死体のない事件

  • 新樹社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787584960

感想・レビュー・書評

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  • タイトルの通り、冒頭で犯人と覚しき人物がが犯行を自白した直後に毒をあおって死んでしまい、肝心の死体が見つからない。さて誰が殺されて、死体はどこへ…? という、普通のミステリとは逆のシチュエーションから始まる作品。

    解決部分の論理やトリックはちょっとお粗末なところはあります。しかし、そこへ至るまでの冒頭から繰り広げられる、我らが愛すべきビーフ巡査部長とヤードの敏腕刑事スチュートの対照的なスタイル、それに基づくレオ・ブルースお得意の英国的なコメディ色が大変楽しく、随所に散りばめられた『くすぐり』も大変好みで、それらを堪能した一作でした。
    (なので、厳密にガチガチの本格を求められるとこれはちょっと肩すかしかもしれません……)

  • シリーズ2作目。前回のような既存探偵のパロディではなかった。殺人を告白した若者が主人公たちの前で自殺したが、被害者が誰なのかわからないという事件。ミステリ作家が、愚鈍な巡査部長とヤードの敏腕警部の両方の捜査に同行する目線で描かれる。

  •  犯人探しが通例のミステリで犯人はわかっているのに被害者が不明の事件というひっくり返しは、パット・マガーの創案かと思いきや本作の方が先だというから恐れ入る。行く不明になっている被害者候補は数人いるものの意外性という点からはいずれも今ひとつ。事実、追いかけていくにつれ1人消え2人消えしてあれれということになる。意外なところにいた犯人はともかく、ちょっと真相は無理っぽいかな。それよりヤードの敏腕スチュート警部とわれらが田舎刑事ビーフのやりとりが読みどころか。

  • ビーフ巡査部長シリーズ第2作。
    パブに入って来るなり「人を殺した」と言い残して、人々の目の前で服毒自殺した青年。しかし死体が見つからない。彼はいったい誰を殺したのか…
    前作では三人の名探偵を差しおいて事件を解き明かしたビーフだが、今回はスコットランドヤードから来たやり手の警部と共に捜査することに。最新技術と能率主義でテキパキと捜査を進める警部と、もっさりしたビーフの対比が楽しい。
    死体がなかなか出てこないこともあってほのぼのとした展開で、実にクラシックな雰囲気。フェアプレイという点ではどうかなと思うが、捻りがきいて綺麗にまとまっていると思った。

  • ビーフシリーズ2作目です。
    田舎のパブにてロジャーズ青年はビーフ巡査部長と他の面々に向かって殺人を犯した事を告げるや、毒を飲んで死んでしまいます。
    ですが、被害者はどこにも見つからないのです。
    本書は被害者探しが主となって物語が進みます。
    犯人は分かっているのに被害者が分からないといった一風変わったミステリです。
    真相から巧みに目を逸らさせるミスディレクションは素晴らしいです。

  • ビーフ巡査部長の目前で、人を殺したと告白し自殺した青年。しかし、肝心の死体はどこからも発見されず……。
    ビーフ巡査部長シリーズ第2作。前作の”名探偵”に代わり、今回はスコットランド・ヤードのやり手警部が登場。最新の捜査技術を駆使するスチュート警部と”愚鈍”なビーフとの対比が愉しい。ミステリのお約束を皮肉るかのような発言や展開も健在。終盤の演習や伏線の張り方も見事だね。

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著者プロフィール

Leo Bruce
レオ・ブルース
1903年、ケント州イーデンブリッジ生まれ。本名ルーパート・クロフト-クック。さまざまな著作活動を行いながら、ブルース名義で1936年に最初の本格ミステリー『三人の名探偵のための事件』(扶桑社ミステリー)を発表。ビーフ巡査部長を探偵役とする長篇を8作刊行したのち、『死の扉』(創元推理文庫)で新たな探偵キャロラス・ディーンを登場させる。その後計23作のディーン・シリーズを遺し、1979年死去。

〈扶桑社ミステリーのレオ・ブルース作品〉
『三人の名探偵のための事件』
『ミンコット荘に死す』
『ハイキャッスル屋敷の死』
『ビーフ巡査部長のための事件』

「2022年 『レオ・ブルース短編全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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