ルポ 精神医療につながれる子どもたち (フィギュール彩 5)

著者 :
  • 彩流社
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本棚登録 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779170072

作品紹介・あらすじ

いま、多くの十代の子どもたちが、きわめてあいまいで安易な診断(誤診)により、精神医療につなげられ、重篤な薬害が出ている。
「思春期に発症しやすい心の病気を早期に発見・支援し、予防する」という、一見良い目的のためであるかに見える取組みにより、学校現場と精神医療がむすびついている。しかし<精神科の早期介入>には、劇薬である精神薬を、まだ病気を発症していない若者に、予防と称して大量の薬物を投与し続けることの倫理的問題が横たわっている。

 たとえば、境界性人格障害との誤診が出て、劇薬を飲まされ続けたことにより被害を受けた若者の家族のことば――
「本当に地獄のような毎日でした。私の育て方が悪かったのかと悩んだりもしました。先生は、あまり薬を使いたくないけどと言いながら、結局どんどん強い薬、たくさんの薬を使うようになっていって、私は何かおかしい、何かおかしいと。でも目の前の出来事に振り回されるだけで、薬のことなどしっかり調べることもできませんでした」

 どんな時代にもいた「ちょっと変わった不思議な子ども」。誰もがこころの状態が不安定になる思春期。そのとき彼らは、薬によって、大人にとって都合のいい、手間のかからない「良い子」に改変される。

感想・レビュー・書評

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  • リスパダールの副作用:じっとしていられないのは、アカシジアといわれる副作用で、静座不能ともいう。落ち着きがなくなり、立ったり座ったりを繰り返したり」、興奮して歩き回ったり、ひどいときには外を走り回らずにはいられないような状態になる。もちろん精神的にも不安定で、焦燥感が高まったり、刺激に反応しやすくなったりする。適切な処置や薬の減量が行われないままだと、不安、焦燥が悪化して、ときに他害、自傷(他殺、自殺を含めて、他人を傷つけたり、自分を傷つけたりすること)につながる可能性もある。また、小刻み歩行は錐体外路症状と言われるもので、それにはほかに振戦(特に手の震え)や、不随意の動きとしてあらわれるが、それらは主に筋緊張や協調運動の異常から生じる。アカシジアも錐体外路症状の一種である。体重増加もよくある副作用だ。また、血糖値が上昇し、結果的に糖尿病を発症する人もいる。肝臓機能障害から黄疸がでることもある。そのほか、便秘は抗精神病薬を服用した人ならほとんどが経験する副作用である。さらに、抗精神病薬には「精神障害」とされる副作用もある。不眠症、不安、激越(焦燥、興奮)、妄想、うつ病、幻覚、抑うつ症状、躁病、被害妄想、睡眠障害、緊張、自殺企図、錯乱状態、リビドー(性衝動)、リビドー減退、徘徊、気力低下、情動鈍麻、悪夢。
    デパケンR(バルプロ酸)ー抗てんかん薬だが、気分安定薬としても使用される。ちなみに、語尾の「R]は徐放剤を表している。徐放剤とは、成分が徐々に放出されるように工夫された薬のことで、薬剤が長期間にわたって持続するため、服用回数を減らすことができる。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:493.937||S
    資料ID:95140363

  • 子供を対象とした精神疾患の早期介入は無謀では…という本。不適切な薬物の投与は副作用による薬害に繋がる。精神病患者の増大を過剰診断と考察する部分も。

  • 実名で20名くらいの精神科医が登場する。かなりよろしくない書かれ方もされている。多剤併用には同感だが、やや著者の思い込みがあり、批判した気持の結論ありきで書かれている。著者の無理さを露呈していたまま取材しているので、インタビューを申し込まれた精神科医がかわいそうだし、そんな無知なライターの取材を断るのは当然のことだと思う。

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著者プロフィール

1958年生まれ。早稲田大学卒業。1987年からフリーのライター。2010年6月にブログ「精神医療の真実 フリーライターかこのブログ」を立ち上げて体験談を募る。
主著:『私たちが、生きること』(ありのまま舎編、新潮社)、『大きな森の小さな「物語」――ハンセン病だった人たちとの十八年』(文芸社)、『ルポ 精神医療につながれる子どもたち』『発達障害の薬物療法を考える』(以上、彩流社)、『精神医療の現実――処方薬依存からの再生の物語』『〈向精神薬、とくにベンゾ系のための〉減薬・断薬サポートノート』(以上、萬書房)

「2019年 『青年はなぜ死んだのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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