日本柔道の論点 (イースト新書) (イースト新書 6)

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781650067

作品紹介・あらすじ

ロンドン五輪では、史上初の男子金メダルゼロに終わった日本柔道。金メダル量産が期待された女子もたった一個という、明らかな強化の失敗は何を意味するのか?女子代表監督による暴言・パワーハラスメント問題をはじめ、次々と不祥事が明らかとなる全柔連という組織の問題点は何か。なぜ、全柔連と講道館のトップが同一人物で、権力が集中しているのか。世界に目を向けると、次々とルール改正を強行する国際連盟の実態はどうなっているのか。いま、日本と世界の柔道をめぐるさまざまな構造問題が明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • イースト新書の創刊、そして山口香さんならばと思って読んだが、
    ほぼ期待通りの内容。

    新聞でも本人が語っていたが、女子柔道のハラスメント事件の
    相談を受けた時も出来るところまでは助けて、最後は「私ができる
    とこはここまで。後は、自分たちでやりなさい(自分が片付けても
    本質の問題は解決しないという意味)」と彼女たちの自主性に
    ゆだねた指導は、素晴らしいと思う。

    ロンドン五輪男子柔道の残念な結果を「精神的弱さが、負けの要因」
    と言ってしまう関係者に対しては、選手が精神的に伸び伸びと
    出来る環境をコーチは作っていたのか、と反論しているが
    これもその通り。

    現状の分析、そして他との比較、たとえば
    ヨーロッパでは畳になじむために、練習前にフットサルをやったり
    していること。
    また、
    サッカーの審判講習の最上級クラスにでは何十万円とかかるのに
    予約待ちとなっている状態など、柔道競技強化の
    ために何をどう進めていくべきかを示している。

    期待したいところは、やはりこの女三四郎に
    柔道界の改革をやはり進めてほしいということ。

    彼女の勝負論では、
    稽古で相手の足を蹴ってしまったときに、「ごめんね」というような
    選手ではやはりダメで、すかさず次の技をかけて仕留めてしまうような
    選手でなければいけないと語っている。
    確かにそれが出来るような
    選手はやはり強い。勝手な想像だけど石井慧とか。

    柔道がこうして注目されているときが、改革のチャンス。
    岡野さんとの非常に辛辣な意見交換、「全日本の合宿に全く
    緊張感が無い、へらへらしている、これでは強い選手が出てくる
    訳が無い」を読んで、各選手は奮起してほしいところ。

    今後の活動に期待したい。

  • 男子金メダル0という結果に終わったロンドン五輪、金メダリストの不祥事、女子ナショナルチームでのパワハラなど、表面化してきた現在の日本柔道の問題点を探り、これからの日本柔道のあゆんでいくべき道を考えた、タイムリーな1冊。
    講道館と全日本柔道連盟の役割と関係や、ルール改正の裏側など、知らなかったことも多く、勉強になった。女子柔道を世間に広く知らしめた著者(おそらく相当な逆風を受けたであろう)だからこその視点が、説得力のあるものだった。

  • 日本柔道を心配する気持ちは本物だけど、\乗っ取る野心?/ \今でしょ!/ みたいなのは、感じてしまいますな。幸い、現在の組織体制批判するだけの材料が腐るほどあるわけだし。

  • タイトル通り、山口さんが考える日本柔道の問題点、解決案を提示している。山口さんに任せて良いとは思わないけど、案を採用して試しても良いと思います。そして10年後位に結果が出たら山口さんを讃えるべきだし、結果が出なかったら非難されるべきだと思います。

  • 日本柔道の抱える問題について、かなり深く切りこんでいる。たぶん。
    最も重要なのは、武道としての柔道について考えていることだろう。たぶん。

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著者プロフィール

全日本柔道連盟国際委員会副委員長・女子強化委員(執筆当時 以下同)

「2008年 『ジュニア選手育成のための 柔道コーチング論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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