なんで信長はお城を建てたの?―「お城」のはじまりを探す旅 (13歳からの考古学)

著者 :
  • 新泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787721242

作品紹介・あらすじ

部活に入るでもなく、なんとなく中学生活を送る中学1年生のホタカ。お父さんに勧められて、夏休みに一人でお城を巡る小旅行をし始めます。初めは気乗りがしなかったお城巡りも、お城に詳しい“先達”に案内されるうちに、自分なりの楽しみ方を持ち始めるホタカ。そして安土城の発掘体験を経て、どんどんお城の沼にハマっていきます。お城の魅力にハマる大人たちに出会うたび、ホタカのお城を見る目が変わっていきますが、お城について知れば知るほど、なんで織田信長は安土城を建てたのかという疑問が湧いてきました。近世城郭のはじまりと言われる安土城、世界遺産の姫路城、謎がいっぱいの甲賀の小城……など、「お城」のはじまりを探しにホタカと一緒に旅に出かけましょう。

感想・レビュー・書評

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  • 〇少年がお城沼にはまっていく様子
     本・ネットからの知識だけでなく、現地での見学や調査・イベントへの参加、先輩方のお話など、あるゆる体験を交えながら
     京都在住の少年主人公、頭の中は標準語、家族との話は関西弁
    〇お城に行く前に。また、手に持って見学したい
    天守、石垣、縄張りなど
    〇お城を設計した人にも言及があると、そこからも広がるかも(全く触れていないわけではない。実名があるとワクワク度が違うので。)

    歴史に詳しいサラリーマンを父に持つ、父の影響で城に興味を持つ中1男子
    城巡りの冒険と探究

    1:安土城の巻
    登城を体験する。
    時前に予習せず行き、帰宅してから見逃しが多数あったことに気づき、反省する
    ☆城を建てる目的は何だろうか?
    “天守閣”“天主閣”“天守”、それぞれの意味

    2:姫路城の巻
    本とネットで予習してから。
    ボランティアガイド山口さんに“命懸け”で案内してもらう→攻城のつもりで。妄想力大事
    『らせんの縄張り』
    ダンジョン姫路城のギミック
    枡形虎口→右に曲がらせるのが正解
         左は失敗…“左袖”弓手
    将軍坂、はの門、にの門、シャガ(草鞋で踏むと滑る。バナナの皮みたいな罠)、水の一門
    天守のギミックは城主が静かな最期を迎えるための時間稼ぎ
    ☆なぜ天守は簡素なのか
    石垣はリサイクル素材

    3:甲賀・上野城の巻
    上野城で、草刈り体験
    お城を舞台に合戦イベント
    城の意味を考える
     甲賀の城は集落を守るためにある?
     戦国時代の甲賀を考える
     お城を地域の個性で考える
    忍者をキャラクターではなく、戦国時代の仕事の一つとして考える
      特殊部隊、傭兵
     『杉谷渡辺家文書』
    戦国時代の隠れ場所…忍者の里(国境地帯にあった:アジール)、寺社
    毒飼い。盗みの腕。
    「油日お城遊び」地域のイベント
     伝統野菜「忍」…忍馬鈴薯、下田ナス

    4:安土城の巻 その2
    安土城の発掘調査に参加する
     焼土の層
    安土城炎上事件…被疑者死亡の事件に挑む考古学者
    手描きの図面、3D の図面
    大学で考古学を学ぶということ
    考古学…いろんな分野の専門家の意見をもらいながら進めていく
    笏谷石、天主穴蔵、ソウ見寺旧境内、白洲

    5:安土城の巻 その3
    信長の舘
     復元料理(『饗応メニュー』)
     復元天主
     VRシアター
    安土城考古学博物館
     天皇行幸をめぐって
    人はなぜお城を建てるの?
     信長、お城をライトアップしてた
     見せ城:財力、政治力、軍事力、アイディアの結晶
     信長は天主で寝起きしていた最初の日本人?
     天主以外に居住の部屋や、家臣・来客のための部屋をつくる
     秀吉も天守は見せびらかしただけ
     信長以降の天守…合戦立てこもり用
     江戸時代の天守…儀礼用、大切なものの収納
     天守←城の本質的存在 地域そのものを象徴する
     廃城令
     城下町、地名
     復元天守、復興天守、模擬天守

     お歯黒偽装

    エピローグ:六年後
    ホタカくんのその後


    人間の脳をゴム風船にたとえると、空気を入れないとしぼむ、知識とか経験という空気を吹き込むと風船は大きくなる
     風船の中は知識・経験に基づいた自分の世界、風船の外側は自分が知らない世界
     自分の世界が広がっても、知らない世界も広がり続ける

