人に助けを求めるという道を取れないのは、大人や社会がその道に立ち塞がっているからでもある。そんな彼女たちの声を聞き、寄り添い、その全てを受け入れ支持する筆者が見たものは、虐待・暴力の連鎖、貧困、性的搾取、男尊女卑等が寄せあつめられた沖縄という地元だ。そこには筆者の中学時代の友人たちの影を見る。私の地元にもシングルマザーとして生き、家族や貧困の問題を抱えながら生きている中学の同級生が複数いる。しかし、私の地元と筆者の地元とで決定的に違うのは、彼女たちが巻き込まれている負の連鎖がしーじゃ・うっとぅの関係、模合や米軍基地等の沖縄特有の社会構造と密接に絡まり合っているところだ。彼女たちの中の1人が言う。「日本語って難しい」と。私にはその感覚を自分ごととして本当にわかると言うのは難しいのだという事実を突きつけられる。基地問題も貧困問題も、内地にいる私が彼女たちの苦しみを増やしていることを自覚しなければならない。一番印象に残ったのは、夫からのDVで顔の形が変わるほどの暴行を受けた翼さんに対して「大丈夫?」とも聞かず、「ちょっと待ってて」と言って暴行を受けたかのようなメイクをして一緒に写メを撮る美羽さんの行動。その後、再度のDVを受けずに子供の親権を得たた上で離婚をするための準備は力強く、後書きで2人が目標だった夜の世界から離れることができたとの報告にホッとした。全力で守りたい人のために私もこうしてその人のことを笑顔にさせながらエネルギーを灯してあげられる人になりたいと心から感じる。

  • ちょっと言葉にならない。丁寧に聞き取りをされたからこその内容。調査自体、誰にでもできないことだと思うし、その内容の扱い方、書き方も著者ならではで、それが読む者にダイレクトにズドーンとくる。
    思うところはいろいろあるが、彼女たちの体験と比べてみれば、安全で幸せな場所からおばさんが何えらそうに口だけで言うてんの?って自分で自分に言ってしまいそうで。

  • 先日も報道があった女性のトイレでの出産
    あれに無邪気に反応する男性、ビッチ扱いした人みんな読んでほしい。

  • 無理。やっぱり無理。

    ヤンキー嫌いの私に元教師の両親が勧めた一冊。色々な環境に居る人の事を理解させたいと思ったのはよく分かる。でもやっぱり私には無理だった。

    読んでいて疲れた。
    著者の文章が下手過ぎる事、当事者の言葉遣いが酷過ぎて読みにくい事。
    そして、
    主張し過ぎる彼女達の環境云々…。
    全ては環境のせい?その結果は本人が選択した先にしかないと思う。

  • 白状すれば私は偏見の塊で、生きる為にその選択肢しかなかった女の子達のことを考えたこともなかった。終始胸を抉られるような気持ちだった。
    このジャンルはこれからも読み続けていきたい。そうしなければならない。

  • 価値観が一気に変わりました。
    そういうお仕事に抱いていたイメージとは裏腹に生きるために必死で働いている女性がいることを再確認できました。

  • あまりに暴力が多すぎて読んでいてつらかった海をあげるを読んだ時と同じような感覚になったけど、人を傷つけることをなんとも思わない人(特に男)がこんなにもいると思うと絶望してしまうのにでてくる女の子はみんな強い 強がっているだけかもしれないけど懸命に生きている 絶対に幸せになってほしい なっていてほしい

  • 経済学部 山川俊和先生 推薦コメント
    『NHKの100分de名著(この番組も超おすすめ)の中でも紹介された、沖縄の夜の街を舞台とした迫力のルポタージュ。一読し、著者の圧倒的な調査力に基づいて描かれる地域社会のリアリティを感じてもらいたい。』

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1179564

  • 私は、沖縄の貧困を知らなかった。
    若い少女たちが置かれた状況で自分なりに闘い、自分の人生を作ろうとする、書き手も愛に溢れた文章を書く良い本でした。
    今度は、少年たちの闘いについても調べてみたいと思いました。

  • インタビューのまま載せられている会話は…ほんまに子供が話してるようで…でも、彼女たちは壮絶な経験をして、もうほぼお母さんで…
    沖縄の女の子がみんなこんな経験をしてるとは思わないが…きっと沖縄だけじゃなく、全国で理不尽な想いをしてる子が沢山いて…
    「知る」ということの大切さを改めて感じた。「知る」だけじゃなく、その上で「考える」。そして、「自分に出来ることをする」。
    もっと、私の視野も広げないといけない。

全179件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。生活指導の観点から主に非行少年少女の問題を研究。著作に『海をあげる』(筑摩書房)、『裸足で逃げる』(太田出版)、共著に『地元を生きる』(ナカニシヤ出版)など。

「2021年 『言葉を失ったあとで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上間陽子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×