安倍首相から「日本」を取り戻せ! !

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  • かもがわ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780307207

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  • 自衛隊で地対空ミサイル部隊に配属され、退官後は皮革工場を経営し披差別部落解放運動に参加し、法律事務所で勤務しながら多重債務者救済に取り組み、ヘイトスピーチ団体に抗議する運動に参加している泥憲和さんが、安倍首相が押し進める集団的自衛権や慰安婦問題に鋭く切り込んだ1冊。
    まず安倍首相は集団的自衛権を行使するにしても直接的戦闘行為に参加させず補給行為など後方支援に留めるから自衛隊員の命に危険はないと言うが、アフガン戦争で最も狙われたのは物資を補給する民間輸送会社や国際治安支援部隊の補給部隊だし、補給部隊を攻撃するのが作戦の常道であることから説得力に欠ける。
    抑止力は必要だが、安倍首相が実現したい抑止力は相手を挑発するものでむしろ戦争を誘発するもので、2006年に発行の防衛専門誌「朝雲」で「竹島周辺で韓国海洋警察と海上保安庁がにらみあった時、韓国の調査船は最低限の警備艦しか随伴せず事態を紛糾させないように細心の注意を払っているけど、政治家は声高に相手を非難してリスクを上げている」と批判したほど。
    中国が尖閣諸島を攻めても海上自衛隊の実力は中国海軍より上なので、個別的自衛権で対応出来る。
    安倍首相が集団的自衛権を発動する想定の8事例は、「日本人を乗せた米艦を守る」「強制的船舶検査」が自衛隊法での海上警備行動で対処出来ることや民間船舶の国際共同護衛は集団的自衛権の範囲外でむしろ国連主体の安全保障の問題になることをはじめ現行法で対処出来たり前提条件が非現実的である。むしろ中国が台湾併合に着手した時の有事を想定して、アメリカは集団的自衛権を日本に求めている。ソ連がチェコに、アメリカがグレナダに侵攻したように、大国が相手国に自分の都合を押し付ける時のお題目が集団的自衛権。
    安倍首相が外国艦と自衛隊護衛艦の監視距離を28kmから3kmに変更するなど、むしろ中国と緊張を助長する政策が多い。
    北朝鮮のミサイルは、金属材料工業や加工工業が発達していないので撃ってもどこに飛ぶかわからない程度の精度で脅威ではない。
    フィリピン・ミンダナオ島でのモロ族と政府軍の内戦終結に日本が国際協力機構に要請した経済協力(職業訓練校を作り農業生産能力を上げ漁業を復興させた)や紛争終結後の国連主導の平和構築活動DDRの成功国アフガニスタンなどに日本が関わっていたことや日本が実現した「国連軍備登録制度」がいくつもの紛争拡大を未然に防いでいることなど、憲法9条による武器輸出3原則に基づいた武器輸出を厳格に制限してきた実績があるからこそ評価され実現出来る平和外交政策がある。
    安倍首相が歪めた従軍慰安婦問題については、慰安婦契約は奴隷契約だったことや慰安婦業者や軍は様々な法に違反し慰安婦を強制連行していたことや慰安婦の契約は前借り金で身分を縛って働かせる身売りという奴隷契約であったことや慰安婦の給料は軍票という紙くず同然な金銭だったや日本は今まで韓国に倍賞していなかったなど事実を曲解したもの。自衛隊の部隊運用は今まで運用企画局という文官が担ってきたが、運用企画局を廃止し統合幕僚監部が部隊運用することになり、シビリアンコントロールが弱められた。
    自民党憲法改正案では、人は生まれながらに平等であり幸せになる権利があるという天賦人権論が否定され基本的人権の意義を唱えた97条が削除されているし公共の福祉を公益及び公の秩序に変えることで国の都合で制限出来ることにしようとしている。自民党や安倍首相が作ろうとしている「美しい日本」の裏側にある嘘や欺瞞や現実からかけ離れた愚策に、鋭く切り込んだ1冊です。

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