イヴの七人の娘たち

  • ソニ-・ミュ-ジックソリュ-ションズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789717595

感想・レビュー・書評

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  • 全人類の共通祖先として浮かび上がる太古のひとりの女性。
    前半のインテリジェンスある語り口の科学ドキュメントの部分だけでも読みごたえは十分ですが、後半の七人の女性のエピソードが好きです。
    生存すること、受け継ぐこととそこにある深い愛情。
    遺伝上のターニングポイントとなる突然変異の発生の場となった人間に「名前(=人格)」を与えるという切り込み方でぐっと身近に感じられる。
    二十万年前のアフリカの記憶が自分の細胞の中にもある。
    そんな気持ちにさせてくれる良い本です。

  • 母親からのみ伝えられるミトコンドリアDNAを使って母系祖先を探る話。子供の頃、胸震わせて読んだヘイエルダールの「コン・ティキ号探検記」のポリネシア人南米起源説が、長く常識と思われていたヨーロッパへの農耕民族大移動が母系遺伝子解析によって否定される。著者の「われわれ人間は、誰もが完璧な混血なのだ。と同時に、誰もが繋がっている」とのメッセージが心に残る。ただ、7人のイブたちの"ありえたかもしれない物語"は作者の文学趣味か? やや冗長の感あり。

  • あまりにも面白くて久々に興奮しながら夢中になって読んだ。
    外見的な人種や民族の特徴形成について知りたかったのだが、ミトコンドリアDNAはヨーロッパの多民族に満遍なくミックスされていて結局謎のまま。
    人類はアフリカから出て世界に散らばったのだが、アフリカを離れた唯一の母は一人だけ。長い年月をかけて環境が目、皮膚の色など変えていったというのか。すごく不思議。
    母系姓をつけるというアイデアはかなり面白い。賛成っす。

  • ミトコンドリアDNAを取り出す実験関連の一連が、どきどきハラハラでミステリーサスペンスの面白さ。その苦労が報われ本当に良かった。ヨーロッパの7人のイブ達、さらに遡ってアフリカのイブのララを知ると、人種の違いによって起こる様々な軋轢(戦争等)が、何と馬鹿馬鹿しい物に感じられることだろう。

  • イギリスらしい皮肉たっぷりのユーモアや人間くさい学会の話、そして、ミトコンドリアDNAからヨーロッパ人の共通祖先を探すという知的冒険がとても面白かった。

  • とても面白かった。ミトコンドリアは母親からしか受け継がないことや、それを辿ってポリネシア人のルーツを探ったり、ヨーロッパ人のルーツは七人の女性が源になっていること(更にその先に世界全体の母”イヴ”がいます。)など知らないことばかり。まさに人類の飽くなき好奇心の表れが詰まった一冊です。

  • 面白くなかったわけじゃない。

    でも、「アダムののろい」を先に読んでしまっているため、ネタバレ感があった。アダム・・・はこの後に出た本で、本書についてもあらすじが述べられていたので・・・。

    アフリカのイブについては、もうずい分前に話題になった。でも、全人類が一人の母親から生まれてきたなんてよく意味がわからなかった。このところ、遺伝子の勉強をしていて、だんだんわかってきたことが、この本を読んで、しっかり理解した。アフリカのイブ。全人類の母親って、じゃあ、ほかに人類はいなかったの?この人のお母さんは???ってよくわからなかったのだけれど、もちろん、イブが生きた時代、ほかの人類もいた。イブと同様、ほかの人類も子供を産み、孫を持ち・・・が、なぜか、そのほかの人類は(おそらく)現在まで残っていない。イブが遺伝的に優れていたのか、たまたまなのか・・・多分両方だろう。

    イブの7人の娘というのは、もう少し時代を下って、さまざまなグループに分かれてきたときの話。ヨーロッパ人のほとんどがこの7人の娘の子孫にあたるという。ミトコンドリアは、母おやからしか受け継がれないため、母親と子供はまったく同じ遺伝子を持つミトコンドリアを持つ。(細胞DNAは両親から受け継ぐので組み替えが行われる)定期的に突然変異を起こし、Dループといわれる区画(ほとんどなんの役割も持っていないので、突然変異がおこっても排除されない)を見ると母系のつながりがわかる。

    作者は、遺伝子の解析をするだけではなく、歴史学や人類学にそれを応用している。遺伝子を解析することで、人々がどのように動いてきたのか(たとえば、日本人は、大半朝鮮半島からやってきたとか)、何年前に異動が起こったのかなどがわかる。なんとも壮大な歴史書をわたしたちひとりひとりが持っているのかと思うとロマンチックだ。

    遺伝子系の話にしては、とても読みやすく、わかりやすく、小説のように面白い本なので、遺伝子のことをちょっと知りたいな~という人の最初の本としてお勧めだと思う。

  • 人類の起源にまつわる様々な謎を遺伝子を手がかりに解説してくれる、とても興味深い本。欧州の狩猟民読は農耕民族に駆逐されたのか?ネアンデルタール人とクロマニョン人は混血したのか?ロマノフ王家暗殺を生き延びた遺児はいたのか?などなど。一昔前には決着がつかない問題だと思ってたけど、全てが解明できる時代になったのですね。面白い!

  • 「人類、皆兄弟」
    って言葉は嘘だと
    思っていたのですが、
    本当に人類全員が同じ祖先まで
    たどる事が出来るものなんだなぁ
    とかなり驚きました。

    まさに
    真実は小説より奇なり
    ですね。

  • 最後のアレ余計。いたたまれなくなってしまった。しかし興味深い内容で、特に南太平洋のあたりなんかは面白く読めた。壮大なロマンに挑む一人の研究者の軌跡。

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著者プロフィール

オックスフォード大学名誉教授。人類遺伝学の国際的権威。古代人骨からのDNA採取の成功や、ミトコンドリアDNA解析による人類の系図の解明などで知られる。著書に『アダムの運命の息子たち』など。

「2020年 『アダムの運命の息子たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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