世界飛び地大全: 不思議な国境線の舞台裏 (国際地理BOOKS VOL. 1)
- 社会評論社 (2006年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784784509713
作品紹介・あらすじ
飛び地には飛び地なりの事情がある!つながっていない領土の謎を一気に世界史・地理・国際関係学的に解明!!世界の飛び地を執着的に完全網羅。
感想・レビュー・書評
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ふむ
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飛び地というから地理地形の話と思いきや、国の対立の歴史や政治の内情などを深く知ることができる。よくぞ調べ上げたと感嘆する。
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飛び地の事例を地図付きで解説。成り立ちが詳しく書いてあるので読み物としても非常に面白い。ただ出典が記載されていないので、資料としてはちょっと確実性に欠けるかも。
ですます口調とだである口調が混在してたり、誤字が結構多かったりして、本質的なところではないのですがなんとなく違和感が残ってしまい星を-1しています。
のちに文庫版で追記改訂されているそうですが、図はこちらの方が大きいので読みやすいと思われます。 -
飛び地とは他国の土地によって本土と切り離された土地と考えればほぼあっている。わかりやすいのはアラスカでアメリカ本土とはカナダによって切り離されている。しかし基本的には島の場合は飛び地とは言わない。湖や川の対岸で他国の土地を通らないと行けないところは飛び地だが、半島と島の場合はデンマークのように島に首都があってもマレーシアのように半島に首都があってもこれは飛び地とは呼ばないらしい。ジブラルタル海峡の場合だとスペイン側のイギリス領ジブラルタルは飛び地とは言わない(植民地)なのに対岸のモロッコ側にあるセウタやメリリャなどは飛び地だ。
飛び地の帰属は色々ややこしく、例えばモロッコには他にもいくつかのスペインの飛び地がありいずれも価値はないのだがスペインの方もいらないとは言えなくなってしまっている。ミニ飛び地を返すと理論上セウタやメリリャも返さなくてはいけなくなることを怖れ軍隊をおいているらしい。なんだかなあ。セウタやメリリャの住民もせっかくヨーロッパの永住権を手に入れたのでモロッコに戻ることは望んでいないらしい。
飛び地のできる原因はいろいろあり、例えば封建領主の土地だったり植民地で宗主国が別々だったので独立後も同じ民族でも別の国になってたりソ連国内の共和国の飛び地だったのが崩壊後に独立酷になったら飛び地になったりとか様々だ。小さな飛び地だとインフラ整備ができないとか、密輸の基地になったり犯罪者が逃げ込んだりと色々不都合があっても住民の意向がありなかなか飛び地の解消も難しいらしい。簡単に交換すればとは行かない様だ。
例えばバングラデシュ北部とインドのクチビハールの国境線は無茶苦茶入り組んでいる上に双方の飛び地が混在しもはや分けがわからない。「バングラデシュ領内のインドの飛び地の中のバングラデシュの飛び地の中のインド領」なんてところもあるらしい。面積わずか50m2のマンションほどの大きさの世界最小の飛び地まである。パキスタンが独立したときにヒンズー教徒の住むところはインド領、イスラム教徒の家や畑はパキスタン領になったから・・・ではない。ムガール帝国に対しクチビハールが譲渡された際に居座ったクチビハール王に忠誠を尽くす地方領主の土地はイギリス領ではそのままクチビハールのマハラジャの土地として最終的にインドに残り、一方でクチビハール領内で勝手に占拠したムガール帝国の兵士の土地は東ベンガル州に組み込まれ独立時にパキスタンになりその後バングラデシュとして独立した。両国ともにまともに管理できていない。
先進国ではそんなことはないかというとあまり変わらない。オランダとベルギーの間に愉快な飛び地の村として観光客を集めるバールレ村がある。オランダ領内にベルギーの飛び地が22カ所ありさらにその中にオランダの飛び地が7カ所ある。玄関にはどちらの国に属するか国旗のマークがついていて、国境を挟んだ家では正面玄関のある方に属する。さすがに道路の最高速度はオランダ領内もベルギーに合わせて統一したり、警察署も共同で使ったりと工夫はしている。国境の行き来も自由だし今では通貨も一緒だ。救急車を読んだら相手側の土地に倒れていたので通行人にこっちに連れて来てもらったり、しばしば所得税の安い方へ正面玄関を移し替えたり、最近では2004年にベルギーで飲食店が禁煙になったらオランダ側を正面玄関にしたり、ちょっと昔には銀行が入り口と金庫室を別の国にしておいて税務署職員を立ち入れないようにしたりとなかなか住民達も楽しんでいる様だ。1198年にバールレ村はブレダ(オランダ側)の領主が支配していたが先祖がバールレ村をブレダ王に売ったブラバン公爵との間でトラブルになりブレダ王は一旦ブラバン公にバールレ村を与えローンの形で少しずつ返してもらったらモザイク状に入り組んだままになってしまいオランダがスペインから独立した以降も残ってしまったようだ。こんな楽しい飛び地なら住んでみたい。 -
他国の中にある自国の土地。飛び地。
日本に居たら基本的になじみがないもの。ベルリンとかアラスカをちょっと知ってるくらい。
この本では世界中の飛び地が、過去のものも含めてかなりの量紹介されています。
そして、その由来や、その結果どんな影響があるかなどについても書かれている。
歴史的ないさかいがあったり、戦争の結果が原因みたいな、想像できるものもあれば、
ひょんなことから、気が付いたら飛び地だったとか、
そんなつもりはなかったのに勘違いで調印したルールで後で見たら飛び地だったとか。
もっと進むとホテルの一部屋だけが領土としてゆずられたことも。
いろんな国にはいろんな事情があるもので。
ほんとに勉強になりました。 -
国境もけっこうご都合主義。
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各飛び地について、かなり詳しく書かれています。私は、飛び地といったらジブラルタル位しか知りませんでした。
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現存する飛び地,かつてあった飛び地をほぼ(?)網羅した本.飛び地マニアのみならず国民国家を相対化する事例集として有用.境界の社会学のために