- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781650661
作品紹介・あらすじ
障害のある人たちは、どのように自分や他人の性と向き合っているのだろうか。それらの喜びや悩みは、障害の無い人たちと同じものなのか、それとも違うものなのか。一般社団法人ホワイトハンズを立ち上げ、障害者の性の支援に長年携わってきた著者が、「純粋な天使」や「かわいそうな性的弱者」という画一的なイメージを取り払った上で、障害者の性の現状を8つのエピソードから解説。そこから、障害にかかわらず自尊心の基盤であり社会参加の原動力でもある、人間にとっての本来の性のあり方が浮かび上がってくる。
感想・レビュー・書評
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前に読んだ同じ著者の『性風俗のいびつな現場』がとてもよい本だった(タイトルで食わず嫌いしている人にオススメ)ので、旧著を読んでみた。
著者は元々、重度身障者に対する性の支援などを行う一般社団法人「ホワイトハンズ」の活動から出発した人。ゆえに、『性風俗のいびつな現場』よりも本書のほうが、本丸というか、そもそもの専門分野の著作といえる。
「ホワイトハンズ」の活動から生まれた本だから、内容は徹頭徹尾〝現場目線〟。学者や評論家が知識だけで「障害者と性」を論ずるような生硬な本とは、一線を画している。
大っぴらに語りにくいテーマを扱いながら、著者の語り口には気負いも衒いもない。むしろ淡々とした筆致で綴られている。
帯には、《「純粋な天使」でも、「かわいそうな性的弱者」でもない》とある。
この惹句が示すとおり、従来、メディアが重度障害者と性の問題を取り上げる場合、「純粋な天使」か「かわいそうな性的弱者」として扱われるケースが非常に多かった。
しかし、著者はどちらのスタンスもとらない。フラットに、健常者の性を論ずるのと同じように扱うのだ。
「障害者と性」が、メディアでどう論じられてきたかの歴史を戦前から振り返った章もあり、資料的価値も高い。
いちばん強く印象に残ったのは、障害者でありLGBTでもある「ダブルマイノリティ」の人々を扱った章。その人たちの孤独は、いかばかりかと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
VICEで動画を見て、拝読。
障害者に持っている偏見が少しは解消された。
誰しもが性欲を持っており、それをどうマネッジするのかはよく考えないといけないポイントである。
一人一人違うという前提で一緒にその人の結論を積み重ねていく。正解というゴールはない。
障害者の親と兄弟問題。
結婚を周りが盛大に祝うと長続きする
→障害者から学ぶ健常者のありよう。 -
障がい者男性の話ばっかりなんだよな~~~
女性側の話も読みたかった -
ホワイトハンズという障がい者への性的介助サービスを行う団体の代表である著者が、障がい者と性の問題について様々な角度から実態と問題点を書いた一冊。
障がい者の性について、教育・犯罪・家族・マイノリティー・歴史・恋愛・結婚など様々な視点から書かれており、非常に勉強になりました。
そのなかでも障がい者の子供の話は印象に残りました。
また、性という人間において最もデリケートで、かつ誰もが持つものについて、障がい者において性とはどのように扱われてきたのか知ることができました。
そして、障がい者の性の問題を解決するために著者が行うホワイトハンズをはじめとした様々な支援団体があることやその活動内容から実態と様々な問題があることも知りました。
刺激的なタイトルの本書ですが、内容は非常に考えさせられるものが多く、障がい者同士の相互理解が乏しいなど今までの自分の認識が大きくズレていると感じるところも多くありました。
バリアフリーやLGBTについての理解は以前に比べると広がってはいますが、まだまだ偏見や無知な部分が多く、障がい者にとって自立することのできる生きやすさが感じられないところはあると思いました。
そして、本書の著者が行うホワイトハンズという障がい者の性的支援を行う団体を通じて障がい者の人間としての尊厳的な部分に触れ、そこから支援される立場ではなく自立するためにどのようにしていくべきかを深く考えさせられました。
障がい者にとって利他的な精神を持つために、ひとりひとりが社会的な問題として捉えていくことが大切であること。そこから自分にできることを行い、結果を積み重ねていくことが健常者との性についてのズレを解消し、自立するための道筋を照らしてくれるのでは無いかと本書を読んで強く感じました。 -
369.2
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「(障害者の)性」という生々しい部分に焦点を当てているだけ、家族や兄弟が抱く特有の葛藤や悩みが、学校場面等で抱くそれよりもさらに深く、本質的だなと感じた。
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障害者のセックスや恋愛の視点を身体障害者だけでなく知的障害、精神障害、LGBTや親兄弟のなど様々な視点で書かれている。
インパクトのある題名だが障害者も生だけでなく性を考え、自由恋愛できる社会を目指し、障害者も周りから「愛される」存在でなく、他人を「愛する」存在になることを選択できる社会にする。
自立生活よりも恋愛の方が楽しいものね。
アモーレ! -
すいすい読めるし、いろいろなことに言及はしているが、当事者ゆえの臨場感がないし、ひとつひとつの結論づけがありきたりで薄っぺらく、読後に何も残らない。背徳感とかそういったものはおもしろさという意味ではプラスになるが、当たり前のものとして書かれすぎていて、おもしろさがまるでなかった。総花的。出すことが目的ならそれでいいのだけど。
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障害者の性について、最近、乙武さんの問題でも盛り上がっているけど、ひとりひとり違うから、なかなか難しいのかなと感じる。女性の障害者の性についての記載が少なかったように感じたが、女性にも性欲があるのに、なぜだろう?障害者であること以前に、女性の性欲についてはタブー視されがちだと思う。障害者女性の性についての続編が出たら是非読んでみたい!女性にとっての性欲は、セックスとかオナニーとかが全てではないと思う。手をつないだり、ハグしたり、キスしたり。そういう欲求から始まっていくのではないか?障害者女性のそういった欲求に応えられるような社会的な仕組みをつくるのは可能なのだろうか?考え始めるとなかなか難しいけど、考えさせられるきっかけになる一冊でした。