- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787200723
作品紹介・あらすじ
誰でも無料で気軽に利用できる近代的な図書館は、20世紀ごろ、欧米の図書館制度を参考にして誕生したといわれている。ところが、『万葉集』の時代、太宰府の書殿はすでに図書館として機能していた。
私設の図書館を作っていた聖徳太子が過ごした斑鳩宮の一室や、中国の経典を所蔵した経蔵の貸出システムなどからは、日本独自の図書館の起源がみえる。
また、明治時代の自由民権運動や青年会運動を背景に全国各地で起きた会員制図書館の潮流は、近代の公共図書館づくりの原型になった。
そのほか、20世紀初期に図書館づくりに携わった佐野友三郎の奮闘や、同じ頃にアメリカの図書館用品メーカーが日本の図書館づくりに与えた影響からは、現代の図書館が登場するまでの道のりが浮かび上がる。
図書館史に精通した3人が、古代から近代までの時代を貫いて、膨大な資料を丁寧にひもときながらかつての図書館を掘り起こし、現代の図書館につながる豊かなイメージを鮮やかに描き出す。
感想・レビュー・書評
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いきなり聖徳太子と図書館についての考察があり、わりと面白かった。図書館と読書の原風景なので、図書館エッセイかと思ったのだが、原風景というか原初の姿に近い。日本に限定して、図書館文化史の詳細版といった感じで、楽しめた。
佐野友三郎が自殺していることを初めて知った。その佐野の辞世の句「なにごとも いはで散りけり 梨の花」で使われた梨の花を、枕草子にて絶賛されていた梨の花への評価のサンプリングではないかと述べている小文は切なくて良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小川徹氏の「芸亭一考」。石上宅嗣の芸亭の意義。