- Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
- / ISBN・EAN: 9784789719346
作品紹介・あらすじ
危機に瀕した研究プロジェクトを救うため、みずから「死後の世界」を垣間見ようと決意したジョアンナ。だが、彼女がNDE(臨死体験)の暗いトンネルを抜けて赴いた先は、思いがけない現実の場所だった。私はこの場所を知っている。でも、どこだったか思い出せない-。ただの幻覚だから当然だと言うリチャードに反発し、ジョアンナはその場所がどこなのか、記憶の糸をたどって必死に調べはじめる。とうとう突き止めた答えは、まったく予想もしないものだった…。
感想・レビュー・書評
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オックスフォード大学史学部シリーズではないコニーウィリスの長編、且つ初期代表作。
「最後のウィネベーゴ」がも一つだったので、読もうかどうしようか悩んでいましたが大森望先生の後書き、『「ドゥームズデイブック」の3倍は泣ける』を信じる事にしました。
上巻はいつもの如くすれ違いコメディの様相。増築に増築を重ねて迷路と化した病院内を登場人物たちが右往左往する。
主人公のジョアンナが体験する疑似臨死体験は何故か沈没直前のタイタニック。臨死体験者は必ずタイタニックを経験するのか?暗いトンネルの様な場所は何処?金色に輝く光とは?白い衣装を着た眩いばかりの人々は誰なのか?謎をばら撒くだけばら撒いて話はちっとも進まない。
映画好きの主人公達が開催するディッシュナイトと称する映画ビデオ観賞会が本筋と全く関係ないが面白い。タイタニック描写が沢山出てくるくせに「タイタニックは禁止」。この映画をみんなでこきおろしています。「シルベスタースタローン映画は禁止」「ケビンコスナー映画は禁止」「ウッディアレン映画は禁止」は意味不明、訳わかんないけど笑えてくる。
長期間昏睡状態だった患者の覚醒直後の臨死体験を聞き突如全てを理解したジョアンナ。やっと話が動き出すのか、と思ったら下巻171頁、第41章から、まさかまさかの怒涛の展開。ここからはジェットコースターです。
58章の「ほんとはだれなのか知ってるんだから」、59章の「ジョアンナだよ」は涙なくしては読めません。そしてそして、ジョアンナはみんなの命を救った。最終60章、PASSAGEを航路と訳した大森望先生の気持ちが痛いほど判ります。(英和辞典によると廊下、通路、が妥当?)
残念ながら「ドゥームズデイブック」には及ばないものの感動出来ることは間違いありません。
素晴らしい小説でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かったです。
すごく長いけどぐいぐい読ませるのでさすが。特に後半は時間がある時に読むことを推奨。
以下、ちょっとネタバレな感想。
まさかこうなるとは思っていなかったのでびっくりした!
いわゆるどんでん返しとは少し違う気がするのだけど、上巻の気持ちのまま読み進むと面食らう出来事が。。ドタバタコメディーだと思って読ませておいてこの流れはズルいなぁ。
その部分以外の要素はけっこう王道なのですが。
後半で一気にシリアスにはなるものの、それでも最後までどこか明るいのは…。なんだろう…ジョアンナがずっと冒険してるからかな。
死にゆく脳細胞が伝える、最期のメッセージの話。 -
上下二段構成のくせにとんでもなく分厚い。つまりとんでもなく長い。でもこれだけの時間をかけて読む価値はあった。
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かなり長かった。死後ってどうなるんだろうね
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図書館で。
何故か上巻を文庫で、下巻をハードカバーで借りてしまうというミスをしました。重かった…。
というわけで上巻読み終わるまであまり話が進まないという不思議な作品。でも読まされちゃう感覚がうまいんだな~と思います。途中、え?ウソここで?という展開になるし最後はナルホドそうなのねぇ…と読み終えました。が、文句が無いわけでもなく。
とりあえず主人公二人が感情的で人の話を聞かないタイプなので科学者に向いてない気が。出会いの場面からして二人ともが「相手はマンドレイク派だろう」みたいに決めつけていて、相手を避けるわ話を聞かないわでこの二人何なんだ?って感じだったし。
NDE体験も、これは絶対にタイタニックと決めつける彼女のも変だけど、聞いた途端に「あーハイハイ妄想乙」みたいになるライト医師もどうかと思う。タイタニックなのかどうかが問題なのではなく、なぜタイタニックなのか、というのを二人で議論すればもっと解決が早かったのでは?
ヒロインは走り回ってばっかりで時間のロスが多すぎるし。被験者のアポ取りぐらい事務方に頼めないのか?
時代設定的にメールはなかったのかな?ライト医師を探して複雑怪奇な病院内をあっちこっち行ったり来たりするよりも、メール一通送っておいて詳しくは会って話す、じゃダメなのか?もしくは研究室で待ってれば良かったのでは。(と世紀の大発見をしたことのない自分は冷静に考える)
大体ERのそんな取り込んでる最中にノコノコと人を探しに入っていくのもどうなのかなぁ。というか部外者の立ち入りは警備員、止めないのかな~。ま、医師だけど緊急事態なんだし普通、入り口で止めるよねぇ。とかとか。
色々ツッコミを入れたいところは多々あるのですが、それでも面白かったです。まぁ、うん。これだけ文句言って?という感じもあるけど。 -
翻訳小説はあまり読まないが、珍しく購入。臨死体験を巡る小説。面白かった。
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上巻は話がゆっくりで、どういう展開になるのかさっぱり予測できず、あまりのめり込めなかったけど、下巻はスピード感もあり、楽しめた。登場人物もよかったし、ストーリーは緻密。
でもラストを私理解し損ねてる? 何だか結局何がどうなったのよという感じで終わってしまった。ま、それはいいかな。
訳者さんが巻末で力説しているほどとは思わなかったけど(翻訳はとてもよかった)、秀作。 -
コニー・ウィリスって作品を読むだけで、人として信用できる感じがする。この作品を書くきっかけになったという、エセ科学的な臨死体験の数々への激怒っぷりとか。好きだなぁ。
「死に直面した人々の勇気、自分の命が助からないとわかっているときでさえ、なにかを、だれかを救おうとする決意は、人間のもっともすばらしい特質であり、たぶんあらゆるものの中でもっとも大きな謎でしょう。」 -
下巻の途中で、ええー! いいのっ? ってのがあったんだけど、なんだかひっぱってひっぱって、最後は丸く収まった感じ。
まあまあ面白かった。