  • 『感想』
    〇子ども目線で話が進められていくが、中身は薄いわけではない。初めて知ることもあった。

    〇ここにあるような説明が現地の看板にでもあるといいのだが。あるけど自分が認識できていなかっただけかもしれないが。

    〇本でありながら、現地にいるかのような感覚を味わうことができた。

    『フレーズ』
    ・石の積み方自体にもいろいろあるねん。横方向に素直に積んでいくのは「布積み」と呼ばれ、同じような大きさの石材を積んでいくことになる。一方で、大小さまざまな石材を積んで横方向の石材が乱れているのを「乱積み」というんやけど、これはジグソーパズルのようで難しい方法らしい。(p.44)

    ・弓を引く時には左手に弓を持ち、右手で矢をつがえる。左向きの半身で構えるので、城内から見て左側に敵を迎える方がいいんだよ。軍学ではこれを左袖という。(p.64)

    ・戦国時代にはそれぞれの領地の中で政治経済を完結させようとしていたので、お城に向かっていく道にメインの道を通すタテ町型と呼ばれる構造になります。一方で、世の中が安定してきて、広域の流通経済を重視するようになると、地域を結ぶ道をメインにするようなヨコ町型と呼ばれる構造になるんです。(p.272)

  • 小学生のころ、縄文時代のことを勉強したときは、登呂遺跡に連れて行ってもらい、中学生になって、古墳って何?と思って仁徳天皇陵へ行って、小山のように見えただけで、なんだか腑に落ちなくて…でも、現地に行けたことに満足してました。

    今、武将やお城に特化したテレビ番組が増えているのは、それぞれの分野で色々な角度から研究、探究している人たちが今わかっていることなどを基に紹介されていることも多いですが、まだまだなぞに包まれていることも多いからこそ、さまざまな推測、仮説を立てながら意見を交わせていることも興味をそそる理由なんだろうな、ということが、とてもよくわかる本でした。

    主人公ホタカ君が物おじせず、自ら行動しているからこそ、というところもありますが、少し上の年代からちょっと刺激をうけたり、ずっと研究を続けてきた人たちのお話を聞く機会に恵まれることもとても大切だな、と言う気付き。
    大人読者の私でも、普段からちょっと詳しい人に話を聞いたり、へぇ、ほぉに出会えると楽しいものなので、そんなことを若い世代にも伝えたいのかな?伝わると良いな、と思います。

    お城がなぜ建てられたのか、というところから、今、何故復元したり、復行させたりしているのか、というところまで触れているので、ふむふむ、なるほど、と思って本を閉じました。

    #ブックサンタ

  • 「部活に入るでもなく、なんとなく中学生活を送る中学1年生のホタカ。お父さんに勧められて、夏休みに一人でお城を巡る小旅行をし始める。初めは気乗りがしなかったお城巡りも、お城に詳しい“先達”に案内されるうちに、自分なりの楽しみ方を持ち始めるホタカ。そして安土城の発掘体験を経て、どんどんお城の沼にハマっていく。お城の魅力にハマる大人たちに出会うたび、ホタカのお城を見る目が変わっていくが、お城について知れば知るほど、なんで織田信長は安土城を建てたのかという疑問が湧いてきた。近世城郭のはじまりと言われる安土城、世界遺産の姫路城、謎がいっぱいの甲賀の小城…など、「お城」のはじまりを探しにホタカと一緒に旅に出かけよう。

    目次
    第1章 安土城の巻
    第2章 姫路城の巻―城郭のギミックに驚く編
    第3章 甲賀・上野城の巻
    第4章 安土城の巻その2―発掘調査編
    第5章 安土城の巻その3―お城をもっと理解する編
    エピローグ―6年後」

  • 大のお城好きのお父さんの影響で、息子も城の沼にはまり、お城の発掘調査体験に参加します。そこで、お城についていろいろなことを学び、最後には大学で考古学を学ぶようになる、というお話。
    お城の造り方や成り立ちがわかるのとか、息子のまわりの大人との関りやお父さんとのちょっとしたもめごととかがおもしろくて、一気に読んだ。ぼくも、何か発掘体験に行ってみたい。(小5)
    「この本は絶対に読まないといけない。人生損しちゃうよ」とすすめてもらいました。(小5母)

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著者プロフィール

1967年生まれ。博士(人間文化学・滋賀県立大学)。滋賀県教育委員会を経て京都市立芸術大学准教授。甲賀流忍者調査団副団長。専門は表向き考古学・陶磁史としているが忍者の研究に余念がない。研究者として正体がわからないところはある意味で忍者といえる。

「2018年 『ここまでわかった甲賀忍者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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