競わない地方創生 ―人口急減の真実―

著者 :
  • 時事通信社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788714496

作品紹介・あらすじ

弱者(地方都市、中小企業)の経営は、強者(大都市、大企業)とは正反対。国は自治体間の競争を煽るが、競ってはいけない。弱者の多くが強者の成功事例を真似して、皆と同じルールで競争して負けてしまう。本書は、ビジネスの基本を活かした地方創生の手法を具体的に詳述する。

感想・レビュー・書評

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  • 資料ID:21600151
    請求記号:318.6||H
    地方は大都市と違う創生方法がある。福井県の世帯所得は東京に匹敵し、住民満足度が高い理由を解説されている。

  • ビジネスの論理から言えば、弱者(地方都市)の経営は、強者(大都市)を真似てはいけない。
    そういわれれば、まったくそうだ。
    言われてみないことにはわからないものだ。

    その他、刺激的な提案があちこちに出てきて、なかなか興味深い本だった。

  • 地方創生が叫ばれる中、その効果が本当に地方にまで浸透できるのか、どうすれば投資に見合う価値を創出できるのか、そのような漠然とした疑問を抱えた際、見つけた1冊。著者の作品は何冊か読んでいたので、切れ味の鋭い意見に期待しました。

    著者指摘のとおり、地方が大都市と同じことをやって競争しても目指すべき真の目標に到達するのはなかなか難しい。
    その中で地方都市が目指す戦略の指摘は、納得感があるものであると同時に、難しい面もあると感じます。
    ただ、それだけ、自治体に期待をされている裏返しだと思い、何か行動してみたいと感じます。

    地方の政策にビジネスの視点、というのは以前より言われているわけですが、具体的なところはこれからだと感じますし、そこまでの手法はまだ体系化されていないと思います。これもその手法が示されたら全員が真似しますので、同じ過ちを繰り返すことになるのかもしれません。

    最終章は、人口減少の内容でした。『地方消滅』の議論を非難していますが、あくまでこちらは人口の動きを見た考察ですので、完全に批判するのではなく、いい視点はお互い活かせるといいとは思います。
    高学歴でコミュニティが嫌な若者が都市部に流出する、というのもあまり実感が湧かないのですが、人口維持のために、濃いコミュニティを提唱し、意識改革を、という形でしたので、このあたり、別の機会に著者の意見を伺いたい気がします。

    いずれにしても、地方にあった戦略が重要であるのは間違いありませんので、引き続き、学んでいきたいと思っています。

    ▼地方創生と地方自治の課題
    ・建前でなく、不都合な真実を前提に政策を創る
    ・地方創生と地方自治に、ビジネスの基本を活かす
    →自分が一番になれそうな価値観を探し、価値を高めて一番になり、その価値を顧客に分かるように伝える
    ・地方分権とは、地方自治体が「自分に有利なルールを創る能力と意欲(前者)」を有して初めて、「公共事業や補助金を自由に使う権力(後者)」を手に入れるべきもの

    ▼人口減少と地方衰退の解決には、政策の質も重要だが、それ以上に「政策立案者(公務員、議員)の人間的な質」の方が非常に大切
     現在の日本は「政策だけに頼りすぎ」で、市民の困り事に「世話を焼く」大切さが失われている

    ▼「弱者(地方都市、中小企業)の経営は、強者(大都市、大企業)」とは正反対
     弱者の戦略は「顧客ニーズが多様化していて、価値観の個人差が大きい分野」から「自分が一番になれる軸・価値観を探し、その価値を高めて、価値を顧客に分かるように伝える」こと
    ・役所がとるべき戦略は、都市規模の大小にかかわらず、中小企業の戦略を採用するのが正しい
    =「金と時間をかけない計画づくり」「早く小さく、試行錯誤を繰り返す行動力」「他者の真似をしない発想」
    ・中小企業の再生・育成策
    ①役所の産業支援・働き方支援は「衰退期の再生」より「導入期の創生」を重視する
    ②衰退期の再生に公的資金(補助金)を投入する場合、寿命を少しだけ先送りする「延命」措置はやめて「リストラクチャリング」を断行する
    ・役所の正しい中小企業支援政策を導くと「需要を自ら創造して大きく育てる」ノウハウの提供が最も大切

    ▼成功するには、顧客数は少なくても良いから、自分を一番だと認めてくれる顧客を確実につくる
    ・競争しないで勝つ、ポジショニングの方法
    →「交流、コミュニティ」「物語」「地域資源」

    ▼自治体(職員)は一番になる協働3条件に欠ける
    「遊び心の欠如」「当事者意識の欠如」「枠組みを変える能力の欠如」

    ▼地方公務員が書く文章の悪しき共通項
    =自分(役所)が伝えたいことを真面目かつ一生懸命に、だけど一方的に「伝える」文章を書く
    =アウトバウンド

    ▼インバウンドな働き方
    ①遊び心を持つ(真面目なだけでは失敗する)
    ②当事者意識を持つ(自分の経験を活かす)
    ③枠組みを変える(例えば、位置づけ・目的や予算項目を変える・兼ねる)

    ▼人口減少の原因
    ・日本
     男・女らしさ意識が高い→男女の価値観が正反対にズレる。競争や権力で価値が決まる
     権力格差意識が高い→権力者は権力弱者に絶対服従を求める→指示待ちで自分の頭で考えなくなる
    ・正しい経営の手順:意識改革→施策立案→数値目標
    ・弱者(地方都市、地方自治血合い、中小企業、零細農家)は、競争してはいけない。自由裁量と責任をセットで権限移譲された組織内の個人が遊び心を持って、顧客価値を創造すれば、競争しないで成長することができる


    <この本から得られた気づきとアクション>
    ・地方に必要な地方創生の考え方はしっかりとらえるべき
    ・その中で、自分の地域に合った地方創生施策は何だろうか


    <目次>
    第1章 人口減少対策をビジネスの基本から導く
    第2章 弱者(地方都市、中小企業)の経営は、強者とは正反対
    第3章 弱者は競争するな。自分が1番になれる軸を創る
    第4章 1番になる最良の方法は、協働という「働き方」
    第5章 学習しない高給な公務員が、地方を滅ぼす
    第6章 顧客価値は顧客目線な遊び心から創造される
    第7章 現象でなく原因を考えると、人口急減の理由が分かる

  • 地方創生を進める上でのポイントを、著者独自の視点から語った本。共感できる箇所が何点かあった。

    ・笹川地区の街づくりモデル
     町民それぞれが、得意なこと=人の役に立つこと、を創るのが、街づくりの原点

    ・アウトバウンド型の仕事をインバウンド型に再定義すること

  • 地方創生に関する取り組みや公務員、日本の問題について述べている。
    起業はスピードと実行力が大切。
    利用者の少ない公共施設を利用して隣接の旅館が団体客を呼び込む。
    タイトルしか読まれない前提で文章を書く。
    2017/1/152回目
    仕事をすることを条件に週末に移住。交通費支給。
    自治体のポジショニングマップをつくる。立地、医療。そして、そこで一番だと認めてくれる顧客を獲得。
    よそ者に地元が愛された物語を語る。
    後半は公務員批判。

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