- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784780310849
作品紹介・あらすじ
「表現の不自由展」事件、献血ポスター炎上など実際の出来事を切り口に、自分にとって「不快な表現」にどう向き合えばいいのかを考える。
感想・レビュー・書評
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解決の目処すら全く立たない問題である。共感するか否かは別として多くの人に読んでもらいたい。
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あいトリと宇崎ちゃんポスターという政治的に真逆の案件から「表現の自由」について論じる本。
行政が表現の内容を検閲する事を強く批判し、介入しない仕組みを堅持すべきとする一方、行政以外の主体については「思想の自由市場」を重視しつつ、表現規制を求める事には慎重であるべきだとする。
政治的に真逆の案件を1冊にしている事、論点を詳細に腑分けして丁寧に論じているのを読む事で、バランス感覚と解像度が鍛えられる感じがする。コミュニストでオタクという著者にも個人的に波長が合う気がして共感を持って読めた。(かもがわ出版らしさが溢れている)
「はたらくくるま」の一件を、「思想の自由市場」が有効に機能した好事例として挙げている。このような「社会の自己治癒力」を高めていく必要があるというのには納得感があった。(いずれもここ最近ネットで見かけたネタなので読みやすい)
表現規制より批判の表明、教育や啓発活動を通じて、現実を変えていく事で、人々が受容できる表現が変化していく=「ポリコレ棒を心の中に」実装する事を目指すべきというのにも納得感があった。
表現の自由とは一定程度不快なものがあるというのにも理解と一種の覚悟ができた様な気がする。
志田陽子(武蔵野美術大学教授/憲法学・芸術法)に多くを負っている感じがするので、追って読んでみるようにしたい。
ヘイトスピーチに関してはまた別格というか、基本的には同様の枠組で捉えつつも留保されている。こちらも違う本で引き続き勉強していきたい。