ゆっくり 破って

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 18
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781610207

作品紹介・あらすじ

30歳の独身OL理津子。-彼女は幼い頃、父の書斎で偶然見つけてしまったSMビデオがきっかけで、人には言えない鬱屈した性欲を抱くようになってしまった。ある日、S傾向のある部下、塩井に犯され、ついに理津子はずっと妄想してきた淫靡な世界に足を踏み入れることに…。次第にエスカレートしていく塩井との行為。いったい彼の真意はなんなのか。そして、理津子が幼い日に見たSMビデオと塩井との関わりとは…?恋愛と快楽の狭間で揺れる理津子は、やがて驚くべき真実を知ることになるのだった-。性の自立と開花を濃厚に描くミステリアス官能長編!団鬼六賞優秀作受賞一作。

感想・レビュー・書評

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  • この人が書いた本、初めて読んだけど
    他のも読みたくなった。
    一人称だけの世界にいちゃいけないとはっとさせられました。

  • テンポ良く物語が進む
    sm性描写は少ない

  • 深志さんの著書のレビューはこれで2冊目です。官能小説のレビューもブクログでは4冊目(どちらかと言えば古典で括りたいマゾッホ『毛皮を着たヴィーナス』、バタイユ『眼球譚』をも含めるなら)ですかね。

    ヌくと言うより、結構考え込みながら読んでしまいました。純粋に読み物として大変面白かったのです。そして、読みながらマゾッホのことを思い浮かべてしまいました。

    きっとマゾッホが現代に生きていたとしても、彼にはこういう話を描く才能はないでしょう。なのに、彼がはるか140年も前にワンダとゼヴェリーンの関係を通して描いたものは、しっかり現代の日本社会の空気の中で、橋元理津子と塩井絢人の関係を通して形を成しているように思えました。それは、「純愛とSMの蜜月」とでも呼べましょうか。つまり純愛という恋愛に対する姿勢と、SMというプレイであり実践が、密接に相互を強化し合う関係を築いているのです。酷く虐めれば虐めるほど純粋な愛情が強化され、相手を愛すれば愛するほどもっと虐めたい/虐められたいと望む。
    ここにSMの面白さや醍醐味があるとしたら、まさにこの本は王道を行く王道な気がしますよね。

    という訳で、本作はSMモノです。そして、SMモノで言えばやはり、古典中の古典『毛皮を着たヴィーナス』に勝るものはないと現段階では思っています。でも、『ゆっくり 破って』はそれに匹敵する面白さですね。

    まぁ、理津子は喪女にしてはかなりの美女だと想像して読んでしまいますよね。どんなに嫌味な上司で、どんなに憎い男の娘(どうでもいいけど文中のこの表記、最初「ニクいオトコのコ」って読んじゃってアルエ?ちんぽ生えた女?ってなったのは笑い話)だとしても、不細工では興奮も勃起もしないんですよ。そこんとこ大変オトコはシビアなんでね。
    そりゃあ、いくら虐めても馬鹿にしてみてもちんぽしゃぶられたら気持ちよくなっちゃうのは仕方ないと思いますねぇ〜。仕方ないよ。どっちが囚われているのか分からなくなるのは。ちょろいと言いつつその純粋培養された天然さが恐ろしくなるのは。『毛皮を着たヴィーナス』のワンダも元はと言えばいいトコの美人のお嬢様なので、いいトコの純粋培養された美女というのは純愛やSMに対しての親和性が高いのかなと思ったり。

    対して、奈美や部下の岸田は純愛とは真逆の人ですね。おそらく、純愛を信じていないし、信じないことで男と関係を持てるようになったタイプだと思います。サセコという言葉も文中にありましたが、純愛の正反対はフリーセックスなんです。フリーセックス主義も行き過ぎると、結婚を完全否定し、家族を完全否定した上で、自由恋愛を徹底しようとします。この二人はどちらも結婚を選んでいるので純度の高いフリーセックス主義者ではありませんが、「生きるための戦略として結婚や恋愛を考える」賢さを磨いているあたり、少なくともフリーセックス側で純愛は信じていないでしょうね。理津子が羨みつつも、嫉妬したり馬鹿にすらしたりするわけですよ。

    などなど色んな人間模様に想いを馳せつつ、私自身元々苦手だったSMモノがだんだん読めるようになってきたのは、こういういい作品に出会えたからかなと。

  • 図書館にリクエストしたら拒否されたので購入しました。
    小説を購入するのは実に2年ぶりです。
    官能小説はこれが始めてです。
    まぁ、官能小説に近い石田衣良の水を抱くを読んでいたので、想像したよりかは刺激的ではありませんでした。
    石田衣良の水を抱くより全然読みやすかったです。
    一章だけ…のつもりが一気読みしてしまいました。

    主任と慕われている30歳処女の女と、その部下。
    部下が主任に手を出し、乱暴に犯す。
    その背景には、部下の姉がいた。
    部下の家庭は10代前半にほぼ壊滅状態で、母の虐待に耐えかねた姉が自殺。
    その姉が部下に処分するように。と命じたビデオには知らない親父に犯される姉の姿。
    部下は姉が在学していたという理由で同じ高校に入学。
    その時気づいた、姉が犯された空いてが、教師であったことに。
    その教師は姉と同い年の娘・主任がいた。
    部下は狂気に駆られ、復讐しようと教師の娘の会社へ就職。
    それから主任を犯していく。
    が、段々どちらが踊らされてるかわからなくなっていった。
    主任は医者と婚約。
    そうして、部下は主任の自宅に自分が主任を犯しているビデオを父宛に送りつける。
    最初は主任が見つけ未遂に終わったが、全てを悟った主任が再度自宅に送った。
    それを最初に見たのは母だった。
    部下の姉が父に犯されてもそれが幸福だったように
    主任も部下の姉と同じく部下に犯されるのが幸福だった。
    結局婚約も破棄。

    まぁ、所々理解し難い部分もありましたが、狂気って怖いです。

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著者プロフィール

深志美由紀(みゆき みゆき)
神奈川県出身。2001年集英社コバルトノベル大賞佳作受賞。2010年『花鳥籠』で第一回団鬼六賞優秀作受賞。官能小説を中心にティーンズラブ、恋愛小説、エッセイ、漫画原作など幅広く活躍。人の暗部を抉る作品群に、多くの読者が魅了されている。

「2023年 『人妻堕姦の夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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